第一章出会い
初投稿です。
シュヴァルブラン王国は平和な国だった。しかし、ある日を境に外界からの生物が大量に出現するようになった。その生物は異形な姿をしているため魔物と人々はよんだ。魔物に対抗すべくシュヴァルブラン王国は軍を強化し、さらに腕の立つ人間達に活躍してもらうべくギルドを設立した。そうして魔物に対抗する力をつけてきた。シュヴァルブラン王国の国王は防戦一方ではダメだと判断し魔物の巣窟、魔界へと戦士を送ろうと考えた。選定方法はギルドで活躍している戦士をスカウトすることだ。選ばれた戦士は勇者として国から多額の軍資金を貰える。その軍資金を目当てにギルドの戦士達は腕を上げて名声を上げるべく日々研鑽していた。
ユウガは日々生きるのに必死だった。ギルドには多種多様な仕事が舞い込んでくる。誰もやりたがらないような仕事を率先してやる。そのせいで人から変わり者のレッテルを貼られることもしぼしばだったがユウガは気にしていなかった。ユウガはギルドの掲示板に貼られているクエストを見る。ユウガは基本的に危険なクエストを受けることはしない。少しでもリスクがあると判断すると断念し他のクエストを探す。ユウガがじっくりと眺めてると横から突き飛ばされた。
「邪魔だ雑魚が。てめぇは雑草刈でもやってろ」
笑い声がギルド内に響く。ユウガは立ち上がり埃を払うとやけくそに1枚のクエストを取る。簡単なクエストほど下にあるため適当に取ってもユウガには丁度いい難易度だった。
「これ受けます」
「はいではお気をつけていってらっしゃいませ」
ユウガの受けたクエストは森にある薬草を取ってくるというものだった。ユウガは薬草の絵と説明を見て知ってる薬草だと安堵した。だいたいの目星をつけ、もしもの為のアイテムを荷袋につめ出発をする。ユウガの記憶では薬草があるのは森の先にある湖のあたりに生えている。森から何がでてきてもいいように常に剣の柄を握りしめる。森を歩き続けやがて湖が見えてきた。ユウガは辺りを見渡した。薬草を見つけるとそれを布袋に摘む。布袋いっぱいになり森から出ようと思ったユウガは違和感に気がついた。
黒い塊が鮮やかな緑からのぞかせていた。ユウガは恐る恐る近づく。するとそこには漆黒の鎧を身につけた騎士が倒れていた。
ユウガはすぐに近づき息があるかを確かめた。息はあるようだったが意識はない。ユウガは荷袋から魔本を取り出しすぐに回復魔法のページを探した。回復魔法のページを見つけたユウガはすぐに詠唱を唱えた。ユウガはあまり魔法は得意ではないため詠唱をするのに時間がかかった。やがて回復魔法が騎士へと注がれた。騎士はまだ意識がないようだった。ユウガは騎士を担ぎ上げ森を出ることにした。幸運なことに魔物も動物もユウガの前に現れることはなかった。ユウガは一度、自分の家に騎士を寝かせギルドへ依頼された薬草を渡した。報酬金で果物を買って家へと帰った。家に戻ると騎士は身体を寝床から起こしていた。
「いったいここはどこだ」
「ここは俺の家だ」
ユウガは騎士が森で倒れていたことを話た。騎士は静かに話を聞いていた。
「果物を買ってきたんだ食べるか?」
果物の皮を剥きながら問いかけた。しかし騎士は首を横にふった。そして部屋の周りをみまわした。少しまだ混乱してるようだった。
「失礼。助けて貰ったのに礼を言っていなかった感謝する。名を聞いていいか?」
「俺はユウガ。毎日生きるのに精一杯の底辺戦士さ」
ユウガは苦笑いしながら果物をかじる。騎士の表情は兜で覆われていて読めない。
「私には名がない。黒騎士と呼んでくれ」
そういって黒騎士は寝床から起き上がり手を前へだした。ユウガはその手を握り返しつつも、まだ黒騎士の体力が万全ではないのではないかと心配する。
「何か礼をしなければならないな」
「礼なんていらない。たまたま倒れてる人がいるから助けただけだよ」ユウガの言葉に黒騎士は引き下がらなかった。
「礼をさせてくれ命の恩人に何もできないというのは辛い」
ユウガは悩みやがて考えをまとめ首を縦にふった。
「じゃあ傷が癒えたら簡単な仕事を手伝ってくれないか」
「もう大丈夫だすぐに行こう」
黒騎士の言葉にそんなわけあるはずないとユウガは思ったが黒騎士の圧力に諦めてため息をついた。ユウガはギルドに行く準備をした。黒騎士は静かにユウガを見ている。ユウガは何となく待たせてはいけないと思い、いつもより仕度を早く終わらせた。
「今からギルドに行って仕事を取ってこよう」
ユウガの言葉に黒騎士は首を傾げた。ギルドはシュヴァルブラン王国で一番でかい組織だ。ユウガはギルドを知らない人間に初めて出会ったかもしれないと思うと同時に、この黒騎士と名乗る男は何者なのか気になった。ユウガは黒騎士にギルドの説明を大雑把に説明すると黒騎士はすぐにギルドのシステムを理解した。
ユウガと黒騎士は家を出てギルドへと向かった。黒騎士は見るもの全て珍しいのか辺りを見渡していた。ユウガは少し恥ずかしくなった。
「なぁ黒騎士。お前はこの国の人間じゃないんだよな。黒騎士の国はどんな所だったんだ?」
ユウガの問いにしばしの沈黙の後に黒騎士は答えた。
「私の国では戦争ばかりしていたよ」
その声はどこか悲しそうだった。ユウガは一言そうかと言いそれ以上の言及を避けた。
ギルドの巨大な建物に黒騎士は驚いていた。ユウガには見慣れた建物だった為、当然ながら新鮮味はなかった。ユウガの後ろに黒騎士が連れ従うような形でギルドの中を歩く。皆ユウガの連れている黒騎士に目を奪われていた。ユウガは気まずい思いをしながら掲示板に貼り出されているクエストを吟味した。黒騎士は静かにユウガを待っていた。
「おい邪魔だ雑用係!こんな昼間から来てるんじゃねぇ!」
ドンと横から突き飛ばされユウガは床に転がる。くすくすと笑う声がギルド内に広がる。
「おい何故今ユウガを突き飛ばしたんだ?」
黒騎士は突き飛ばした相手に詰め寄った。男は冷や汗をかきながら言い訳を考えていた。
「こ、これは俺達なりのコミュニケーションなんだよ」
男は作り笑いをしながらゆっくりと一歩一歩後退する。
「そうかでは私も仲良くしてもらおう」
黒騎士は言うと男の肩をトンと叩いた。すると男の身体は勢いよく吹き飛ばされ床を転げる。
「ほら次はあなたの番だ」
男はふらふらと身体を起こすと逃げる様にその場を去っていった。ギルド内は沈黙が流れた。ユウガも自分の見た光景が信じられなかったが、すぐに我に返った。
「おい黒騎士なんであんなことしたんだ!」
ユウガは黒騎士に詰め寄った。黒騎士はいたって冷静だった。
「私はこの国の人間ではないからな。教えてもらったコミュニケーションをしただけだ」
ユウガは言葉に詰まった。本当に黒騎士には常識がないのかもしれない。そう思うと始めて黒騎士に恐怖を覚えた。黒騎士はそんなユウガの顔をみてふっと笑った。
「嘘なのはわかっていたさ。命の恩人を突き飛ばされて冷静さを失っていた。騒ぎを起こしてすまない」
黒騎士は頭を下げた。ひそひそとギルドの中で響きはじめた。目立ってしまい居心地が悪くなったユウガはすぐにクエストを選択した。そして早足でギルドを立ち去った。黒騎士はそれについてくる。周りからの視線から解放されユウガは大きく息を吐いた。
「あまり俺は目立ちたくないんだ。ひっそりと生きていければそれがいい」
ユウガは黒騎士に語りかけた。黒騎士は静かに後ろを歩いてるだけだった。
受けたクエストはミニスライム10匹の討伐だった。討伐のクエストには討伐した証拠を残す為に魔法で作られた魔道具で映像を残す必要がある。この魔道具は高級な為ギルドから貸し出しされる。ユウガは壊さない様に丁重に扱った。
ミニスライムが出没している場所についた。自然豊かな森と丘のある大地だ。ミニスライムは植物の水分を吸い上げ成長する。たまに人が暮らしている土地に成長したスライムがやってきて農作物の水分を吸い上げたり、家を破壊したりと被害が馬鹿にはならない。そうなる前に小さいスライムを駆除してほしいという依頼だった。正直ユウガには無駄な仕事のように思えた。小さい芽を摘みとってもきりがないくらいスライムはどこにでもいる。報酬金を自分の家を守る為の武器を買う為のお金にまわせばいいのにと思った。しかし、こういう簡単なクエストで生活しているのが現状だ。頭をミニスライムを探すことに切り替えミニスライムがいそうな場所を探す。黒騎士と手分けをして9匹の討伐が終わった。残りの1匹がなかなか見つからない。ユウガはもう少し森の奥を探すことにした。森の奥へ進むほど危険度は増す。それだけ色々な魔物が潜んでいるからだ。この日のユウガはついていなかった。だんだんと日の色は変わっていった。あたりも暗くなってきた時、ついに最後のミニスライムを見つけた。ユウガは剣を抜きぶすりと刺してミニスライムを討伐した。クエスト終了してほっと一息ついたのもつかの間、ユウガは大きな影に気づく。予想外の長時間となったクエストにより集中力と視野が狭くなかっていた為大きな影の存在に気づくことができなかった。
ボスライム。スライムが成長した姿でミニスライムを産み出している巨大なスライム。ボスライムの討伐は熟練した戦士4人はいないと厳しいほどだ。
「おい黒騎士!逃げるぞ!」
ユウガは素早くその場を離れようと全力で走った。しかし、黒騎士はその場から動かない。
「何やってるんだ!早く!」
ボスライムはユウガと黒騎士に気づきウネウネと近づいてくる。ボスライムの通った道の草は一瞬にして枯れた。ボスライムは食事の時間らしい。ユウガは足がすくんだが迷っては入られなかった。きっと黒騎士も恐怖で動けなくなったに違いない。そう結論付けて黒騎士の方へ走りだした。
「《一閃》」
黒騎士の抜いた剣から一筋の斬激が放たれボスライムは真っ二つなりその場に溶けるように崩れ落ちた。
「お前…一体何者なんだ」
ユウガの言葉に黒騎士は振り向いた。やがて空を見上げしばしの沈黙の後、黒騎士はユウガの顔を見た。
「君になら話してもいいかもしれない。私は君達のいう魔物だ」
この日からユウガの人生は大きく変わることとなる。
自分の書きたい物を最後まで書いけるのか、そう思いながら書き始めました。文章を書くのに慣れていないため間違った言葉の使い方をしてしまうかもしれませんが温かく見守って頂ければ幸いです。皆様の感想待ってます。