第91話 母親
おはようございます。ではどうぞ!
しばらく梨絵の足をマッサージしていると右足が左足より太い感じがした。
微妙な差かもしれないが両足を触っていると良く解る。
足の色は両足とも白い綺麗なままなので腫れているとかではない。
気になっている右足を摘まむ形で触ってみた。
「痛い、痛い…」
と今にも泣き出しそうな梨絵が大声で喚く。
他はなんともないので登校時に足を引きずっていた原因はここだと確信した。
でも俺は医者の知識もないのでどうすればいいのか分からない。
とりあえずこのままだと日常に影響あるので病院に行こうと梨絵をソファーから起こす。
「やだ!」
と頑固して動こうとしない梨絵を抱きあげ身体全体を引っ張るように家を出る。
途中まで抵抗していた梨絵は諦めたのか今は俺の腰に手を回しながら足を引きずり歩いている。
痛いなら痛いとはっきり言えば今日学校休んで病院に連れて行ったのに…
と思っていた俺の気持ちを悟ったのか
「黙っててごめんなさい。…昨日の夜から……」
と梨絵が誤ってきた。
昨日からという事はもう大分時間が立つ。
特に気になるような事がない事を祈りなが病院へ向かう。
病院の待合室で梨絵の症状を簡単に看護婦さんに話す。
看護婦さんによると梨絵の担当医は今、他の患者さんを見ているのでもう少し待つ事になると言う。
他の医者よりは梨絵の事を詳しく分かっている担当医の方が良かったので、俺達は迷わず待つ事にした。
その間、昌子さんに病院に来てもらえるように連絡した。
病院に着いてから1時間は立ったのだろうか、まだ俺達は待合室で名前を呼ばれるのを待っている。
それからしばらくして昌子さんが仕事場から直接病院にきた。
「どうしたの?」
俺と梨絵の姿を見て駆けるように寄ってきた昌子さんが最初に口にした言葉だった。
「梨絵の右足が…痛いみたいで…」
梨絵に代わり俺が答える。
「いつから?」
医者のように次々に質問してくる昌子さんは本当に娘を心配している姿だった。
親が子供を心配するのは当たり前の話しだが、小学生の頃に母親を亡くしている俺にとっては、改めて母親の存在の大きさに気付く。
こういう所では男なんかまったく役に立たないのだとも。




