第73話 弁当
どうも!
休み時間の度に、梨絵と美代子の周りには人だかりが出来ていた。
だから今の状況はヤバすぎる。
昼休みになって美代子が俺の傍まで寄ってきて、お弁当作ってきてあるよ!と言ってくれた。
家でも家事は美代子が担当すると言ってくれてあったので基本的に全て任せてあった。
だから弁当を作ってくるのも当たり前みたいな感覚でしか考えていなかった。
すると、梨絵も俺の傍まで来てご飯を一緒に食べようと言う。
梨絵の言う事は全て叶えてあげたいと思う俺は断る事は考えられない。
だがこの二人と一緒に昼食を共にすることは、かなりの勇気がいる。
周りの視線は勿論だが、それ以上にこの三人で何の会話がある?
恐らく美代子は気付いているし、梨絵も気付いているだろう。
そんな事を考えていると、ヒロが教室に入って来た。
友美と一緒に食べる為にだ。
ヘタレな俺としては、ヒロ達も交ぜてみんなで食べようと提案した。
友美は梨絵と美代子の共通な友達なので問題ないし、ヒロがこの雰囲気を変えてくれるかも…と。
そして、現在俺の机の周りには、梨絵と美代子、ヒロと友美の五人が席を並べている。
やはり……
クラス中の視線は俺達に向けられていた。
そんな事を気にしないのか、梨絵が食べよう!と弁当を開いたのが合図で、皆それぞれ弁当を開ける。
前に通っていた高校の時から美代子に弁当を作って貰っていた俺は、久し振りに見る美代子の手作りに感激していた。
しかし、その感激も梨絵の一言で現実に戻される。
「どうして勝弥と美代ちゃんのお弁当一緒なの?」
昨日、俺が感じた三人の弁当が一緒だったのと同じ感覚を覚えたらしい。
それもそうだろう。
机に並ばれた弁当を見ると、ヒロと友美が一緒。俺と美代子が一緒。梨絵1人だけ違うのだから。
「「……」」
俺と美代子は何も答えられなかった。
否、答えたら……
どうなるだろう…?
すべて梨絵に話すのか?
一緒に住んでいると…
話したら梨絵の反応は?
全てが音を立てて崩れていくのか…?
俺は…
俺は、この街に何しに来た…?




