第49話 告白
どうぞ!
あの日も今日のように暑い夏の日だった。
幼稚園から帰ると二人で波乗り場の浜辺まで来ていた。
お母さんが危ないから海は行っちゃダメよ!という言葉も守らずに。
ここは海水浴場とは違って海水が非常に綺麗だった。透き通る海水は下にある岩場もを写しだしている。
波打ち際で遊んでいると突然美代子が、幼稚園卒業したら引っ越すと言った。何処に行くかはわらかない。もう会えないかも知れないと。
幼稚園園児の俺にはそれがどういう意味か解らなかった。
でも、もうこうやって遊べなくなるのは解っていたつもりだった。
でも美代子はあの時
「かっちゃんのおよめさんになるからまっててね」
と俺に言ってきた。
その時の俺は
「まってるから!みっちゃんがぼくのところにくるのまってるから!!」
と本気で信じていた。
そして
「およめさんになるには、ぼくたちけっこんしなければいけないんだよ?」
「けっこんってなに?」
「よくわからない」
あの頃は結婚の意味も解らなく、ただおよめさんにくると言った美代子はお母さんに結婚の意味を聞いてから返事すると約束した。
そのとき二人がいた波打ち際に二つの貝殻が寄り添うように流れ着いた。
二人で取ろうと手をかけた瞬間、一つの貝殻が海に拐われてしまった。
その時、僕らはその日二回目の約束した。
「一つ残されても、また帰ってくるよね?」
と。
僕らはあの暑い夏の日、みっちゃんがけっこんの意味が解ったら返事すると約束した。
そして、ずっと待っているとも。
その答えが10年間の時間を越えて帰ってくる。
「私と…………私をお嫁さんにして下さい」
美代子は恥じらいながらそう答えた。
俺がずっと待ち続けた答えが帰ってきた。
あの約束した日から俺は忘れたことはなかった。
中学から美代子と同じ学校に通う事になって、あの日の約束が恥ずかしくて美代子に話しかけるのもままならなかった。
美代子はその容姿と優しさで人気者だったので俺とは釣り合えないとも思っていた。
俺と美代子を繋ぎ止めていたのは、あの日の約束だけだった。
約束がなければ俺は諦めていただろう。
しかし
「………ごめん」
勝弥は目に涙を溜めながら答えた。




