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エンマ様と俺の生活  作者: あめのそら
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無責任な覚悟

エンマ「貴様…」

あめそら「………………」

エンマ「謝罪の言葉は」

あめさら「すいっませんでしたぁ!私わぁ!学校生活なんて毎日同じや同じやおもてぇ!ならテストをぉ!ははぁん。テストをぉぁぁぁあ!!」

エンマ「で次回作が1年も遅れたのはテストのせいだと?」

あめそら「グスッ…はい」

エンマ「まぁもうすぐ夏休みだしの、許そう」

あめそら「エンマちゃぁぁん!!」

- ゴキッ

約束なんて…守れるんだろうか…。

今までも守れなかった俺が、今更約束なんて…。

「無責任じゃのぉ…」

「…なんとでも言ってください…」

俺の半分ほどしか身長がない小さな閻魔様はまるで呆れた目をして俺に問いかけた。

「お主はどうして南を助けようと思った」

「それは…あの日をあんなことで終わらせたくなかったからですよ…」

真っ白になった脳みそを雑巾絞りのように言葉を絞り出す。

「俺が…俺達が…望んだ…願った未来を…あんなことでゼロにしたくなかったんだ…」

閻魔様は目を瞑った

「なら何故それを捨てようとする?何故自分に嘘をつく?」

「それは…」

言葉を詰まらせた俺をさらに追い打ちをかけるかのように閻魔様は言った。

「暗闇で足場を探すのくらいなら自分の声を探したらどうじゃ?どうしようもないなら、どうもしないでいる気か?」

「ちが…」

「違うなら…違うという意思表示をしろ…」

閻魔様はそれだけ言うと俺の側から立ち去った…。


暖かい何かが頬を伝う…。



「和大くん」

落ち着いた、優しい声が俺の名前を呼ぶ

「ライトさん。どうしましたか?」

声のした方へ顔を向ける。

そういやこの人、人見知りだったような…今日はやけに落ち着いてるような。

「少し付き合ってくれない?」

ライトさんは笑顔を作って口もとに人差し指を当てて言う。

おそらく他の人には内緒ということだろう。

「わかりました」

そういってライトさんの後ろについて歩く。

俺はてっきりあの大きな鏡を使うのかと思っていたがライトさんは鏡のある部屋を素通りしもっと先に進む。

この地獄と言う空間は空は暗くいや、暗すぎて空と言うものがあるのかもわからない。閻魔様のいるお城と言っても過言では無いほど大きな裁判所の中には三途川が流れている。

俺はこの空間の終わり即ち一番端を見たことがない。

「和大くん」

ライトさんは俺の前を歩いたままで俺の名前を呼ぶ。

「和大くんはどうして…その…南さんを取り戻したいの?」

表情はわからないが、静かに問いかける。

「そうですね…強いて言うなら俺が全部悪いから…でしょうか」

そう南が死んだのは紛れも無いこの俺のせいだ。

分かっていたけど逃げていたんだろう。弱い自分から。

「それが仮に戯言だとしてそれが罪になるなら、多分みんな罪者だと思うよ」

俺は小首を傾げ

「と、言うと?」

地獄には光がない。

でもライトさんの背中を見つめる俺は幾つかの光の線を見た気がした。

そしてライトさんは俺の方へ振り向き

「和大くんは悪くないよ」

ライトさんは泣いていた。

心無しか顔が少し赤く染まっているような気がした。

それから、いったいどれ程の時間が過ぎただろう。俺とライトさんは『そこ』にいた。まるで、地獄に咲く花のように僕とライトさんを包んでいた。まるで体温のような暖かさ。

「これは…光?」

「地獄でもなにもないってわけじゃないのよ?」

ライトさんはずっと光がある方を見ている。

僕は勘違いをしていたらしい。暗くて、行き場のないところ、そう文字通り「暗闇」のような場所には何もないんだ、と。でも違っていた決してそんなことはなかった。俺は何時しか死んでも居場所を見つけようとした。今も見つけようとしている。

南もきっとそうなんだろう。居場所が欲しくてでも見つけられなくて。やっと見つけた温かみが、奪われて冷めきって、絶望して悲しんで、恨んで恨んで。でも俺は、一番傍にいた筈なのに、気付く事すらできなかった。形だけの幼馴染み?いいやそんなのは俺が認めない。俺と南、それから橘。

俺は…過去を救いたい。

「ライトさん!」

俺はライトさんの手をぎゅっと、強く握る。

「ふぇ?ちょ、和大くん!?き、急になにを…」

白い顔を真っ赤に染めたライトさんに俺は叫ぶ。

「俺…見つかりました!南を…救いたい理由!!」

そう。俺は見つけた。

「ありがとうございました!」

俺が望んでいたこと。

「大好きですよ!ライトさん!」

「…ええええ!?」

「ひゅー。言いよるのー和大のやつ」

「エ、エンマさぁぁぁぁぁぁん!?い、いつからそこに!?」

エンマ様は目をキラつかせ、ライトさんの真似をしながら言う。

「和大くん…和大くんはどうして南さんを取り戻したいの?」

「最初からじゃないですかぁぁぁ!」

「今のは我乍ら似ていたと思うぞ」

「そういう問題じゃなぁぁぁぁぁぁぃ!」

『…うまくやれよ。和大。』


「うぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁ!?」

鏡に飛び込む。

待ってろよ…南…

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