第83話 俺の家
ね、眠い!おやすみなさい…
なんとか梨絵を誤魔化して家を後にした。
有難い事に最近の梨絵はあまり引き留めはしなかった。
昌子さんが帰ってくるまで居るよ!と言っても大丈夫だからと言う。
確かに俺は美代子が待っている自分の家に早く帰りたいと思っている。
そんな態度がついつい出てしまうのだろう。
だから気付かなかった。
俺を玄関で送る梨絵の寂しそうな顔に。
バスターミナルでバスを待っている間つくづく嫌になる。
バスを待っている時間もバスに乗っている時間も長い。
田舎だからしょうがないが、急いでいる時なんかは非常にイライラする。
今の俺は急いで帰らなければいけない訳でもないが、早く美代子に会いたい。
それだけの理由でいつまで待っても来ないバスにイラついていた。
やっと来たバスに乗って家へ帰る。
あと30分で美代子に会える。
さっきまで学校で一緒だったのに隣に美代子が居ないと変な感じがした。
お互いの気持ちを受け止め合った今は自分自身止められない程に暴走している。
小さい頃から思っていた事が今現実で起きているのだからしかたの無い事だと自分で納得する。
バスから降りても普段は走らないのに家まで走って帰る。
息を切らしながら庭を通り過ぎ、玄関を開けると
出迎えてくれたのはヒロだった…
「よう!」
「…どうしたんだよ?」
ヒロが学校帰りに俺の家に来るのは珍しい。
普段のヒロは帰ったら友和さんと明日の漁の準備をした後、酒盛りを付き合わなければいけないはずだ。
「まぁ、上がれよ!」
とヒロが言う。
否、違うだろ?俺の家だから勝手に上がるし。
と思っていたらヒロはリビングに向かい出した。
何度も言うけど俺の家だからね?
リビングに入るとパーティーでも初めるのか?という程の料理がテーブルに並んでいた。
そして睦美さんや友美が忙しそうに料理を並べている横にはただ1人酒盛りをしている友和さんがいた。
「……」
(何があった?)
酒を飲んでいる友和さんの前では下手な事は言えないのでアイコンタクトでヒロに聞いた。
「とりあえず座れよ」
アイコンタクトした意味がねぇよ!!
それに何度も何度も言うが俺の家だからな!!!




