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パラレル・ゲート  作者: 小鳥大軍
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2話『初めの修行(?)』

しばらく歩くと、小川が流れているのが見えた。その小川を遡って行くと、二つの小屋が繋がっているものが見えた。


「アレが私の家だ」


その家の周りには、かるい畑があり、何というか、ファンタジーの中の田舎みたいな家だ。

その中に入って行くタツについていって中に入ると、そこは、・・・・・・端的にいえば、汚部屋だった。床の上には無秩序に散らばっている本やゴミ。思わず顔をしかめてしまうほどの異臭。入り口で立ち止まってる俺が見えていないかのように、タツは家の中に入って行って


「あー、ちょっとばかし散らかってるけど、気にせず入って」

「ちょっとってレベルか!?これ!!」


俺は、今、一つの決意をした。


「掃除するぞ」

「え?この程度で?」

「これをこの程度っていうのはおかしい」


ぶーぶー言うタツを無視してとりあえず目の前の床にあった本から拾い上げる。そこに綴られていたのは、どこか日本語に似ている謎の言語。はいはい夢夢。・・・・・・いや、流石に無理だろ。これが夢だとしたら俺は頭の中で独自の言語を作り上げることができる天才ということになるぞ。ちなみに俺の国語の成績は3だ。

先ほどの飛行の時から薄々思い始めてはいたが、これは夢ではないのではないだろうか。夢にしてはやけに感覚がリアルすぎるし、この文字だ。・・・・・・・まあ、なんにせよ今の俺の目的は変わらない。

とりあえず本棚がなかったので床の本達は端に積み上げ、異臭の元であると推測できる謎の物体Xは、家の外に持ち出した。その後はゴミを家の中にあった袋に入れ、そこら辺にあった布で床や壁を拭き、とりあえず『何の変哲も無い小屋』と言えるレベルまでは片付けた。後ろでタツが、おー弟子っていいもんだな、と呟いていたのが聞こえ。振り返り


「弟子?」

「ああ、お前、私に色々教わるんだろ?ならお前は私の弟子だ!」


胸を張って言われた。しかもドヤ顔で。


「それじゃ、何からする?私、誰かに何か教えんのって初めてなんだよな。さてさて、何からする?」


何からと言われても、全部としか言いようがない。ゼロから始めるってか。あながち間違いでもないな・・・。


「じゃあとりあえず剣振ってみろ。剣。お前の神器剣型だろ?」


俺とタツは外に出た。タツの前で剣を振るうとタツはじっと見て


「おまえ・・・・・」


なんだ。


「普通、だな。うん。上手くもないし下手でもない。普通だな」


テンション下がっちゃったなー、と頭を掻いた後


「じゃあ魔法!魔法使ってくれ。その神器で!その神器が何の神なのか気になるし」

「どうやって使うんだ?」


今度は珍獣でも見るような目で俺を見てきた。又は原始人。まあ、どっちでも大した差はないな。


「お前、余程の金持ちか貧乏かのどっちかだろ。今のご時世で魔法の使い方知らないとか、今まで自分で魔道具使ったことないか魔道具買う金がないかのどっちかしかない」


今度はタツが小屋の中に入っていく。俺もその後について行って小屋に入ると、タツが本を漁っていた。


「ここかなー。それともあっちかなー。弟子に整理させんのも考えもんだなー。おーあったあった」


と言いとある本を引っ張り出してきた。その表紙にかいているのは、『&¥@*¥+%*&@*&』(イメージ。実際はもっと日本語っぽい)。うん。読めん。


「よし、これ読んで魔法の使い方覚えろ」


読めん。てか、読んで覚えろって。師匠ってなんかちゃんと教えるもんじゃないの?


「読めない。てか文字わからない」

「は?」


タツはうーんうーんと唸りながら少し嫌そうにして


「えー、文字から教えなきゃなんないの?幼児。幼児レベルだよ」


・・・・・・・この人はもう少し人のことを考えたほうがいいと思う。さっきから自分のことしか考えてないような気がする。


「ハイじゃ、これが『あ』」


と言って『⁂』(イメージ。実際はもっと日本語っぽい)を指差した。次は『⌘』(イメージ。実際は以下略)を指差して『い』と言い、その後は『§』(イメージ以下略)を『う』、『ヾ』(全略)を『え』といったように50音全てをやっていったのだが、すぐに全てを覚えれるわけもなく、直後のテストでは5個しか丸が付かなかった。いや、5個も丸がついたと言うべきか。奇跡である。まあ、発音は日本語と同じだったので勘、というものも少しは当たりやすくなったのか。


「ダァー!!もう!!めんどい!!なんで文字もわかんないんだ!学校も行ってないのか!?貧乏なのか!?」


タツは本と紙とペンを取り出してこっちに持ってきて


「読め、書け、覚えろ」

「別にカタコトじゃなくても伝わるぞ」


むしろカタコトって伝わりにくいんじゃないだろうか。まあ、確かにそれが1番だとは思うけど。

俺はまずタツが持ってきた本と、タツが言っていたことを照らし合わせて、この世界の言語の横に同じ発音の日本語を書「ちょっと待てお前。その文字はなんだ?」


なにを言って・・・・。ああ、この世界のものとは違うからか。


「これは俺が住んでたところで使ってた文字だよ。そんなに珍しいものでも・・・・・いや、珍しいのかな?」


俺がそう言ったのを聞くと、タツは顎に手を添え少し間を開けたあと


「気にすんな。続けろ」


と言い、俺が続きを書くのを凝視して待った。おれはそんなタツを少し怪訝に思いながらも、同じ作業を続ける。50音全ての文字の横に日本語を書き終わると、タツはその紙をひょいと奪い取り読み込んだ。しばらくしてからこちらに向かって


「お前一体どこに住んでたんだ?この私ですら知らない言語。しかも世界共通語と発音一緒のを使っているとか」


どこ、か。日本の横浜って言ってもいいのか?大抵こういう世界に来た主人公って自分の出身地言ってないよな。なんでだろう。・・・・・・・・・まあ、夢だしいいや。こう思うのも2回目だな。


「日本の横浜だよ」

「ニホンノヨコハマ?どこだ」


思ったよりも薄い反応だ、と思うかもしれないが顔を見ると分かる。先程まで怪訝な顔をしていたかと思えばあら不思議。自分のプライドを粉々に打ち砕かれたような、新しいおもちゃを見つけた子供のような、不思議な顔をしていた。


「面白い」


ボソッと呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。面白い。なにが!?と言うほど俺は鈍いわけじゃない。俺の出身地が意味わからない場所だからだろう。日本ではトップ5に入るくらい有名なのにな。


「まあ、細かいところは明日でいいや。もう5:00だし。飯食うぞ」


5:00か。早くね?いやでも家によるか。友達にも4:00に晩御飯を食べる奴がいたしな。

出て来たご飯は、日本食、ではなく肉を焼いたものと野菜の盛り合わせだった。これがなぜか美味い。肉は奥からどんどん肉汁が出て来て、それでいてしつこくない。野菜は、ドレッシングが効いて居て美味しく、肉の脂をうまい具合に相殺してくれていた。気がついた時には食べ終わっていたほどに美味かったのだ。

食べ終わった後も何かやるのかと思ったら、タツはベットに横になって寝てしまっていた。仕方がないので俺は出来るだけ文字を覚えてからタツが出してくれた布団と毛布で寝た。次の日に目を覚ましてもここに居たら夢ではないと認めよう、と思いながら。

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