第48話 砂浜
お待たせしました。ではどうぞ!
あれから一週間が過ぎても笠原はまだ目を覚ましていなかった。
俺は朝から笠原の傍にいて、夕方お母さんが来ると家に帰る生活を送っていた。
そんな俺にヒロ達は何も言わない。
美代子も友美の手伝いで忙しいのか夕食の後はすぐ横になる。
あの事はまだ誰にも言っていない。
言った所でどうしようも無い状況だった。
明日も朝から笠原の病院に行かなければいけないので俺も夕食後、横になろうと部屋に入った。
親父達が帰ってから美代子は、ばあちゃんの部屋で寝ている。
昔話しをしているというが、ここ最近の俺の行動で、聞いても答えない俺の事を避けているのだろう。
笠原があんな状況なのでしばらくは美代子の事を考えたくない俺にとっては都合良かったのかもしれない。
ベッドに横たわり目を瞑ろうとしたら、美代子が部屋に入ってきた。
そして俺に話しがあると言った。
そういえば前にも話しがあると言ってから聞いて無かった事を思い出した俺は
「いいよ!何?」
と答えた。
すると美代子は
「ちょっと付き合って!」
と、部屋を出ていった。
美代子の後を追うように俺も部屋を出た。
もう夜だというのに、まだ夏は終わらないような暑さだった。
しかし、この街ではお盆が過ぎると観光客も少なくなり、何より毎晩浜辺で騒がしく行われる花火大会も行われなくなる。
この街では夏も終わりを迎えようとしていた。
そんな波の音しか聞こえない静かな浜辺を美代子と歩いている。
海水浴場を過ぎ、波乗り場へ向かって歩いていると
「かっちゃん、こっちだよ〜」
と突然、美代子が走り出した。
この感覚は…
あの頃に戻ったような感じだった。
美代子が立ち止まり、俺もゆっくり美代子の傍まで行く。
そして美代子が持っていた貝殻を砂浜に置き
「ごめんなさい」
と頭を下げた。
俺は美代子が頭を下げた理由はなんとなく理解出来た。
たぶん思い出したのだう。
だけど今の俺には……
すると続けて
「ここに来るまでは全然解らなかった。この間、昔かっちゃんと遊んだ所回って気付いた。……かっちゃんは……勝弥君は…ずっと…10年間も待っててくれたんだよね?」
美代子の問いに俺は黙って頷く事しか出来なかった。




