01話 ドラゴンに転生しました。
目を覚ましたら、そこは森の中。
え、嘘だろう…どういう事?
その瞬間、寝ぼけていた意識が一気に覚醒した。
まず状況整理から。
自分の名前は土江蒼依。
目の前でトラックに轢かれそうになっている少年を助けてそのまま轢かれてしまった。
確かに、私はそこで死んだのだ。
だが、今の私は生きている。
周りを見渡し、気づいた。樹が明らかにデカい。
体を見てみると人の形をしていなかった。
え、待ってほしい。
近くに湖がありそこで自分の姿を確認すると、小さいドラゴンの姿をしていた。
どうやら、私はドラゴンに転生してしまったようだ。
ファンタジーで定番なドラゴン、竜と言われている種族。
まじかー、よりによって、ドラゴンに転生するとは思わなかった。
しかも、このサイズは子供サイズかもしれない。
というか、なんでドラゴン?
ドラゴンより妖精になりたかった!
……、…落ち着こう。
てくてく。
てくてくてく。
私は森の中を歩いていた。
暇だし!
それに現在地を知らないといけないと思ったからだよ!
いやまああわよくば人に出会って情報を仕入れたかったんだけどね
しかも転生したと理解した日から数日がたっている。
あの後、空腹になり木の実を取ろうとして魔物に襲われたりと苦労したりしたが、
なんというか、大変だった・・・。
なによりも、肉が食べられないのが辛いです!
「あっ、こんな所にいたんだ。」
今日のご飯(木の実)を食べていると
そこに現れたのは美少年、あれどこかで会ったことある?
「あれ?僕のこと覚えてないの?
困ったなぁ、まさか覚えられていないとは・・・、
いや、あの時は死にかけていた時だったし仕方ないかなぁ?」
とつぶやく美少年、こんな美少年と顔見知りだったら、忘れないと思うんだけど・・・。
(ん?今死にかけていた時?え?まさかあの時の少年?)
心の中で呟く。
まあ聞こえてないから返事もか言ってくるわけないか。
「やっと思い出した?」
(うん、ばっちりと。)
そう答えると少年は笑顔になって微笑んだ。
(あれ?私口に出してないよね?)
「僕の固有スキルで君の考えていることは筒抜けだよ。」
(嘘だろう、プライバシーの侵害・・・。それじゃあ、さっきまで考えていたこと筒抜け?)
「うん、筒抜けだよ」
(うそでしょ――――!?)
「さっきまで会話してたのに今更驚くの?本当に君面白いね」
一瞬、黒い気配を感じて寒気がした。
なにか嫌な予感がする。
「そうだ、僕の名前を伝えてなかった、僕はシルビオ。よろしくね」
(シルビオ君だね、うんよろしく)
不本意だけど、この心の声が聞こえてるかもしれないけどまあうん。
「それでさ、君にお願いがあるんだ。」
(おっと、さっそく嫌な予感的中か?)
「――――僕のために、この世界の世直しの旅をしてくれない?」
(はっ?)
多分、私は素っ頓狂な声をあげたと思う