第84話 風呂
なんか幸せそうで…
パーティーでも始めるかのように料理が並べられていた。
ヒロに託されとりあえずテーブルの真ん中の位置に座った。
嫌がらせかのように友和さんの前だが…
俺の隣にはヒロと美代子が座り、そして友和さんの
「おめでとう!」
との掛け声でパーティーと言う名の宴会が始まった。
「……」
とりあえず乾杯するが、何故におめでとうなのか?
俺が不思議に思っていると
「勝弥と美代ちゃんのファーストキス記念パーティーだよ♪」
と、友和さんの隣に座る友美が言う。
その言葉に驚いて美代子を見ると
…頬を紅く照らしている。
「……」
紅くなってる場合じゃないんだけど?
なんですぐに喋るわけ?
怒るに怒れない俺はこの怒りをヒロにぶつける。
「ほら!飲めよ!」
とヒロのグラスに友和さんの日本酒を注ぐ。
友和さんと同じペースで飲ませてやる。
どうせ美代子は友美や睦美さんと喋っているから、俺はヒロを友和さんと一緒に酔わせようと考えていた。
酒を注いだら注がれ返される常識を忘れていた俺が、逆に痛い目に合わされたのは美代子達が片付け始めた頃の事だった。
そういえばヒロは毎日友和さんと酒を飲んでいるのだから俺よりは強いハズだった……
美代子が片付けている間そのまま横になっていた俺に
「お風呂入ってくれば?」
と美代子が言う。
少しダルい体を起こして風呂へ向かう。
洗い物をしている美代子に、酔っていたせいか
「一緒に入ろうか?」
と普段なら考えられない事を言う。
男だったら一緒の風呂に入るのは永遠のテーマだろう。
付き合っていても恥ずかしくて一緒に入らない人もいるのに、まだキスしか経験が無い俺が言うのには無理がある。
驚いたような顔で俺を見ている美代子を見ているとそう思う。
「…酒の力ってスゲーな」
思わず口にしてしまった俺は苦笑いしながら風呂に入った。
湯船に浸かり、入るよ〜と言って入ってくる事を少し期待しながらいつもより長い風呂に入る。
少し望みにかけたが美代子が入ってくるわけも無くのぼせ気味に風呂を出た。
そんな俺に
「長かったね。入ってくると思ってた?」
と美代子が聞いてきた。
「す、少し…」
俺は頭を掻きながら答える。
「…迷ってたんだけどね…また今度ね♪」
美代子が照れながら風呂場へ向かった。
今度?
俺の望みが叶うのか?
今日1日緩みっぱなしの顔が更に緩んでいく感じがしていた。




