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脂肪銀行   作者: ハロ
6/13

6話 アルバイト3。

「はっ!はっ!はっ!」

小林は走る!走る!走る!景色は無い。ただただ走るのみである。ドットパネルを時折見た。ゲージが左右に揺れ、脂肪の燃焼効果が確認出来る。その下を見ると、カロリー消費の数字が増えていく。小林は、それを見てニンマリする。脂肪の燃焼により、体重が減った分だけ、追加でお金が貰えるからた。


15分経過。

カロリー消費の数字が109となる。そろそろ、ご飯お茶碗1杯分となるなと小林は思った。そういや福士君は、ちゃんと運動しているかな、と心配になる。


「福士君、サボって無いといいけど。」

小林は、そう呟いた。だが、心配しても仕方が無い。見に行く訳にはいかないし、そもそも自分も手一杯なのだ。人の事を心配している暇等無い。


その頃、福士はというと。

「あー、飽きた。」

とりあえず足でこいではいるが、汗は然程かいていない。カロリー表示を見ると、59となっていた。最初は一番重いトルクにしていた。が、直ぐに疲れて中間設定に、更に怠くなって、現在一番軽い設定になっている。


「つまんないなぁ。」

スマホは工藤に取り上げられている。その替わりに音楽プレイヤーを渡され、それで気を紛らわしていた。景色の設定を色々変えるが、それにも飽きたらしい。


「何か裏技ねーかな?」

設定を弄る。すると、???の所に行き着いた。

「何だこれ?」

自転車を降り、小林の所に向かう。


「小林!ちょっと来てくれよ!」

「ん?あ、え?福士君、運動しないの!?」

「それより面白いの見つけたんだ!!」

「いやいや、そんな事より運動しなよ!」

「ちょっと来いって!」

無理矢理小林を引き摺り、連れて行く。小林はとても不機嫌となった。調子が上がって来たのだ。カロリー表示の数字が増える事に喜びを見出だしていたから。


「この???って、何だろうな?」

「もう!そんなつまんない事で呼ばないでよ!!!」

小林は激怒する!!当たり前だ。自分達は、アルバイトでここに来ている。運動しなければ、アルバイトをしていないに等しい。つまりサボっていると言う事だ。


「そんな事で、もう呼ばないでね!」

そう言うと、小林は出て行った。

「ちぇ!ノリの悪い奴だな!」

福士は拗ねた。もう面白い事を見つけても、教えてやるものか!!そう逆ギレした。


バイクに股がり、とりあえずこぐ。景色は雨だ。気分を晴らす為、雪に変えてみる。

「ぐあ!目が!目が!」

薄暗い空間で、雪の白さと光で逆光するのだ。直ぐに目がチカチカとする。そして、またバイクを降り、小林の元へ駆け付けた。


「小林!小林!面白いの見せてやるよ。」

「はぁ!はぁ!行かないし。はぁ!はぁ!」

「お前、KYだな!ちょっとだけ、来いよ。」

小林の腕を掴む。すると、小林は叫び声を上げた!

「福士君!!!ここに一体何しに来たのさ!!!!!!」

そう、小林と福士はアルバイトに来たのだ。サボっていると、バイト代の減額となるからだ。


福士はビクッとなった。今まで、小林にこんな態度取られた事等無い。唖然としていると、更なる追撃が来た。

「あっち行ってよ。・・・あっち行けよ!!!」

「うるせぇ!小林の癖に生意気なんだよ!!あー!もう!お前にここを教えてなけりゃ良かった!!!」

小林に蹴りを入れ、戻る福士。


「イライラすんなぁ!」

もうバイクにすら股がらない。ムカついてそれ所では無いからだ。でも、何かしないとイライラを紛らわせない。闇雲にバイクの設定を触る。

『???モード解除しました。』

「お?」

福士は、銭湯モードという文字を見た。そうして、それを押す。すると、銭湯の入り口に画面が変わる。


「何だこれは!?」

画面は変更された。でも、動かない。それはバイクをこいでないからだ。福士はバイクに股がり、再びこぎ出す。すると、少しずつゆっくりだが、銭湯の入り口へ向かって行った。

「うは!これ入れるの?女湯に行けるのか!?」

俄然やる気が出て来た!もう物凄い勢いで、バイクこぐ!


のれんを潜り、靴を脱ぐ。そして、男湯と女湯の扉の前で止まる。さあ、どちらに行くのか?女湯でお願いします!女湯でお願いします!福士は祈る!こんなにも祈ったのは、高校受験以来だろう。さあ、審判の時!






















男湯でした!!

ドッカラガッシャーン!!!!!!

福士はバイクから、転げ落ち様々な設備に強打する!


「う、う、う、あああ。」

痛みで声にならない。5分程して、漸く動く事が出来た。


2時間経過。

工藤が部屋に入って来た。そして、二人に声をかける。

「小林様!2時間が経過しました。」

「え!?もうそんな時間ですか!!」

「はい。お疲れ様でした。」

工藤はニッコリ微笑んだ。


続いて、福士に声をかける。

「福士様!2時間経過しましたよ!福士さ、あ。」

福士は薄暗いバイクの置いた場所で、スヤスヤと寝ていた。

工藤のこれまで見せていた、営業スマイルが落胆に変わる。ここまで、表情を崩したのはこれから、もう無いだろう。


「やったー!!」

小林は歓喜の声を上げた!2kg減ったのだ!バイト代の詳細と袋を受け取る。


小林様


稼働時間 2H(2時間)

脂肪燃焼 2kg


5,000×2=10,000

5,000×2=10,000

合計 2,0000円


「ども。」

福士は悪びれた顔で受け取る。


福士様


稼働時間 0,25H(15分)

脂肪燃焼 0,05kg


5,000×0,25=1,250

5000×0,05=250

合計 1,500円


「え!?これだけ!?」

福士は、不平不満を口にする!

「はい。詳細通りとなりますが。」

「福士君、貰えるだけマシだよ。」

小林に言われ、福士は項垂れた。


「福士様、もし宜しければ、お渡しした脂肪を買い取りされては如何でしょうか?」

「買い取り?金かかるの!?」

「いえいえ、逆です。貰えるです。」

「うひゃ!で、おいくら万円?」

「今回2kgお渡ししましたので、

6万円となります。如何なさいますか?」

「うっは!それでOKOK!!」

「では、この契約書に判子をして頂けますか?」


福士は、ニンマリしながら、判子を押す。そして、袋を受け取った。


「お疲れ様でした。これにて解散となります。」

「おつかれした!!」

「お疲れ様でした!!」

二人は、銀行を出て行った。コンビニへそのまま直行する。


「小林!俺の勝ちだな!」

「え?勝負してたの?」

「俺のが、6万円だぞ!小林!いくら稼いだ?」

「えーと、2万円だね。」

「ほら!俺の勝ち!」

「そんな事より、電子マネー買おうよ。」

「んな事じゃねぇ!2万よこせ!」

「意味分かんないんですけど。」


小林は電子マネー1万円を購入した。スマホにチャージし、アプリのパワ風呂を立ち上げる。

「石150個購入!と!」

福士も電子マネーを購入していた。電子マネー3万円。


「じゃあ、いっせーのーせ!でガチャるぞ!」

「いいよ。」

「「いっせーのーせ!」」


小林の10連結果。

SR、R、R、R、PR、PR、R、RP、R、PSRとなった。

R5、PR3、SR1、PSR1というかなり良い引きとなる。

「やったー!!PSR1枚出たよ!

マネージャー出た!あはは。」


福士は震えていた。

「ああ!俺の勝ちだ!PSR3枚だからな!」

「うっは!神引きじゃん!見せて!」

「うるせぇ!小林!」

「減るもんじゃなし、いいじゃないか!」

「小林に見せたら、ガチャ運無くなるわ!!」

「意味分かんないよ。」


二人は、こうやってじゃれ合いながら、家路に着く。


ここは世界で唯一、脂肪を取り扱う銀行。今日もまた、一喜一憂して行く人々で賑わう。


――――――――――――――――

福士の10連ガチャ結果。

R、R、R、R、R、R、R、R、R、R

R10枚の最低10連となっていた。

彼は、初回限定10連のSR確定を既に引いていたのだ。

R80%、PR16,5%、SR3%、PSR0,5%


更に3万円課金して、SR1枚当てたのは家に帰ってからだ。

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