分析
身体能力を魔法で強化し、疾風のような速さで死霊たちに襲いかかる。
クレアが、至近距離で死霊に矢を射放つ。
魔力を込めた矢が死霊にむかって飛ぶ。
死霊には物理攻撃が効きにくい。物理攻撃で倒す場合は、魔力を込めて攻撃をする必要があるのだ。
クレアの魔力がこもった矢が死霊に直撃し、死霊が一瞬で霧散する。
同時に、ペイモンも死霊たちに躍りかかり、細剣に魔力を込めて斬撃で倒していく。
クレアとペイモンの攻撃で、死霊たちは次々に消滅していく。
瞬く間に、百体の死霊たちが消滅した。
クレアとペイモンは、死霊達の後方に隠れていた死霊司祭にむけて武器を構えた。
死霊司祭は宙空高く飛翔すると、クレアとペイモンめがけて〈精神汚染〉の魔法を放った。
精神に衝撃を与えて狂わせ、苦痛を与える魔法である。
常人が直撃すると狂い死にする事すらある。
クレアとペイモンは突如、目眩と頭痛を感じた。
死霊系の魔物の精神系統魔法は、慣れていないと抵抗しにくいのだ。
クレアとペイモンが、無言で距離を取って死霊司祭から離れる。
「ペイモン、大丈夫ですか?」
「もう治ったのです」
クレアとペイモンは平静に戻ると、空高くに浮かぶ死霊司祭に視線を投じる。
死霊司祭は、〈催眠〉の魔法を放った。
文字通り、眠気を誘発させる魔法だ。
クレアとペイモンは魔法障壁で防御しようとした。だが、魔法障壁を貫通して、クレアとペイモンにわずかな眠気が襲う。
「やりづらいですね!」
「精神系統の魔法は無効化しにくいのです」
クレアとペイモンが、焦りと苛立ちを顔に滲ませる。
クレアとペイモンは、レベルが高いため死霊司祭の魔法を軽減する事ができる。
だが、わずかに効いてしまう。
効いてしまう分だけ、攻撃するタイミングを逃してしまうのだ。
(ダメージはゼロですが、やりにくいです。まさか、精神系統の魔法がこんなに厄介だとは……)
クレアは空高くに浮遊する死霊司祭を黄金の瞳で見据える。
(シオン様に『二人で倒せ』と命じられた以上、私とペイモンで倒さなければなりません。そのためにはどうすれば?)
クレアが、考える。
死霊司祭が、精神系統の魔法を連発し出した。
クレアとペイモンに精神系統の魔法が効くことを見抜いたのだ。
死霊司祭が、〈精神汚染〉、〈催眠〉、〈精神衝撃波〉を乱射する。
クレアとペイモンは地上を素速くジグザグに移動して、それらの魔法を躱していく。
だが、時折、死霊司祭の放つ魔法が命中する。
命中した分だけ、タイムラグが生じてこちらから攻撃ができない。
(攻撃を全て避けるのは不可能ですね)
クレアが冷静に分析する。
(ならば、避けるのは止めです!)
クレアの黄金の瞳に決意の光りが宿る。
『ペイモン! 波状攻撃です。力ずくで押し切りますよ!』
クレアが念話で指示を出す。
『了解なのです!』
ペイモンが念話で答える。
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なお、誤字脱字報告、いつもありがとうございます。




