表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/18

4ページ目




 異世界生活二日目スタート。




 太陽がまだ姿を見せず、空が薄暗い朝方、リーベ婆さん家の部屋で目を覚ました俺は顔を洗う為、裏手にある井戸へと向かう。


 初めてということもあり、慣れない手付きで井戸から水を汲み上げ、顔を洗っているとリーベ婆さんが呼びに来た。


「朝食が出来るまでに水汲みもお願いできるかい?」


「わかりました」


 恩義もある為、こころよく引き受けた俺はまだ水汲みの辛さをしらなかった。




 頭から水を被ったような汗をかきつつ、井戸と家を何度も往復し、大きな水瓶を満たすとようやく朝食にありつける。

 朝食は昨日の残りのスープに予想以上に硬いパンをいただく。


 朝食をりつつ、今日からの予定を再度聞く。ちなみにお腹は6分目くらいだろうか。


 今日から毎日、俺は冒険者としてリーベ婆さんからの依頼をこなす。


 リーベ婆さんは村に来る行商にポーション等を卸して生計を立てているそうで依頼内容はポーションの原料になる薬草などの採取だ。

 そして、その報酬として朝飯と夕飯、それに部屋に宿泊させてもらうことになっている。戸惑ったことはこの村なのかこの異世界なのかわからないが昼食をる習慣がないことだろうか。

 育ち盛りの俺には厳しい現実だ。


 だがこの村には冒険者への依頼どころか、それ以前にそもそも冒険者が一人も居なかったのにリーベ婆さんが気を利かせて出してくれた依頼なので手は抜かない。

 俺は厚顔無恥ではないのでここでもリーベ婆さんの厚意に甘えるかたちとなり、心苦しい限りだ。


 薬草採取はもとはリーベ婆さんの元で薬師見習いとして勉強している弟子のブリジットがやっていた仕事らしいが今日からは俺が引き継ぐことになった。


 ブリジットは近所に住む、農家の次女で活発な13才の少女らしい。


 馴れないというか初めての水汲みに時間が掛かったこともあり、食事の途中でくだんの弟子ブリジットはやって来た。


 ブリジットは初めましての挨拶もそこそこに「これでやっと調合の勉強に専念出来るわ」なんて言っている。


 朝食を済ませるとブリジットに命じられて全員の食器を洗い、部屋の掃除から依頼とは関係ないことをやらされて終わったら、へとへとのまま薬草を採取しに行くことになった。


 向かうは俺が気付いたらいた森だ。


 森の名前は『スライムの森またはスライムの楽園』とブリジットに教えられた。


 森にはスライムの他に生きものは昨日、リーベ婆さんが言っていた野ウサギくらいしか居らず、俺のような初心者でも安心だとまた言われた。


 スライムの森へ向かう直前にリーベ婆さんに呼び止められ、手には何やら持っている。


「森へ行く前にこれを持って行きな」


 リーベ婆さんから渡された物はナイフよりも大振りな所謂いわゆる、ダガーと言われる武器にゲロ袋と同じ大きさの革で出来た袋。


「これは・・・?」


「それはじいさんが使っていたお古のダガーと魔法の袋さね」


「えっ!?」


 ダガーは兎も角、魔法の袋とはあの有名な魔法の袋なのだろうかと何度もリーベ婆さんの顔と魔法の袋を交互に見やる。


「魔法の袋を知ってそうな顔だね。カッカッカッ!」


「い、いいんですか?」


 おそるおそる聞く俺にリーベ婆さんからは豪快な答えが返ってくる。


「いいんじゃよ、魔法の袋はじいさんが沢山持っておってまだまだあるからねぇ」


 ならこの魔法の袋に水瓶を入れて、井戸の近くまで運んでから水汲みした方が楽だし早いじゃんと思ったのは黙っておこう。


 人生で初めての武器を腰に吊るし、そわそわした気持ちで準備を整える。


 準備が出来たところでブリジットと連れ立って、スライムの森を目指す。目指すと言っても歩いて10分程だが今の俺はすでに疲れ切っている。

 ついでになぜ、薬草採取の仕事がお役御免になったブリジットがいるかというと、薬草を見たことがない俺では見分けれないからだ。


 水汲みと雑用のせいで疲れてしまった俺とコミュ障のブリジットは会話もなく、先に行くブリジットを必死に追いかけるようについて行く。

 沈黙のまま、森に着くとブリジットはそのまま森の中へと入っていき、不意にしゃがんだと思ったら1枚の草葉を持っていた。


「これが薬草よ!この葉っぱの形、ちゃんと覚えておきなさい!」


 今日会ったばかりなのにこの高圧的な態度はいつまで続くんだろうか。

 クラスの女子にもこんな対応されたことがない。


 俺に薬草の葉を押し付けるとまた、森の中を移動し薬草とは違う葉を持って来た。


「これは毒消し草よ!」


 そして、また俺に押し付けると違う薬草類を持って来ては押し付ける。


 それを何回か繰り返し、一通り教え終わったつもりなのだろう。「後は自分でなんとかして」と言い残し、村へと帰っていった。


 一人残された俺は暫しの間、唖然としてその場に立ち尽くすのであった。





 精神復旧に少々時間はかかったが休憩にもなったので気を取り直して、採取を開始する。


 押し付けられた葉っぱを見ながら森中に生えている薬草類を探す。


 さいわいにも薬草類はどれも独特な葉の形状をしており、見つけるのはさほど難しくなかった。


 森に向かって出発する際に渡されていた魔法の袋に無造作にちぎっては入れ、移動を繰り返す。

 ある程度、貯まったところで休憩を挟み、また歩き出すと前方に初めてみる透明な緑色の物体がのそのそと草を粗食していた。


「スライムだ!」


 初めて見るモンスターに思わず、興奮して疲れも吹き飛ぶ。最初にこの森へ来た時は一切見かけなかったのに。

 ぶよぶよした不定形な球体が動く様は不思議で見ていて面白い。


「よし!倒そう!」


 昨夜、魔法スキルを覚えるには魔石が必要だと言っていたし、朝食の席でリーベ婆さんがスライムでも経験値は貰えると言っていたのを思い出して試してみる。


 しかし、いきなりダガーで突き刺すには抵抗があったので足下に落ちていた枝を拾い上げて、叩く。


 ペチッ!ペチッ!


 叩きつけた枝から波紋が広がるようにスライムの躯を波打たせるがダメージは無さそうだ。


 なのでもう少し強く叩いてみる。


 バシンッ!バシンッ!


 もし、この力加減で人を叩けば、間違いなく蚯蚓脹みみずばれするだろうがスライムにダメージが入っているのか疑問だ。


 バッチーン!!


 なかなか倒せないスライムに苛立ち、かなり本気で叩いていたら、5回程でやっと倒せた。


 スライムは水風船が弾けるように地面に染みと小指の爪よりも小さな石ころを残していなくなった。ちなみにこの小石みたいな物が『魔石』だと思われる。小さいが魔法のランタン等の燃料に用いられ買い取りもしてもらえるらしいし、何より魔法スキルを覚える為にしっかりと魔法の袋にしまう。


 兎に角、今はもっと大事なことがある。


 俺はレベルが上がっていないか、ステータスを確認してみたのだが流石にスライム1匹では上がらないようだ。


 その後、薬草類を集めてはスライムを見つけるたびに倒していく。

 数回の戦闘で気付いたが拾った枝でもスライムは叩くよりも突き刺す方が早く倒せるようだ。

 まだ、ダガーは使っていない。

 ひょっとしたら、スライムには打撃耐性なるものでもあるのかもしれない。もしくは種族特性とか?


 他にも分かったことがある。スライムは緑色の他に赤、青、黄、紫、黒、白、銀、金色と9種類を確認した。

 ブリジットが言っていた『スライムの楽園』という言葉が頭に浮かんだ。


 某RPGでは色が違うだけで強さも変わってきたりするので警戒していたがこの世界では色が違う以外は同じ強さのようだった。ただし、確認出来たのは7種類のみ。

 やはり銀と金色のスライムは見かけた次の瞬間には目にも止まらぬ早さでどこかへ行ってしまう。





 陽が傾き始めた頃、魔法の袋には薬草類がまあまあ貯まり、途中からはスライムばかり倒していた。


 その成果もあり、レベルアップに成功した。




名前:今井いまい りく

種族:人族

Lv:2

SP:5


ステータスポイント:0

STR:15

VIT:15

INT:50

MND:15

DEX:20

AGI:20

LUK:30


《スキル》


《ギフト》

女神の恩情




 レベルは1つ上がり、ステータスポイントを10ポイント得た。ステータスポイントは自分で好きにステータスに振り分けることが出来るポイントだ。


 俺的にはゲームなどで好んでAGI重視のビルドを使っていたので自身のステータスもそうするのが理想ではあるのだが今回は日記に書いてあった内容を考慮して、DEXとAGIに5ポイントづつ振り分けた。


 ヤマダタロウ氏の助言は大事だ。


 ステータス欄にあるSPはSPスキルポイントと言って、消費することによってスキルを取得することが出来るポイントだ。


 まあ、5ポイントしかない今の俺が取得出来るスキルは採取と生活魔法だけだ。


 その後、村に帰った俺はリーベ婆さんに採取した薬草を渡して、こうして初めての仕事をこなした。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ