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脂肪銀行   作者: ハロ
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5話 アルバイト2。

「ここが運動する所だな。」

ゴクリと唾を飲み込む。不安と期待で一杯だ。何故なら、高額時給のアルバイトが、運動する事だからである。騙されて、マグロ漁船に乗せられたり、鉱山に売り飛ばされたりと、どうしても考えてしまう。最近のラノベに有りがちな事だが、実際そんな事をする訳等無い。


「まさか、このまま異世界に、

連れて行かれるって事無いよね?」

「小林、ライトノベルの読み過ぎ!んな事あるかよ!」

「ならいいけど。」

福士は期待、小林は不安と対称的なコンビだ。この凸凹コンビだからこそ、今まで上手く行っていたのかもしれない。


「開けるぞ?」

「う、うん。」

課金ガチャの為には、背に腹抱えられない。扉を一気に開く。

「お待ちしておりました。私は、工藤 幸一です。ここのルーム担当しております。」

「あ、俺は福士、こいつは小林です。」

「ご丁寧にありがとうございます。本日は宜しくお願い申し上げます。」

「「こちらこそ宜しくです。」」

「先ずは、こちらをお飲み下さい。脂肪燃焼効果を上げる飲み物で御座います。」

「睡眠薬だったりして。」

「馬鹿!んな訳あるかよ。」

「ははは。では、私が試飲しましょう。」

工藤は、ペットボトルからコップに継ぎ、一気に飲み干した。


「睡眠薬の効果が現れるまで、

とりあえず説明しますね。」

どっと笑いが生まれる。

「ほらな!小林は異世界信じ過ぎだって!」

「ごめん。」

「はは。異世界、あれば行ってみたいですね。」

工藤は社交辞令でそう言った。


「では、ご説明致します。」

記入用紙を工藤は見る。それを参考にして、運動の内容を決めるのだ。

「小林様は、ランで運動して頂きます。

宜しいでしょうか?」

「はい。」

「福士様は、バイクで運動して頂きます。

宜しいでしょうか?」

「えーと、バイクに乗って運動出来るんですか?」

「失礼ながら、お聞きします。もしかして、自動二輪のバイクの事でしょうか。」

「ですです。」

「誠に申し訳ありません。それだと、脂肪の燃焼は見込めません。」

「え!?バイクじゃないの?」

「福士君、楽して出来る仕事何て無いよ。」

ガックリと項垂れる。


「まぁ、ランよりバイクの方が、

気分も楽かもしれませんね。」

「そのバイクって何ですか?」

「簡単に申し上げますと、自転車ですね。」

「ああ!成る程!」

「景色の変わるモニターが付いておりますので、ランよりかは紛れるかもです。」

「分かりました!」


説明が終わったので、ランとバイクの設備へと移動する。小林はラン、福士はバイク、それぞれ移動しようとした。

「すいません。お忘れになっておりませんか?」

「え?何を?」

「睡眠薬です。」

「ぶ!ぶははは!!あ!!飲む飲む!睡眠薬!!」

「あはは!!僕も飲みます!」

工藤はニッコリ微笑んだ。二人は一気に飲み干し、それぞれの場所へ移動する。


先ずは、小林からだ。

少し傾斜の付いたベルトコンベアに乗る。最新の設備だけあり、色々なスイッチがあった。スピード調整、傾斜角度、カロリー表示、と様々な機能が満載である。


「小林様、この設定で宜しいでしょうか?」

「うん。」

「では、スタートを押せば機械は動きますので、怪我には十分気を付けて下さい。スタートを押した所から、時給もカウントアップしますので。」

「分かりました!」

「不明な点が御座いましたら、そちらのボタンを押して呼んで下さい。」

小林は、意気揚々とボタンを押した。ベルトコンベアは少しずつ動き出す。さぁ、これから頑張って、脂肪を燃焼させるぞ!やる気に満ちた表情で、走り出した。


次に福士だ。

個室の様な空間に、バイクはあった。ゲームセンターによくあるホラーズマンション、シューティングバーストを連想すれば解りやすいだろう。それでも難しい場合は、プリクラを連想すれば良い。


「福士様、こちらの設定で宜しいでしょうか?」

「はい。」

「少し暗いですが、明るいと景色が見にくくなるで、これでお願いしますね。」

「了解っす!」

バイクも設備は最新だ。トルク変換機能や、ペダルの踏み加減までも設定出来る。トルク変換とは、ギアチェンジをイメージすると解りやすい。軽くも出来るし、重くも出来る。ペダルの踏み加減は、初速を得るのに必要な力の事だ。後は、惰性で走る事が出来る。

この設備にも色々なスイッチが付いており、勿論カロリー表示や、タイマーも付いている。

一番の目玉は、モニターだろう。コースを変更出来、晴れ、雲、雨、雪と様々なモードが可能だ。裏技を使えば、嵐、竜巻、台風を選択出来る。これは内緒にしておいて欲しい。他にも、解放条件を満たせば色々な事が出来るので是非頑張って欲しいと思う。


「バイクでこぎ出しましたら、時給のカウントが開始されます。後、怪我には十分気を付けて下さい。」

「了解っす!」

「では、何かありましたら、そちらのボタンを押して呼んで下さい。以上になりますが、何かご質問あれぱ?」

「大丈夫っす!」

「それでは、別室におりますので、

脂肪燃焼に励んで下さい。」


そう言って、工藤は退室した。時給5000円の魅力的な高額アルバイトを、二人はこなすのだ。



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