COLD4
※COLD1・2・3の続編です。まだCOLD1・2・3読んでない方は、COLD1・2・3をお読みください。
8、ラスト
未だに、涙が止まらない。
このままでは、涙が枯れてしまうのではないのかと思うくらいだ。
そこでまた、スピーカーの電源がついた。
【決まっただろうか。参加する者はいるか?手を挙げろ。】
すると、四人中二人が手を挙げた。
「まじかよ……」
ここまで来て、まだ殺すのか。と、正直驚いた。
【二人か……まあいい。それでは、二人で殺し合え。ちなみに、ほかの三人に手を出したら、射殺する。射殺犯が近くにいるぞ。気を抜くな。それでは、頑張りたまえ。】
“ヴッ……”
スピーカーが切れる音がした。
射殺犯……?どこにいるんだ?
そう思った直後、手を挙げた一人がもう一人の男に飛びかかり、その男の首を強く絞めた。
相手は、小さな悲鳴を上げた。
男の目は、狂気に満ちていた。
相手は、抵抗できずに苦しむ間もなく死んだ。
相当強い力で絞めていたんだろう。可哀想に。
そう思うと、胸から熱いものが込み上げてきた。
なぜ、自殺の手助けなんてするのだ。
これでは、他殺ではないか。
そうだ、相手は自殺の手助けをするつもりなんかない。
ただ、人間に殺人を犯させているだけだ。
そう思うと怒りも悲しみと一緒に込み上げてきた。
このとき、俺は誓った。
生きて帰れたら、このゲームで命を亡くした者の仇をとる。
そして、俺は絶対に許さない。C・S事務局の人間を。絶対に、絶対に殺してやる。
俺は、目からあふれ出しそうな涙を拭い、監視カメラを睨んだ。
そのとき、男が俺に襲いかかってきた。
一瞬の出来事で、すぐには理解できなかった。
どんどん首が締められてゆく。
『お前は、参加登録をしていない。……だから、このゲームで死なないんだよ……!そんなのずるい……だから……だから、俺が殺してやる……!』
こ……声が出ない……!
そのとき、“バギュッ”という音が耳元で聞こえた。
その直後、血が頬に撥ね、首を絞めていた手が緩み、男が後ろに倒れた。
「ゲホッ……!ケホッゲホッ……!」
「大丈夫か!」
田中が近くに寄り、心配してくれた。
「なんで、締められている時に来なかったんだよ……」
俺は、苦笑いをした。
「だって、他の奴に手を出したら射殺するって言っていたから、男が殺されるのを待っていたんだ。でも、射殺まで遅かった。あのときは、助けに行こうと思ったよ。」
よく考えればそうだ。あの時、何故すぐに撃たなかったのだろう。
俺に、真実を知らせようとしているのか?
その時、安心したのか、僕に睡魔が襲ってきた。
僕は、寝袋に入り、目を閉じた。
「……おい……おい……中村。こんなところで寝ていたら、死んでしまうぞ。」
目を開けると、田中がいた。
「う……うん。ありがとう。」
僕は、目をこすりながら寝袋から出た。
時計を見ると、午前二時を指していた。
「早いな。もう三日目か。」
「そうだな。」
その後、しばらく沈黙が続いた。
気づけば、午前三時になっていた。
未だ、沈黙が続いている。
先に、沈黙の階段を崩したのは、田中だった。
「俺、あと少しで殺される。だから、お前に真実を今、教える。」
「……」
「俺が、いや、俺たちが、1週間前にあるサイトにアクセスした。」
「……高橋もいっていた。」
「そうか……」
その後、数秒の間をあけて、田中がケータイのメールフォルダを開き、続けた。
「そして、登録してから十分後に、メールが届いた。内容は、『一月の十八日、日曜日に、赤馬スノーランドへ集合。一日滑っていると、コールド・サバイバルに強制的に参加させられる。開始予定時刻は、二時四十分に開始だ。リフトに乗ったら、もう終わりだ。友達を連れてきても良い。自分の最期を見届けてもらえ。では、会場で待っている。』とのことだった。」
「その友達って……?」
「そう、中村だ。」
「俺……俺だけ死なないのか?」
「そういうことになるな。」
「お……俺、事務局の奴らに復讐してやる。このゲームで、死んだ奴らの仇をとる……!」
「ここにいた奴みんなが、死を望んでいる。」
「でも―――」
「いつ死ぬかも、計画されていたんだ!」
中村が、強い声で言った。
俺の声が、掻き消された。
そうか、みんなは自分の死に怯えていたのか。
そのとき、後ろから銃声が聞こえた。
「もう、逝かなくちゃ……今まで、ありがとう……楽しかった……中村と出会えて、本当に良かった……毎日が楽しかった……ありがとう……そして、さようなら……」
「田中、そんなこと―――」
“ドピュッ”
その直後、田中が、胸から血を噴きながら倒れた。
そのとき、やっと、さっきの音が銃声だと分かった。
「……中村……復讐……してくれ……」
そう言って、田中がぐったり倒れた。
「おい……田中……田中……!嫌だ!何で……何で……こんな事に……!」
そのとき、俺は誓った。絶対に、事務局の奴に復讐してやる。絶対に、ぶっ殺してやる……!
俺はそのとき、田中の死体を抱き締めながら、心に誓った。いや、約束を交わした。
それから約二十分後、ヘリが一台、雪山に到着した。
それから、五分後、着陸した。そして、俺がヘリに乗せられた。
ヘリの中で暴れようとしたが、頭に拳銃を当てられていたので暴れる事ができなかった。
家に帰れるのだから、何か調べられるだろう。
そう思いながら、ヘリに乗っていた。
そして、今、あの事件から約二年。大学へは行かなかった。復讐のために。
そして、やっと事務局の所在地が分かった。
廃校になった、とある小学校だった。
そこに、今向かっている。腰にはスタンガン一つ、拳銃二つ、サバイバルナイフ二つが入っている。
コートの中には拳銃の弾と、麻酔銃。
バックの中には睡眠薬、ガーゼ、USBメモリが入っている。USBメモリは、データを盗むために持ってきた。
それから十分後、やっとアジトの前に着いた。意外と遠かった……
でも、そんなの関係ない。二年前、ゲームで死んだ者の仇を取ると、田中と約束を交わしたのだから。
アジトの窓は、木の板で塞がれていた。。中の様子が分からないのは危険だが、そんなこと言っていられない。
「これでいいのかな……みんな……」
そう呟き、勢いよく扉を開いた……
―COLD〜裏〜へ続く―
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