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図書室の住人たち  作者: マリア
1/1

読書好き、姫樹

(最近、虫増えたなあ)

歩道を歩いている天満姫樹てんまひめきは、大の虫嫌いである。

バッタやセミならまだいけるのだが、クモやハエなどは見ただけで発狂してしまうほど。

身長が5年生にして160を上回っているのに、バスケやバレーボールには興味を示さない。

そもそも、姫樹は運動全般が苦手だ。

懸垂も腕に力を入れるだけで終わってしまうし、基本中の基本である逆上がりすらできない。

(ま、逆上がりができたって、社会に出たら何の役にも立たないだろうし・・・)

姫樹の将来の夢は小説家なので、想像力と発想力さえあればできる仕事だ。

算数では、小数点の付け忘れなどで100点を逃してしまう。

が、国語のテストだけは毎回100点を取れるのだ。

文系である姫樹は、少し時間があれば本を読む。

算数の授業中もボーッとし、先生から注意されれば「私がボーッとしていたという証拠は?」ととぼける。

「なら、この問題の答えは?」と先生が計算の問題を指差すと、こっそり電卓で計算し、即答する。

荒々しく、喧嘩になるとすぐ暴力で解決しようとする。

まあ、姫樹の悪いエピソードを晒すのはここまでにしておこう。



姫樹は市立図書館に入った。

(今日はどの本を読もうかなあ)

伝記や推理モノ、恋愛モノなどは全て読みつくしてしまった。

でも、エッセイなどのノンフィクションでも、姫樹は満足なのだ。

(料理の本でも読もうか)

姫樹は、料理のレシピが書かれてある雑誌を手に取った。

(家庭科の授業が始まったばかりだし、丁度いいだろう)

姫樹は、小学5年生になるずっと前から、料理が好きだった。

(一番うまくできたのはスパゲッティかな)

最初のページを開いた姫樹は、驚いた。

(何だよ、この落書き)

『本なんか、読んでも意味が無い。本読んでる奴って、夢見がちな奴だけ。今の時代に本なんて必要ねえ。』

読書好きには言ってはいけない言葉だ。

(馬鹿な男子が落書きしたんだろう)

平静を装っているが、頭には血が上っていた。

(ちくしょう、字から読み取ると、松永の野郎が落書きしやがったな)

落書きされた本を棚にしまうと、姫樹は家に帰った。

(松永の野郎、許さねえぞ)

怒りの余り、姫樹は拳で机を殴った。

「どうしたの?」

心配そうに、姫樹の母は聞く。

「ほっとけよ、誰もお前に話しかけてねえんだからよ。」

「何よ、親に向かってその言い方。謝りなさい!」

「好きでお前の子になったんじゃねえんだよ。お前さあ、テストで70点取ったぐらいで叱るのおかしいぞ。クラスメートの美紀みきは50点で黒毛和牛だぞ、おい。」

「よそはよそ、うちはうち!」

「黙れよ。よそはよそなら、どうして私とよその子の成績を比べるんだよ?よそはよそ、うちはうちだろ。」

「それは別よ。」

「別じゃねえよ、バーカ。」

「姫樹っ、いい加減にしなさい!」

「もう話すな、お前は草でも食ってろ。私のことを理解してねえ癖に、説教するとかマジひでえな!」

姫樹は早足で2階に上がった。

(松永の野郎とタイマンしてやる!)





姫樹の口の悪さ、お許しください。

そういうキャラ設定なので。

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