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7ページ目






 陽も暮れて、村のみんなが寝静まる頃、備え付けられている机の引き出しからノートとペンを取り出し、生活魔法の《ライト》を頼りに今日も日記をつける。


 内容は簡潔だ。


・スライム緑色×17匹

・スライム赤色×14匹

・スライム青色×16匹

・スライム黄色×13匹

・スライム紫色×10匹

・スライム黒色×7匹

・スライム白色×8匹

・お肉×1匹


 今日、倒した野ウサギとスライムの数を記入して終わり。


 書き始めた頃はちゃんとその日にあった事を書いていた。

 例えば、スライムには打撃よりも刺突が効くとか、リーベ婆さんはたまに話に熱が入り、とんでもなく長くなるとかね。


 だが毎日が同じ繰り返しに今ではネタに困り、倒した魔物の数を書く程度になっている。


 そもそも、地球にいた頃から日記をつける習慣などなかったがそれが日記をつけるようになったのはヤマダタロウ氏の影響しかない。

 後は倒した魔物の数を計算出来るようにだ。


 朝からブリジットになじられ、その後森に出向いてスライムを倒す、ついでにリーベ婆さんの依頼をこなし、1日の終わりに日記を書いて寝る。


 3ヶ月も続けた、この生活で変わったのは俺の精神力とレベルくらいだろうか。

 未だに銀と金のスライムは倒せる気配すらないが。



名前:今井いまい りく

種族:人族

Lv:5

SP:5


STR:20

VIT:20

INT:50

MND:20

DEX:25

AGI:25

LUK:35


《スキル》

生活魔法Lv8/100

索敵Lv5/100

《ギフト》

女神の恩情



 3ヶ月、スライムをひたすら倒し続けて、やっとレベル5。

 ステータスポイントはなるべく均等に振り分けて、やっとこの世界の大人の平均よりもやや強いくらいらしい。

 スキルはポイントを消費して索敵と生活魔法を取得した。消費ポイントは10ポイントと5ポイントで稼いだポイントをほとんど使ってしまった。


 『生活魔法』を取得した時は頭の中に使える魔法が思い浮かんだ。



 1つ目は火を付ける魔法、《ファイヤー》。

 2つ目は飲み水を出す魔法、《ウォーター》。

 3つ目は温風で乾燥させる魔法、《ドライヤー》。

 4つ目は冷風で冷やす魔法、《クール》。

 5つ目はものを洗浄する魔法、《ピュア》。

 6つ目は暗闇を照らす魔法、《ライト》。



 生活魔法を覚えた俺は早速、自身に《ピュア》の魔法を使用していた。


 俺が使用した《ピュア》の魔法は無事に発動したようで、淡く弱い光が俺を包み込み、そしてすぐに消える。


 見た目は特に自身の身体が綺麗になったようには見えないがかなりスッキリした爽快感があった。


 思えば、異世界に来てからというものお風呂には一度も入っておらず我慢の限界だったのだ。というのもお風呂は贅沢の極みみたいなものらしく、王侯貴族等しか普通は入らないらしい。

 そもそも生活魔法がある為、庶民は魔法で簡単に済ませてお風呂の存在自体知らないなんて者もいるようだ。


 まあ、この知識は全てリーベ婆さんの受け売りなのだが。


 現在、俺が取得可能なスキルは『生活魔法』、『風魔法』、『採取』、『索敵』、『回避』、『短剣術』、『体術』の全部で7つだった。


 取得可能なスキルは行動やレベルによって、今後も増加していく。ヤマダ氏日記談である。



 ステータスが1.7倍近く上がり、凡庸なスキルではあるが二つのスキルを得た俺は成長しているのだろう。実際、朝の水汲みはかなり楽になってきた。


 しかし、今日も俺の異世界生活は劇的に変わることはない。

 このまま、何も起こらず俺はこの異世界で埋もれていくのだろうか・・・。


 時おり、言い表せない不安だけが募っていくがスライムの討伐数は確実に増えている。

 『女神の恩情』の効果が現れるのも後少しだ。






◇◇◇






 なかなか結果が出ない焦りと不安を胸に抱えながら、それから更に1ヶ月の月日が流れた。


 薬草採取とスライムの狩りを終えて、部屋で日課の日記に作業のように書き込む。


・スライム緑色×15匹

・スライム赤色×17匹

・スライム青色×12匹

・スライム黄色×14匹

・スライム紫色×12匹

・スライム黒色×9匹

・スライム白色×9匹

・お肉×3匹


 書き慣れた内容は3分もかからずに書き終わった。

 ここ1ヶ月はスライムの討伐数を計算すると気が重くなるので集計していない。

 ついでにこちらも見慣れたステータスを確認する。



名前:今井いまい りく

種族:人族

Lv:5

SP:5


ステータスポイント:100

STR:20

VIT:20

INT:50

MND:20

DEX:25

AGI:25

LUK:35


《スキル》

生活魔法Lv12/100

索敵Lv8/100

風属性耐性Lv1/10

《ギフト》

女神の恩情

《称号》

スライムキラー【弱】new!




「・・・・・えっ?」



 見慣れていたはずのステータスに変化があった。


 ステータスポイントが一気に100も増えて、新しいスキルに称号。

 俺は確認の為、日記に今まで記してきたスライムの討伐数を久しぶりに計算してみることにする。


・スライム緑色×1002匹

・スライム赤色×982匹

・スライム青色×988匹

・スライム黄色×964匹

・スライム紫色×923匹

・スライム黒色×876匹

・スライム白色×864匹



 スライム緑色が1000匹を超えていた。


「やっと1種類だけど討伐数が1000匹を超えた・・・」


 自分でも気付かないうちに声が出ていた。


 ステータスポイントが増えたのは間違いなく『女神の恩情』による成果だ。


 獲られたスキルは風属性耐性。


 スライム緑色の魔石は風属性だった。

 なので『風属性耐性』を獲たのだろう。


 ならば、残りの赤・青・黄・紫・黒・白色のスライムも1000匹倒せば、同じように新たなスキルが獲られるだろう。



 思っていたスキルとは違うがそのうち、役に立つと思う。

 ちなみに俺が思っていたスキルは再生とか物理耐性とかだ。あまり大差ないか。


 この後もスライムから属性耐性が獲られるのか確かめるには他のスライムも1000匹倒してみればわかることだ。


 俺はやっと結果が出た『女神の恩情』の効果に興奮する気持ちを抑えつけて、朝がくるのをじっと待つのであった。







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