第51話 母親
美代子視点です。
朝方帰ってきた勝弥君は朝食を食べるとすぐにベッドに入ってしまった。
私が後で話しがあるって言ったのに。
起こすのも悪いから私は1人で友美ちゃん達の手伝いに行った。
皆は帰ってしまったから私1人だと仕事の量が多くて大変だった。
そんな事も知らない勝弥君はいつも朝早く何処かに行っちゃう。
聞いても何も言ってくれないし。
私はあの時から勝弥君の態度にイライラしていて、いつもおばあちゃんの部屋で寝ていた。
でも、あの事に気付いた私はちゃんと勝弥君に言わなければいけない。
やっと気付いたのだから。
そう思って勝弥君の部屋に向かった。
勝弥君に着いてきてもらって私達は今、波乗り場の砂浜にいる。
ここからスタートして止まっていた時間は、またここから進めなければいけない。
そう思ってここで返事した。
「私をお嫁さんにして下さい」
と。
幼稚園卒業したら引っ越すことはお母さんから言われてた。
いつもかっちゃんと遊んでいたから、もう遊べなくなるのはすごく悲しかった。
あの頃の私は何も考えないで、かっちゃんのお嫁さんにしてと言った。
かっちゃんはお嫁さんになるには結婚しなければいけないんだよと教えてくれた。
でも、結婚の意味がお互い解らなかったから私はお母さんに聞いたら返事すると約束した。
そして、貝殻を持って、待ってるからとも。
家に帰った私はお母さんに結婚の事を聞いた。
お母さんはずっと一緒にいる事よ。と教えてくれたのを思いだした。
あの頃は、ずっと一緒にいたから今とあまり変わらないと思っていた。
だから、気に止めていなくて忘れていたのかも知れない。
中学に入ってかっちゃんが私達がいる街に来た事を教えてくれなかったのは、私にすべて思い出してほしいという母親心だったのかなと思う。
私はこの時は幸せになれると思っていた。
だけど、勝弥君の返事は
「ごめん」
だった。
どうして?
答えが間違っているの?
私は勝弥君の考えている事が解らず、その場で泣き崩れてしまい、次の日帰って行った。




