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脂肪銀行   作者: ハロ
7/13

7話 人間観察。

「いらっしゃいませ!

本日は、どのようなご用件でしょうか?」

営業スマイルで、受付嬢は微笑む。相手から話すまで、勿論待つ事を忘れない。


「あの、借りたいんですけど?」

「了解しました。では、こちらをお渡しします。」

手際良く、受付番号の紙を渡した。

【受付番号76番】

「それでは、あちらでお待ち下さい。」

斜め45°の丁寧なお辞儀で、女の行く先を見守る。


「はぁ、本当に良かったのかな?」

女はそう呟く。


今日も大繁盛だ。椅子には溢れる程、人が待っていた。それを眺めていると、様々な人がいるなぁと思う。女は人間観察が好きだ。だから、この人達の観察をする事にした。

太った人が多い。極稀に痩せた青年らしき人物を見かける。100kgを超えているのでは無いだろうか?と、窓口に向かう、その二人組が個室へ入るのを見届けた。

ん?何だろう、この違和感は。二人組が目の前にいる。ガリガリに痩せた男だ。そして、ふっくらとした女性。アンマッチな組み合わせである。そんな事を考えていたら、先程の二人組の女性が出て来た。


「え!?」

思わず叫んでしまった!関取のような体型が、モデルさん?と思える程のスリムになっているではないか!!しかも、骨格を無視した痩せ方である!同じ人物とは、まるで思えない!整形手術でもしたのか!?あんな短時間に!?

それと入れ替わり、前の男女の凸凹コンビが入って行く。


「あり得ない。」

多分、まだあの関取は個室から出て居ないのだ。もしくは、見間違えたのだろう。お化けの歌にもあるように、そう自分を騙す。


10分は経過した。

あまりの衝撃に、耐えきれず呆然としていたからだ。

すると、先程の凸凹コンビが出て来る。


「は!!??」

ガリガリに痩せた女と、デブデブに太った男が出て来たではないか!!あり得ない!あり得ない事が起こっている!!二人を目で追ってしまう程であった。女はそれに気付き、軽く会釈する。


「ぐは!何よこれ!?」

記憶を探る。女は間違い無く、ふくよかだった。お世辞にも、ぽっちゃりとは言い難い。が、モデル並みのスタイル、胸にはしっかりと肉付きされていたのだ。

男はと言うと、ガリガリだったハズ。が、デブと避難されるくらいだ。


「こんな事があっていいの?」

自問自答する。が、その時間は訪れなかった。


『受付番号、76、番の方は、窓口、3番まで、お越し下さい。』

ハッと受付番号の紙を確認する。自分の番だ。急いで立ち上がり、窓口3番を目指した。



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