第46話 病院
お待たせしました!…でも短くてすみません。
静まり返った薄暗い廊下にある長イスに腰かけている。
隣には両手で顔を隠して俯いている女性がいた。
数時間前、俺は考えごとしながら下を向かいて歩いていた。
車が来ていた事も気付かずに…………
笠原が、俺を呼ぶ声と同時に俺の体を強く押した。
次に俺が見たときは、全身血だらけの笠原が道路に横たわっていた。
まだ…手術中のランプは消えない。
どうしてこんな事になったのだろうか?
どうして俺なんか庇ったのだろうか?
どうせなら俺が………
隣にいる笠原のお母さんには何も言えず………
ただ手術室を見つめていた。
しばらくすると隣にいた笠原のお母さんが
「……あの娘…あなたが居なくなってからずいぶん寂しがってたわ…」
「良かったわよね?大好きな人に会えたんだから……」
そう言うと、また両手で顔を塞いだ。
まるでそれは娘の死を確信したかのような発言だった。
「…まだ…まだ…大丈夫ですから。…彼女は…帰って来ます…」
俺が言うとお母さんはただ頷くだけで、また静かな廊下に沈黙が流れた。
しばらくすると手術中のランプが消え、担当医師が出てきて、笠原のお母さんが別部屋に呼ばれた。
笠原が救急車で病院に入ってからどのくらい経ったのだろうか?
笠原のお母さんも部屋から出て来ない。
しばらくすると笠原のお母さんが部屋から出てきて俺に向かって
「とりあえず……生きて……るって……」
とりあえず?
それがいいのか悪いのか予想は出きる。
今後の展開しだいでは…ということも。
俺は何も言うことも出来ず、ただ、彼女がいる部屋を見つめているだけだった。
さっき自分が言った言葉通り、笠原は生きている。
とりあえず生きている。
それだけで俺がどれだけ救われたか。
俺は病院の外で美代子にしばらく帰れないとメールした。




