第一話 大変です! ”毒”が会場に届きません!
某日12時
「こ、ここは?」
「クックック! 皆様、ようこそ楽園……エデンへ! ここにいる100名はなんらかのご縁でこちらに招待させていただいております。」
「おい! どういうことだよ! 俺たちを返せよ!」
「あそこにドアがあるぞ!」
「本当だ!」
ゴン! ゴン!
「おい、この扉あかないぞ」
「おやおや、どう頑張っても無駄ですよ。あなた方はゲームが終わるまで帰ることはできません。」
「け、警察を!」
「あれ? 荷物がない!」「携帯も!」「スマートウォッチも!」
「焦らないでください。大丈夫です。あなた方の荷物は大切に保管していますよ。ゲームが終わり次第お返しいたします。」
「げ、ゲーム?!」
「はい。ここはエデン、楽園です。皆様は共通のゲームをやっていただきます。優勝者には1億円差し上げます。敗者には……ふふふ」
「こ、これがいわゆるデスゲーム……なのか……」
「それではゲームの説明です! ゲーム名は『オオカミとヒツジ』です!」
◆ ◆ ◆
デスゲームがはじまる26時間前 08時
「ゲームマスターおはようございます! エンダーズ社員、アルバイト含め150名全員集合しました!」
「了解! それでは、今日の作業内容を確認します。会場の装飾。これは2年目の君と新入社員4人にお任せします。いい感じに星とかキラキラした長いモールみたいなやつとかでいい感じに飾ってください。」
「「はい!」」
「あと新人さんのために念のため言っておくが、午前中からたくさんの業者が来るからな。トイレや水道の工事業者、エアコンなどの空調管理の工事業者、電気業者、産業廃棄物業者、リサイクル業者、モニター設置業者、インターネット業者、監視カメラ取付業者、安全点検業者、弁当業者など、本当にたくさん来るから! 明日のデスゲーム絶対成功させよう!」
「おおおおお!」
「それでは解散!」
◆ ◆ ◆
(参加者100名に対して運営側450名……か……)
デスゲーム、それは命と命を懸けた本気の戦い。
勝者には富を、敗者には死を。
我々エンダーズは表向きにはイベント管理会社という名目で、アイドルのライブや企画をコンサルティングする会社だが、実は主催者から多額なお金をもらってデスゲームを主宰する闇の会社だ。
……自分で闇の会社っていってしまうとは少し恥ずかしいな……ははは。
ピンポーン
「ゲームマスター! モニターが届きました!」
「よし、今回も無事に届いたようでよかった」
私はゲームマスター。エンダーズのデスゲームの管理人として7年間働いている。しかし、こんなにもデスゲームの管理人が大変だとは思わなかった。
まず、デスゲームの会場は秘密裏に行わなければならない。そのため会場は都会から離れた廃墟等を改修して利用することが多い。そして、足が着かないように普通なら7日かかる改修作業をたった1日で仕上げなければならない。こっそりと現地調査は事前に済ませているとはいえ、かなり大変な作業になる。
「ゲームマスター! 水が出ません! このままでは参加者がトイレに行けず漏らしてしまい死んでしまいます!」
「ゲームマスター! エアコンの到着はまだですか! このままでは参加者が凍え死んでしまいます!」
「新入社員たち、おちつけ大丈夫だ。手配済みだ。10時には業者が到着する。参加者がデスゲームを楽しめるようにするのがわれわれの仕事だ。ゲーム以外で参加者たちを死なせはしない!」
「おおお! さすがゲームマスターです!」
「ゲーム遂行するまで命を守り抜くぞ! さあ、新入社員たち! 今できることをやりきろう!」
「はい!」
デスゲームの管理人の職務はゲーム参加者が快適に安全に参加できるように努める必要がある。
キャッキャ キャッキャ
「あ! この飾りかわいくないですか!?」
「ほんとだ! あ! これ今回のゲームマスター? 熊のぬいぐるみじゃん!かわいい!!」
新入社員の女子たちが楽しそうに会場の飾りつけをしている。これだけ見ればこれからデスゲームがはじまるなんて思わないだろう。だが実際はこんな感じなのだ。
しかしデスゲームといっても営利で活動している以上利益を上げる必要がある。今回、出資者から3億円も頂いているが、1億円は勝者へ渡す。残り2億円。
また3日で450人を超える人件費、工事費、輸送費、衛生、廃棄代、参加者の食事代等を含めると約4000万円が出費になる。よって会社の利益は1億6000万円。これだけ見れば大きなお金だがデスゲームという都合上、秘密裏で動く以上、上納金として40%が流れてしまう。よって約1億円しか会社に入ってこないのだ。そこから税金やらなんやら引かれると1ゲーム7000万円くらいしか会社の利益にならない。
(1人の勝者を除く、99人の命の対価が7000万円か……)
「はぁー。もっと切り詰めないと利益が……。また部長に怒られるなー」
「あー、ここもボロボロだなぁ……」
一人の作業員がボロボロになった壁を見ながらつぶやいた。
「そのくらいなら壁は1日や2日で壊れたりしないよ、補修しないで上から新しい壁シートを張るから!」
「そ、そうなんですね。どうせ明後日にはめ全部片づけちゃいますもんね。じゃあ床とか天井もですか?」
「ああ。会場は白をモチーフとしたシックなデザインで行く。ちなみに俺らの休憩室と参加者の監視室は別に見られるわけじゃないから適当な個室で作るからな。壁補修はーーあれだ
! あれ! 100円ショップで買った紙粘土でふさいどけ!」
「はい!」
紙粘土で壁を補修するという、ぶっ飛んだ改修は続く
「よし! 全員急ピッチで進めてくれ! あと25時間しかないんだからな!」
「はい!」
そんな感じで大急ぎで会場の準備が続いた。
◆ ◆ ◆
デスゲームまであと2時間 10時
「よしよし、このままいけば順調だな……」
「あの! マスター! 大変です! 自動車渋滞の兼ね合いで毒がまだ納品されていません!」
「な! 毒がまだきていないだとおおおおおおおおお!」
どうしよう。デスゲームなのに重要な毒がまだ会場にないなんて……
このままだとただのゲーム大会になってしまう。どうすればよいものか……
!!!
そうだ!