N市の武器屋を訪問する2
【N市の武器屋を訪問する2】異常発生3週間後
拠点に戻ってくると、西田さんをみんなに紹介する。
『西田さん、魔物を退治したことはありますか』
『いや、じっと家に隠れていたから』
『それじゃ、こんど魔物退治をしてはどうですか。実は魔物を退治すると特典がつきます』
『西田さん、不思議に思うかもしれないが、“レベル”がアップするんだよ』
『レベル?』
『ああ、ちょうどゲームみたいにね。身体が強化されるんだ。で、僕は身体強化レベルが4。苅屋さんはなんと10』
『本当に幸運だったんですが、強い魔物を倒すことができました。それでこのクロスボウも手に入れました。トレーニングルームに行ってみましょう』
トレーニングルームで俺は西田さんに握力計を見せる。
『握力が186?力持ちっていうレベルやないな』
僕はトレーニングのお陰で少し素の体力が向上していた。
『これが、魔物退治の特典なんです。元々は握力50ぐらいでしたが、身体強化されてこの通りです。握力だけじゃありません。様々な身体強化がなされています』
『ほお。本当に世界が不思議なことになっているんやね。じゃあ、早速魔物退治してみたいよ』
『銃方面では西田さんは十分戦力です。明日、C町に行ってみましょう。でもその前に身体測定しておいてください。レベルアップを実感できますよ』
西田さんの能力は次のとおりだ。
握力 45kg
反射神経 320msec.
ジャンプ力 46cm
翌日、俺、レオ、市河さん、西田さんでC町に向かった。
『西田さん、身体強化の結果、俺は視力・聴力やいろんな感度がアップしてます。魔物の位置もなんとなくつかめるようになっています』
『そりゃ、すごいね。先手とれるわけか。今はどうかな』
『この辺りは、数日前に俺たちが概ね魔物を一掃したんですが、100mほど南西に魔物がいますね。動きが速いですから、ゴブリンだと思います』
『それが最初の獲物か』
『ええ。それでは、魔物の近くまであるきましょう』
俺たちは見つからないように、魔物に近づいていく。
西田さんの愛銃はB社製ショットガン。
スラッグ弾専用銃だ。
スラッグ弾は、単発の弾頭である。
普通の散弾よりも威力が強く、飛距離も長い。
熊などの大型獣に使う。
サプレッサー付きである。
少し歩くと、道路上にゴブリンが歩いているのが見える。
『よし、この距離なら一発やな』
西田さんは銃を構えると即引き金をひいた。
『カチャッ』
ゴブリンの額に命中したかと思うと、瞬時に蒸発した。
『そのサプレッサー、音がほとんどしないんだね』
『ああ、ええやろ。メカニカル音以外は消音してくれる。ショットガンは消音がしやすいらしい』
『特に夜は大活躍しそうだな』
『ところで、“レベルアップしました”ってなんだ?』
『西田さん、“チェック”してみてください』
『チェックって?おおっ』
名前 西田 穂積 にしだほずみ
年齢 58歳
出身 大和国
種族 人間
特記 身体強化L1 銃L5
『西田さん、視界に現れたでしょ。自分の名前とか、特記に身体強化L1とか』
『ああ』
『研究所に戻ったら、身体測定してさっき測った数字と比べてみましょう』
西田さんは研究所に戻ると早速測定してみた。
左が元の数値。右がレベルアップした数値。
握力 45kg ⇒50kg
反射神経 320msec. ⇒288msec.
ジャンプ力 46cm ⇒51cm
『本当だ。ステータスが約10%向上しとるわ。市河さんはレベル4だったね。どの位、ゴブリンをやっつけたの?』
『200体程度だね』
『数日あれば、到達できますよ』
『あー、私ももう少しレベルあげたいですね』
『三田くん、やる気だしてるじゃないか』
『私もライフルかショットガン使えないでしょうか』
『いいよ。練習しようか』
『ショットガンの7号半と9号が大量にあるし、メインの弾じゃないから、それで練習してみようか』
『ありがとうございます!』
三田さんは自分でミリオタというだけあって、嬉しそうだ。
『私達も身体強化に惹かれます。銃は怖いですけど、クロスボウなら扱えそうなんでお願いします』
『私の持ってきたクロスボウはね、連射が可能なんだ。普通、クロスボウは矢を装填するのに数十秒かかったりするんだが、私の選んだのは連射間隔が数秒ですむ。重さも1~2kgで軽い。しかも案外、威力がある』
『私、この軽いのでいいですか』
蒼井さんは、S社製 A○6を選んだ。
性能は初速約70m,6連射速射可能、重さ約1kg。
『私も』
梨香も蒼井さんと同じのを選んだ。
軽いのが決め手のようだ。
『私はこっちの弓がいい』
北宮さんは、F社製コンパウンドボウを選んだ。
初速約80m、5連射速射可能、重さ約2kg。
これは能力が上がると、1秒前後で5連射可能だ。
威力もかなり強い。
よくあるクロスボウは初速が40mぐらいのが多い。
これらはその2倍前後の威力がある。
『じゃあ、僕もやらせてもらおうかな。僕も三田さんと同じでショットガンお願いします』
中村さんは、ホームセンターの園芸担当だが、
海外へ行くたびに銃を撃つのが趣味だという。
対物ライフルも撃ったことがあるそうで、
銃に対するハードルが低い。
こんな状況が危機感を与えているのは間違いないが、
身体強化の影響が精神にまで及んでいるのかもしれない。
みんなアグレッシブになっている。
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