プロローグ
二度目の物語です。頑張ります。
「もう、何度目だろうか」
飽きるほど見たこの景色をいつになっても新鮮に感じる。
雲一つない快晴の空に時々、鳥が通っていく。
確か、あの時、俺が見たのは夕焼けだったはずだ……こんな美しい景色をあの時余計に恐ろしく感じた。誰かさんが召喚魔法を失敗しなければまだ大丈夫だったかもしれない。本当は王都にいたはずなのにここはどこだ。海と森しかないここはどこだっていうんだよ。
「本当、あの時は大変だったな。ハハッ」
思い出せば思い出すだけ笑えてくる。
あの時の俺に言ったら、きっと『笑い事じゃねえ!』って言い返されると思う。
確かにあの時はもう、何が何だかさっぱりわからず途方に暮れていた。そんな時、時間は俺の思考を待ってはくれず、とうとう夜になった。夕方でも恐ろしい森が夜になって急に大丈夫になるわけがない。さらに海まで真っ黒になって波しぶきの音を聞くたび呑み込まれるのかと思った。
そんな、現実を否定しようと思って頬をつねったり、叩いたりしても目の前に広がる景色は一向に変わる気配がしなかった。
まさか、その時、〈異世界召喚〉されていたとは気づかなかったから海に身を投げ出そうとした矢先――俺は運命的な出会いをした。
運命っていっても相手は女ではなく男だ。
その出会い方も本当に笑えてくる。
「あいつがいてくれていたからこそ、今の俺がいるようなものだよな」
こんな世界で一人で生きていくなんて無理だ。武器も武装もしていない俺に何もできなかった。
でも、あいつと出会って色々教えてもらい色々あったけど楽しかった。
もう、ここの暮らしにも十分なれてハッピーライフと言っても過言ではないだろう。
「……今頃あっちの世界はどうなっているんだ」
今日は休暇をとったからこうしてゆっくり、落ち着いて考えることができる。時々、思うことがあるけど他の事で頭がいっぱいでそんなことはすぐに忘れてしまっていた。
「母さん、父さん、姉貴、元気でいてくれよ」
俺がいないという形で過ごしているのだろうか。それとも、時間が止まっていいたりするのだろうか。
何にせよ、無事でいてくれたらいいんだ。だって――
「もうすぐ、そっちへ行けそうだからな」
待っててくれよ。
そんなふうに思って、寝っ転がろうと思った時。
「英雄アキト様だ!」
「アキト様!」
森を探索していたのか白いTシャツを汚して数人の子供が近寄ってきた。
「ねぇ、アキト様! 遊んでよ!」
「……そうだな」
今の子供は礼儀というのを知らないのか?
俺は重たい腰を起こして近くにあった切り株に座った。
子供たちは目をキラキラさせて見てくる。俺も小さかった頃はこんな感じだったのかな。
「じゃあ、みんなにある男が英雄と呼ばれるまでの物語を話してあげよう」
さて、どこから話そうかな。
どうでしたか。感想をいただけると嬉しいです。次話楽しみにしていてください。