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脂肪銀行   作者: ハロ
3/13

3話 借金。

「いらっしゃいませ!

本日はどの様なご用件でしょうか?」

男は、混乱しながらも用件を伝える。

「あの、その、お金が簡単に手に入るって、

聞いて来たんだすけど。」

「もしかして、お客様。買い取り希望でしょうか?」

「え?どういう意味ですか?

売るモノは有りませんけど。」


男はシドロモドロになりながら、そう答える。

「では、こちらをお渡しします。どうぞ。」

「あ、はい。」

受付番号の紙を手渡された。

【受付番号301】

「あちらで、お掛けしてお待ち下さい。」

男は、訳も分からす椅子に腰かけた。

すると、直ぐに呼び出される。

『受付番号、301、番の方は、

窓口、8、へお越し下さい。』


男は立ち上がり、窓口8を目指す。

「ご利用ありがとうございます。

本日は私、中川 恵子が担当をさせて頂きます。」

「どうも。」

男は、頭を少し下げた。

「お客様、どのようなご用件でしょうか?」

「えーと、お金が簡単に貰えると聞いて。」

「成る程。お客様は、ここのご利用は

初めてで宜しいでしょうか?」

「はい。もしかして、紹介状とか必要なんですか!?」

「いえ、必要御座いません。」

男は安堵する。しかし、疑問が晴れた訳では無い。


「お客様のご要望は、お金が必要で間違いありませんね?」

「はい。」

「では、説明させて頂きます。」

「はい。」

「当社では、脂肪を取り扱っております。それを預けたり、引き出したりする事が可能です。お客様の場合、どちらにも該当しません。」

「え!?では、お金は手に入らないんてすか!!こ、困ったぞ!今日、入金しないと東京湾に沈められてしまう!」

中川は、目をパチクリした。まぁ、驚くのは無理も無い。今時、東京湾に沈めるとか言う輩は居ないのだから。


「慌てなくても大丈夫です。」

「何とかなるんですか!?」

「はい。お金は手に入りますので、ご安心下さい。」

「良かったぁ!魚の餌になる所だったよ!!」

中川は苦笑する。しかし、手元では仕事を進めている手際は良い。


「今回、買い取り希望となります。」

「買い取り希望、ですか?」

「はい。銀行にある脂肪を買い取って頂きます。」

「ほぇ、どういう事何ですか?」

「1kg3万円で、銀行の脂肪をお客様に買い取って頂きます。」

「え!?お金払うの?」

「いえいえ、逆です。貰えるです。」

「マジか!やった!!」

「どうされますか?買い取って頂けます?」

「勿論!!」

「では、こちらに必要事項をご記入お願いします。」

中川は、記入用紙を手渡す。


名前 貧乏 暇無

年齢 21

性別 男

体重 45kg

希望金額 50万円


「書けました!」

「はい!では、お預かりしますね。」

記入された内容を見て、中川は言う。

「貧乏様。ご希望金額50万円ですと、17kgの脂肪を受け取って貰う事になります。」

「17kgですか?」

「はい。体重が45kgから62kgへ増加します。」

「ほぇ、で、どうなるんですか?」

「現在の体重が増えます。そして、お金が50万円手に入ります。宜しいでしょうか?」

中川は、この人頭悪いと思った。だから、お金を提示する事で、解決方法を見出だす。


「直ぐにお願いします!!」

「ありがとうございます。では、こちらの契約書に判子を押して頂けますか?」

「分かりました!!」


貧乏 暇無 は当社から、脂肪 17 kgを買い取り、51 万円受け取ります。貧乏印


「では、暫くここでお待ち下さい。」

インカムで、脂肪を持って来て貰うように伝える。その間、お金を用意した。ペリペリペリペリ!!トントン!51万円の半沢諭吉を数え終えた。


ガチャリ!

扉が開き、小太りの男が現れる。

「失礼します!」

中川は会釈すると、ラバー吸盤を掲げる。

「貧乏様。服を脱いで、お腹を出して頂けますか?」

「え!?何かするんですか?」

「はい。脂肪をお渡ししますので。」

「うわ!何これ?」

ラバー吸盤を見て驚く。時間を掛けるのも、業務に支障をきたす。とりあえずお金の話をする。


「貧乏様。脂肪の受け取りを完了しないと、お金は受け取れませんよ?」

「分かりました!」

貧乏は、シャツを脱いでお腹を出す。ガリガリに痩せて、骨しか残っていない。小太りの男に、ラバー吸盤をくっ付けた。脂肪が吸い取られ、17kg吸引された。それを貧乏のお腹にくっ付ける!すると、ガリガリだった体は、ふくよかな体型となった!死にかけていた目のクマ等、全て無くなり健康その物だ。


「これにて完了しました。

ご利用ありがとうございました。」

現金51万円を差し出すと、貧乏は嬉しい泣きする。

「ううう!!こんな簡単にお金が手に入り、体も肉付きが良くなるとは!!」

お金を握り締め、貧乏は涙を拭く。


ここは世界で唯一、脂肪を買い取りする銀行である。今日も又、救われた人々が出入りするのだ。



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