第80話 距離
おはようございます。では、どうぞ!
俺は美代子の事が好きだ。
小さい頃からの気持ちは変わらない。
否、むしろ今の方が想いは強いかもしれない。
美代子にもう一度伝えよう。
冷める事の無い想いを…
いつものように授業が始まったが、全く身に入らない。
美代子にいつ伝えようとソワソワしているのが自分でも解る程だった。
休み時間の美代子の周りは相変わらず人集りが出来るので呼び出す事は困難だ。
残ったのは昼食時間でしかない。
幸い友美達も含めて五人で食べる事は決まっているので、食べ終わったら何処かに呼び出そうと考えていた。
早く伝えたい。
早く伝えないと。
と、焦る気持ちを抑えていた。
午前中の授業も終わり昼休みになった。
ヒロが俺達の教室に来て五人での昼食が始まる。
俺は当たり前のように美代子から弁当を貰い、ヒロは友美から受け取る。
五人での昼食と言っても基本的には女は女同士で話して、俺はヒロと話しするみたいな感じだった。
女同士が話ししながらの食事は長い。
俺やヒロはもう食べ終わっているのに美代子達を見るとまだ半分くらい残っている。
いつもならヒロとそのまま話しているから気にならなかったが、今日だけは早くして欲しいと願いながら待っている。
そんな俺の願いも虚しく美代子の弁当は一向に無くならない。
少しイライラしてきた俺はトイレと言って教室を後にした。
そしてトイレから美代子にメールする。
【食べ終わったら中庭に来て】
と。
美代子にメールした後、俺も外靴に履き替え中庭に向かう。
やっと俺達は結ばれるのか?
小さい頃交わした約束を果たす為の第一歩を踏み出す事が出来るのか?
中庭のベンチに腰かけながら空を見上げると、雲1つ無い青空が俺達を祝賀してくれているように見えた。
この先の二人を祝うかのように。
そして、見上げていた視線を下げると、とびっきりの笑顔を俺に向けながら歩いて来る美代子が見えた。
まだ俺達の距離は遠いいが、美代子が俺に向かって歩いて来る距離と、ベンチから立ち上がって美代子に向かって歩き始めた俺の距離は、今まで縮まる事の無かった距離が今日初めて縮まった感じがした。
そして、俺達の間に距離は無くなった。




