表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/6

婚約の白紙 アリシアside


私とジュリアス殿下の婚約は白紙になりました。破棄でも解消でもなく、『なかった事』として処理されたのです。なので、当然、貰えるはずの慰謝料や賠償金は減額になりましたが、クロール侯爵家にとって色々と融通を利かせて頂きました。お金を貰うよりもある意味良い事です。王命での契約ですから後から文句も言えないようにしました。ただの書面での契約なら今回のようにごり押しされる恐れがありますからね。

私との婚約がなくなった事で、ジュリアス殿下が秘かに?付き合っていた女性の存在が世間に明るみになりました。事ある毎に一人の女性を連れまわし、傍に置いていれば、嫌でも解るというものです。


ジュリアス殿下が想いを寄せていた女性は、代々医者の家系の娘で、平民のなかではかなり裕福な家の出でした。

それというのも、彼女の父親が王宮の侍医だったからです。

どうりで、ジュリアス殿下との接点があるはずです。

基本、王宮から出る事があまりないジュリアス殿下。

平民の恋人と最初に聞いた時は、役人か、それとも女官か、と考えたのですが、大学に通う女性だったのですから驚きはひとしおでした。

一体どこで出会ったのかと。


勿論、国王陛下はその交際には大反対のようで、関係を終わらせるように言い聞かせているそうです。

それ逆効果では?と思っていましたが、やっぱり、逆効果だったようです。

ダメだと言われるほどジュリアス殿下の恋心は燃えてしまったようで、遂には、恋人との一線を越えてしまったそうです。

今まで超えていなかった事が逆に驚きでした。

何だかんだと、ジュリアス殿下は奥手で、お相手の女性も真面目だった結果でしょう。

なぜそこまで詳しいかというと、お相手の女性が自ら告知に来られたからです。

一応、名目はジュリアス殿下の代理という事で侯爵邸に来る度胸は感服いたしました。

訊ねてもいないのに、逐一、ジュリアス殿下との甘い一時の話を自慢げに言うのです。

他にも、流行のドレスを贈られたとか、高価な指輪をプレゼントしてもらった等々。

ジュリアス殿下とのデートコースや、その後の床事情まで。

彼女は私が未婚だという事を忘れているのかしら?

まぁ、彼女もそれだけ必死だという事でしょう。

ジュリアス殿下にどれだけ愛されようとも、国王陛下の許可がなければ婚姻は出来ませんから。

それに、王家から再婚約の話も再燃されたようですしね。恐らく、大臣クラスの者が言っているのでしょう。困ったものです。

それ故に、彼女も捨てられないためにもジュリアス殿下に体を許したのでしょう。これで懐妊でもすれば、最悪でも、愛人の座は確保できますからね。

本人には何の保証もない立場ですけど、生まれてくる子供が王家の血を持っていれば、子供だけは最低限の権利はあるでしょう。

運が良ければ第二夫人になれるかもしれませんが…こればかりは、ね。


ジュリアス殿下の正妻になる方の意向によりますし。

まさか、御自分が正妻になれるなど考えてはいないでしょう。

今頃、ジュリアス殿下も国王陛下から色々聞かされている頃でしょうから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ