第二話「毒の代わりに」
【デスゲーム】
それは命と命を懸けて戦う真剣勝負である。
勝者には富を、そして敗者には……
「それではお手元に配らせていただいた袋の中にはオオカミとヒツジのカード、六面ダイス、金貨一枚が入ってますね……」
「あ、あのすみません」
「なんですか?」
「えっと……こ、これがひつじですか」
「ヒツジです」
「じゃ、じゃあこのぐるぐるしたのが……」
「オオカミです」
「……イラスト書いた人、でてこいやああああああ」
◆◆◆
デスゲーム開始3時間前
「えー。それではこれから≪参加者に扉をゴンゴンされても必死に扉を抑える担当≫の事前研修を開始します。よろしくお願いします!」
「「うす!!!」」
「君たちがやることはただ一つ! 扉をゴンゴンされても必死に抑えるんだ!」
「「うす!!!」」
「参加者が12時に同時に目覚める。その後ゲームマスターである私がゲームのルールの説明を開始する。しかし、だいたいの参加者は混乱状態にある為、扉に鍵がかかっていようが部屋から出ようといろんな扉をゴンゴンするだろう。会場からでられたらゲームどころではなくなってしまう。1班~6班計25名はしっかりと配置につきゲーム終了までの90分間、しっかり扉を抑えてくれ」
「「うす!!!」」
「それでは練習だ! 気合い入れていけよ!!!」
「うす!!!」
「まずは押扉と引扉の場合だ!」
「うす!!!」
……
◆◆◆
デスゲーム開始2時間前
げほげほ、げほげほ。おーい!のど飴あるかー!?
……まったく、事前研修の特訓をやりすぎてしまった。
30分で終わるところを2時間もかかってしまった。
「大変です! 毒が足りません!」
「なんだってえええええええええええええ」
「このままではデスゲームになりません」
「ど、どうしよう……そ、そうだ! 毒業者には連絡したのか!?」
「電話はしたんですが、最近の石油高騰に伴って品薄でってことで……」
「緊急の納品は難しいってことか」
「はい。あ、あとゲームで使うカードはどこでしょう……」
「ああ、それなら大事な物だから毒が来る車に……ああああああああああああああ!!」
「ど、どうしましょう!毒もですがゲームカードがありません。」
「仕方ない。こういうのはやりたくなかったが……。毒は、俺が責任をもって取り扱う。お前はゲームカードのデザインを描いて印刷してくれ。ひつじとオオカミのカード、頼んだぞ!」
「はい! わかりました! 絵は私に任せてください!!」
「おう!」
そういって俺は作業員休憩所へ足を急がせた。
(◆◆◆
デスゲーム開始 90分前 作業員休憩所
※株式会社エンダーズ
ここは「ホワイト」なデスゲーム会社だ。
ガチャ、冷蔵庫の中は……オレンジジュース、コーラ、昨日の残りのキャベツ、紅ショウガ、牛丼……
「よし。つくるぞ!最高の毒を!」
実は当社が企画するデスゲームでは死人は出ない。
これはゲームマスターの私しか知らない。
「「毒」」というのは会社としてゲームを盛り上げるための呼称であり、「「毒と」」称した特性ドリンクを飲ませる。
「うおおおおおええええええ」
中に睡眠薬も入っているためと言う参加者の悲鳴との後、催眠剤により一時的に気を失ってしまう。
その後、目覚めたら開放という流れになっている。
ちなみに敗者に借用書を書かせるデスゲーム業者もあるらしいが、うちは金融業者じゃないしそういう権利は持っていないので、参加者は借金を追わない。
「これとこれを混ぜて……生卵を入れて飲み易くして……栄養剤を入れて……あと香辛料……」
よし、ちょっとこれでゲキマスドリンク……いや毒の元は完成ッと。
「ちょっと味見してみよう」
ぺろり
「こ、これは……」
まずい! 生卵とコーラ、合わない。合わなすぎる。そしてピリリと辛い。
「うおええええええええ」
まっずい! まっずい! ほんとにまっずい!
よし! これで大丈夫だ! 今にでも敗者の悲鳴が聞こえそうだ!
◆◆◆
デスゲーム会場 開始15分
「わあああ、まけたあああああ!」
「おやおや、欲が深すぎましたね。それでは別室へ」
別室の扉から屈強な5人の男が出てきて、敗者の体を拘束した。
「いやあああああ、死にたくないいいいい! 死にたくないいいい! はなせええええ!」
ガチャン
◆◆◆
別室
「ぐあああなんだ! なんだ!? ここは」
敗者の男が椅子に拘束された。
「これを飲め? は? 何を言っているんだ? や、無理やり飲ませるなあアゴボゴボボ……」
「うおえええええええええええええええ」ガクリ
◆◆◆
デスゲーム会場
「おい、聞こえたかあの声」
「このゲーム、本物のようだな」
「負けたらどうなるんだ……」
「ふっふふ。どうなるですって? 安心してください。別室では特性の毒を飲ませるだけです。生きてたら無事に返しますので安心してくださいね。」