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パラレル・ゲート  作者: 小鳥大軍
8/8

8話『騒々しい休暇』

さて、最近段々と暑くなってきた今日この頃ですが、皆様はどうお過ごしでしょうか?

私は、リアルがとても忙しいです。

総合ptが25を超えました!

ごめんね!遅れて!

「・・・・・・ぶー」


ぶーたれ方がすごい。頰がプクーっと膨らんでいる。


「なんでそんなにぶーたれるんだ?魔道具ならまた貸してもらえたんだろ?」

「私は怒られるのが嫌いなんだよー」


特に同僚には…と続けたタツは、髪をぐしゃぐしゃと掻くと


「あー、気分転換だ。遊びに行くぞ!ナツ」


と言って外に飛び出していった。


「・・・・・・」


修行か仕事はしないのか、と思ったが、俺も遊びたいのでタツに続く。

外に出たタツは


「じゃあ、どこ行きたい?」


悩む。今まで遊びに行くと言ったら友達の家か映画かゲーセンとかだったからなぁ。

ダメだ、なんか寂しくなって来た。


「ちなみに候補地はどこなんだ?」

「んー?山!海!町!」


それなら


「海だな」「ちなみに私は町だ!」


・・・・・・・・


「よし!じゃあ町に行こう」

「ちょっと待て」













正当な話し合いの末、町に遊びに行くことになった。宝石ウサギの一件の報酬を受け取るという目的も兼ねてるらしい。

そんなわけで、俺とタツは歩いて町へと向かった。そして後悔した。

なにせ遠い。遠すぎる。かれこれ3時間は歩いているのに、町のまの字すら見えない。


「なあ、タツ、あとどれくらいで着く?」


タツは、前を向きながら


「んーーー。だいたいあと2時間くらい」


……何……だと……前に車で行った時も遠いと思ったが、歩くと予想以上に遠い。

これじゃあ苦行で遊びをサンドしているじゃないか。行きも帰りもこの距離とか……

と、まあ、そんな事を言いながらも、なんとか街に到着。中に入るためにチョコチョコっと手続きをしていざ町へ!






町、に入ったのは良いものの、何をすれば良いのかわからないので全てタツに任せることにした。

タツは、腰にあるお金の入った袋をジャラジャラ鳴らしながら、町を歩く。


「よし!ナツ。あの店に入ってみよう」


と、指差した先にあるのは紫色のなんかよくわからない店。


「・・・・・・良いけど、あれなんの店?」

「さあ?でも面白そうじゃん?」

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

その数分後、その店に雷が落ちることとなった


「うおわぁー!よし出れたぁ!」

「なんだこの店は、私を誰だと思ってるんだ!」


まさか、まさか俺とは違う異世界から来た異世界人が元の世界に戻るために店の中に迷宮を作ってそこに入って来た人達を元の世界に戻るための養分にしていたなんて!


「あそこでユーラたちが決死の特攻を仕掛けてくれなかったら今頃俺たちはクレバンスに・・・」

「忘れろ、ナツ。それがアルバントしたユーラたちにしてやれる唯一の弔いだ。・・・・・・そんな事よりもナツ!私はお腹がすいた!飯を食べに行こう!」


と言ってその場を離れるタツ。

俺は、この店の犠牲者となった人達の為に一度合掌をした後、タツに続いた。




「美味しい!なにこれ美味しいぞ!ナツ!」

「おう!姉ちゃんそんなにインフィッシュが気に入ったのかい?ならもう一個サービスだ!」


やったーー!と喜んでるタツを視界の端に捉えながらも、俺は未だにそのインフィッシュと言うものを口に運べないでいた。

なぜなら


「…たい焼き……だと……」


そう、紛れもなく俺が手に持っているものはどこからどう見てもたい焼きなのだ。

あの、サクサクふわふわの生地に甘いあんこが詰まった和菓子。

それが異世界に売っていた事に驚きすぎて、食べれなかった。

たい焼き屋(インフィッシュ屋)のおっちゃんに貰ったサービスのたい焼きも食べ終わり、俺の持っているたい焼きを食べたそうに見ているタツ。

俺は、そんなタツの視線を・・・・・・ガン無視して一口たい焼きをかじった。








美味い。その一言に尽きる。

サクサクふわふわのほんのりと甘みがある生地に包み込まれたあんこ。

普通にウチの近くにあったコンビニのたい焼きより美味い。

俺はタツに取られないように急いでたい焼きを口に入れーーもちろん全てしっかりと味わったがーーおっちゃんにお礼を言った。


「美味かった。ご馳走さま、おっちゃん」


じゃ、次行こう、と走り出すタツ。

にしても、たい焼きを昼飯だと言い張るのはなかなかだと思う。




次にタツが向かったのは意外にも服屋だった。

お前、服とかに興味あんの?という風に見ていると


「お前なぁ、私だって一応女なんだぞ。服の1つや2つ興味があるっての」


と言い、俺には外で待ってるように指示を出すと自分は店に入っていった。

俺は特にやるとこが無いので店の横で待っている。

適当に、道を歩いている人を見てい


「やあ。こんにちは」


その男は、突如として俺の隣までやって来た。


「っ!!」

「そんなに警戒しなくてもいい。ボクは少し様子を見に来ただけだから」


何の脈絡もなく、前兆もなく、そこに現れた男は、まるで旧知の仲のように俺の肩に手を回し


「だから、そんなに力むなって。本当に様子を見に来ただけだから。うん!ところで君はどう思う?」


どう、とは何のことだろうか。


「何って、もちろんタツだよタツ。夏は今日ずっとアレと遊んできたんだろ?アレが人と同じように楽しんでるんだぜ?それを君はどう思うのかなってね気持ち悪い?微笑ましい?可愛らしい?見るに耐えない?」


その物言いにイラつきを覚え、思わずジロリと睨むと


「おいおい、何も可能性を言っただけじゃ無いか。そんなに殺気を向けてくるなよ」


中のアレが気がつくぞ、と

そもそも殺気の出し方も収め方も知らなかったので、距離を置こうとしたのだが


「つれないなぁ」


置かせてくれない。


「ま、いいや。君がどう思おうともボクの人生には何の関係もないし」


男は、一度爽やかに微笑むと、来た時と同じように消えてしまった。

街は、今の男などいなかったかの様に流れていく。

不思議な男だった。

初めて会ったはずなのに何度か会ったことがある様に感じた。声もそうだ。

それなのに全くと言って良いほど信用しようと言う気が起きなかった。直接触れた肌も、生きているとは思えないほど冷たかったし。

タツに一度話すか。

そう思ってタツを待っていたのだが・・・・・・

タツの服装を見ると同時に全て吹き飛んだ。

どうだろうか?と堂々と胸を張りながら服の感想を待っているタツには悪いが、、、ダサい。

これ以上ないくらいにダサい。

こう、一つ一つの色合いとか、模様とかは綺麗なんだけど、組み合わせが天文学的に合っていない。

しかも、整っている顔立ちの女性が来ているのも相待って、なんとも言えないダサさが滲み出ている。

こいつが他人だとして、道端をこの服を着て歩いているのを見たら、確実に二度見する自信はあるし、二度見した後に『うわぁ』と言う声が漏れ出てしまう自信もある。

それほど、ダサいのだ。


しかも、俺が感想を言うのを躊躇っている間にタツは更に自慢げな表情になり、まるで自らがモデルであるかの様にポージングを始めた。

イタダサい。

イタくて、ダサい。

そろそろ周りの目が痛くなってきたので、恐る恐る感想を言う。


「あのな、タツ」

「ん?どうした?余りの神々しさに見惚れてたか?」


どうやら、俺が躊躇っていた時間を見惚れていたと勘違いした様だ。


「何を聞いても怒るなよ」

「おうおう!私の鋭すぎるセンスを見て思わず惚れてしまっても、今の私は機嫌がいいから許してやろう!」


そうか・・・うん。なんか言うのが可哀想になってくる。


「あのな、タツ」

「ん?」


デジャヴ。

そう言えば、デジャヴってなんで起きるんだろう?俺の友達は人生を何回もループしているからだ!とか言って変な宗教立ち上げたけど、実際のところどうなんだろう。

と、現実逃避もそこまでに。


「ダサい」













「ごめんってタツ。あまりにバッサリ言いすぎた。もっとオブラートに包んどけばよかったなって思わなくもないからさ」


タツは、無言で前を向いて進んでいる。ここからじゃあ見えないが、かなり怒ってるのではないだろうか。


「だからさ」


「そろそろ降ろしてくんない?」


俺は、ミノムシみたいな状態で吊るされながらも必死にタツを説得しようとしていた。


「てか、この棒とか紐とかどこから持って来たんだよ。まさかわざわざ買ったのか?あ!そういえば宝石ウサギの報酬はどうしたんだ?なあ、そろそろ降ろして」


俺の懇願が効いたのか、タツは俺を吊るしたまま前に持って来て


「じゃあ、この服がダサくないって言え」

「ダサくなくなくなくない」


結局、次の日の昼まで縛られたままだった。

薄暗い部屋の中で、男が1人。


「「「「「んー何でかなぁ何で急に育って来たかなぁ」」」」」


声が反響し何重にも重なって聞こえる。


「「「「「まあ、いいや。今はアレが無くても」」」」」


と言い、部屋の中で一番目立っているものに手を触れた。それはガラスの筒で


「「「「「ロキを作るには何とかなる」」」」」


その中には眠っている人が。黒く長い髪に、整いながらも何処か野性味のある顔立ちの男。少年のようにも、老人のようにも見える。

その男が目を開けるのは、一体いつか・・・・・

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