第82話 幸せ
おはようございます。
初めてキスを交わした俺達は昼休みが終わるチャイムの音で教室に戻った。
よくファーストキスの味はどんな味?とか耳にするけど、俺にとってはいまいち解らない。
それに初めてのキスが学校って…
こんなので良かったのかな?
などど今更ながら自分のシチュエーションの無さにがっかりする。
でも、やっと出発出来た俺達にとってはそんなの関係はないかなと思う。
これから色んな場面で二人で積み重ねて行けばいいだけなんだから。
午前中の授業は美代子にどう告げようと考えていた為、殆んど授業の事なんか頭に入っていない。
午後の授業も美代子とキスした事を思い出していて身に入っていない。
こんな事で期末試験大丈夫か?
まぁ、解らなかったら美代子に聞けばいいだけだし。
と窓際の席に座る美代子を見るとボッーと外を見ていた。
しばらく見ていると視線を感じたのか美代子が俺の方に目を向けた。
重なり合う視線はお互いに恥ずかしさと気まずさですぐにずらしてしまった。
でも、またすぐに視線を美代子に向けると彼女も視線を合わしてくれて、お互いに頬を紅くした。
多分…
否、世界一幸せの瞬間だと思っていた。
散々、淳と緑のカップルや友美とヒロのカップルをバカにしていたけど、実際俺達も他から見たらバカップルに見えるだろう。
それくらい周りも見えず幸せな気持ちだった。
授業が終わり、学校をいつもの五人で出る。
俺は梨絵を送って行くので途中で美代子達と別れた。
梨絵と二人で歩いていると
「何か良い事あった?」
梨絵が聞いてきた。
緩みっぱなしの顔に気付いたらしい。
俺にとっては初めての経験なのだから無理もない。
「いや、別に〜」
覚られないように答ても今の俺には難しい。
「ふ〜ん。昨日とは全然違うけど?」
そんな事言われても嬉しい事は嬉しいのだからしょうがないじゃん。
とは言えず
「まっ、いいじゃん♪早く帰ろうぜ!」
と、先を歩き出した。
梨絵の家に着いてからも何があったの?としつこく聞いてきたが俺は話しをずらしたりして惚けていた。
梨絵には言わない。
否、言えない。
梨絵は俺の事を好きだと言ってくれたのだから尚更だ。
でも、梨絵には悪いけど今の俺は美代子の事しか考えられない。
やっと、
やっと結ばれたのだから。
幸せになれる
と思っていたのだから…




