第92話 罪
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病院に着いてから俺は全くと言っていいほど役に立っていない事に気付く。
そして梨絵の担当医である先生から名前を呼ばれ、梨絵と昌子さんは治療室に入って行った。
俺は入らなかった。
梨絵の足の状況を本人が俺に隠していたのなら聞けるハズもない。
否、聞くのが怖かったのかもしれない…
もし梨絵の足が最悪の場合は……
考えたくもないが考えてしまう。
あの時の…
あの事故の時の事が走馬灯のように甦る。
後遺症が残るかもしれない……
と言う医者の言葉。
あの時は思ったより梨絵の体調や足の状態も良かったので比較的早く退院出来たから後遺症なんか考えてもなかった。
それが今になって出てきてしまったのだろうか?
そうしたら俺はどうすればいいのか?
俺がどうすれば梨絵にとって一番いいのか?
俺の思い過ごしであってほしい。
この時の俺は1人残された治療室の前で、時間が止まったのかように佇んでいた。
どれくらいの時間が立ったのかは解らない。
治療室から出てきた昌子さんは青ざめた顔をしていた。
昌子さんに言葉をかけなくても想像出来る。
俺の最悪の予想が当たってしまったのだろう。
でも勘違いで有って欲しいと願いを込めて俺は昌子さんに聞いた。
「梨絵…どうでした?」
俺が発した言葉に我に帰ったように俺を見た昌子さんは
「……また…また、しばらく入院だって…」
と言った。
「入院すれば…入院したら、また良くなるんですよね?」
梨絵の足の状況は解ったつもりだった。
だから今後良くなるのか?
ただそれだけが知りたかった。
「…解らない……って」
昌子さんは担当医に俺と同じ質問をしたのだろう。
担当医にもこれからの梨絵の足の状況は解らなかった。
その後、病室に移された梨絵は痛み止めを打っているせいか普段の元気な梨絵だった。
「なんで入院しなきゃいけないの〜」
とか叫んでいる。
梨絵には知らされていないのかもしれない。
昌子さん1人で背負うつもりなのか?
今更ながらあの時一緒に担当医から聞いておけば良かったと後悔している。




