第72話 初対面
今日も宜しくです。
手を繋ぐくらい何とも思っていなかったのに……
梨絵と教室に入ると、既に来ている人達が梨絵を見て驚く顔をしていたが、すぐに寄ってきて、久し振りの梨絵との会話を楽しんでいる。
一応、梨絵を学校までエスコートしてきて、勤めを終えた俺の下には、梨絵との周りとは逆に男共が寄ってきた。
「なぁ、笠原さんと付き合ってるの?」
とか
「どうして一緒に来たの?」
とか
「昨日、愛川さんと昼食食べてなかった?」
とか……
はっきり言ってめんどくさい。
「彼女達とはただの友達」
説明するのがめんどくさい俺は、適当に答えた。
実際、美代子と梨絵の事を詳しく話すとなると、HR前の時間では足りない。 昼休みや放課後の時間を使っても無理。
それに…
話したいとも思わないし。
まだ、諦めきれず俺の言葉を待っているヤツは何人かいたが、俺が話さないことで痺れを切らしたのか、舌打ちをしながら自分の席に戻っていった。
誰かに話した所で俺達の関係は何も変わらない。
否、話したら学校中の噂の的になり、彼女達が傷つくだけだろう。
俺は元々、友達を作ろうとは思っていないから何を言われても構わない。
しかし、梨絵は思ったより人気者だったし、美代子も可愛らしさと人当たりの良さで、直ぐに人気者になるのだから、彼女達を噂の的にする訳には行かない。
知っているのは当事者だけで十分だろう。
しばらくして、美代子と友美が教室に入って来た。
それを見ていた梨絵が人だかりを避けるように友美の傍に寄ってきた。
「「久し振り〜♪」」
二人の声が重なる。
その二人の姿を見ていた美代子が
「初めまして」
と梨絵に挨拶した。
挨拶された梨絵も
「初めまして」
と手をだし、握手を求める。
お互い簡単な自己紹介をしているとチャイムが鳴った。
どうにか梨絵と美代子の対面は無事に終わった。
二人が握手している所を見てホッとしていたのは正直な感想だった。
もし、二人が仲良く出来なかったら?
想像するだけで寒気がする。
端から見れば贅沢な悩みだろう。
実際、そうなんだが……




