第85話 期待
どうも!遅くなりました。
今日1日で俺達は随分進歩した。
でも、これで終わりじゃない…
と思う。
風呂上がりで濡れた髪を部屋で乾かす。
もう冬に入ろうとしている季節は髪の毛を乾かすのにも時間がかかる。
部屋の温度は低い筈なのに俺の体は高温状態だ。
風呂から上がったせいでは無い。
これから起きるであろう状況に期待しているからだ。
いつもの一緒に寝る状況とは違う。
キスをしたカップルが一緒に寝るのだから普通の男だったらその先を期待するだろう。
俺だって健全な高校生だ。
はっきり言って美代子は俺を受け入れてくれると思っている。
そして美代子が風呂から出て来た。
まだ濡れている髪の毛をタオルで拭いている姿を見ていると胸がドキドキしているのがわかる。
そんな俺の姿に
「どうしたの?」
と聞いてくる美代子は少し天然気味かもしれない。
ドライヤーを美代子に貸して俺は颯爽とベッドに潜り込む。
いつもなら壁際に寝る美代子からベッドに入るのだが今日は俺から先に入った。
そしてベッドの中からまた美代子を見ている。
早く来いという焦る気持ちとまだシミュレーションの途中だからもう少し時間が欲しいという気持ちが入り交じっている。
他のヤツ等はどういう気持ちで迎えるのだろうか?
当たり前の事だが俺は初めての状況だし、美代子も多分初めてだろう。
ヒロに聞いておけば良かったと今更ながら後悔している。
やはり男がリードしなければいけないのだから、昼休みにキスした時みたいにムードが大事か?
否、いつもなら美代子が先に寝る体制に入るのに、今日に限っては俺がベッドで待っている状況はムードも何も無いだろう。
下心丸出しな状況かもしれない。
そんな俺の心配も他所に髪の毛を乾かし終わった美代子が
「ふぅ〜」
と大きく溜め息を吐き
「今日はお祖母ちゃんの所で寝るね」
とベッドで待つ俺に言って部屋を出ていった。
「……」
言葉にならない俺は布団で身体中を覆った。
下心丸出しが美代子にバレた事の恥ずかしさが身にしみる。
期待値100で迎え待っていた俺に残されたのは、久しぶりに1人で眠るベッドの大きさだけだった。




