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エンマ様と俺の生活  作者: あめのそら
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一夏の思い出 ~だめな自分〜

エンマ「おい作者」

あめそら「はい」

エンマ「言うことがあるじゃろ?」

あめそら「はい」

エンマ「今回ばかりはお主自身で言ってもらう」

あめそら「今回は投稿が遅くなってしまい誠に申し訳ありませんでした。言い訳するわけではありませんが学校、部活が忙しくなります。これ以上遅くならないようにしますがご了承ください」


この屋敷は幼稚園のころに俺と南で入って中で迷子になったんだっけ。そのあと「子供が屋敷へ入っていくのが見えた」って通報があって警察が探しに来てくれたんだっけ…。俺と南にとってはこんな恐怖体験も小さな思い出だ。いや…もう俺だけの思い出なのかもしれない…。まぁその後俺と南の両親にこっぴどく叱られたんだけど。


「南~。今日も休みだろ?遊ぼ!」

「うん!」

休みの日は南と一緒の時間がほとんどだったな…。秘密基地とか作って一週間後の大雨で跡形もなくなったっけ。熱中症で病院に運ばれて意識が戻って最初に目に入ったのが泣きすぎて真っ赤になった南で思わず笑っちゃって南に殴られて2人して泣いたり、南がいじめられてるところに俺が突っ込んだらあっという間に返り討ちにされて気がつけば今度は南がいじめっ子を殴ってたっけ。

今思えば楽しかったな…。本当に

てかここまで語尾がたっけでしか終わってない気が……まぁいいや。

とにかく楽しかったんだ…毎日が。

「和大…」

「…ん?なんだ、どうかしたか?」

放課後だった。南から声をかけてきて俺は話していた友達と別れて南と帰ることにした。下校デートなんて感じじゃなかった。「夕日綺麗だね」とか公園を通りかかったときに遊んでいた保育園児くらいの子を見て「やっぱ子供は元気だね」とかそんなありきたりでそんなどうでもいい話ししかしなかった。でも別れ際に南は俺に「人は…死んだらどこへ行ってどうなっちゃうんだろうね」なんて聞いてきやがって…。俺は訳も分からず「さあな」と言った。何故かそのとき南に目を合わせられなかった…。でも、その一言が…俺への最初で最後のSOSだった。

その日の週末、南はあの屋敷で死んでいた。太い荒縄で首を吊っていたそうだ。

俺は南を見れなかった。子供は入っちゃだめだって…。今思えば当然だが泣きながら「中に南が居るんだろ!?だったら入れさせてくれよ!南!南聞こえるか!?居るんだったら返事をしてくれよ!!」って叫んでだっけ。あの日の放課後のあとに南を見たのは南の葬式の日だ。俺はわからなかった。なんで南は俺なんかに助けを求めたのか。俺は南を捨てたのか…。高2のときに南は居なくなった。でも時間は容赦なく俺を急かし続けた。挙句の果てには俺まで死んでしまって…。

ギギィー

古びた感じをさらに引き立てる扉、床の軋む音。その先は吸い込まれそうな闇だった。

「お、おじゃましまーす…」

そうだ…。覚えてる…本能的ななにかが…覚えている…。南が………死んだ場所。中央にある2つの階段の右を登った突き当たり左の部屋…。錆びて赤っぽくなったドアノブに手をかける。

ドアを開けた途端部屋に充満していた湿っぽい空気とほこりが一気に放たれる。それと同時に部屋は無くなり屋敷も無くなり周りの住宅街も無くなり地面もなくなり周りは見渡す限り真っ赤になっていた。その赤はまるで世界を見下し人を嫌い自分を殺し何もなくなってしまった死んでも死にきれなかった魂がかき集まったような…憎しみと悔やみに満ちた赤だった。

「なんで…誰も…愛してくれないの…なんで…誰も見てくれないの…なんデ…誰も構ってクレないノ…たすけてっテイッテルのに…誰も聞いてクレナイ…誰…ダレもミテクレナイ…ミトメテクレナイ…たすけてよ…たすけてよ。助けてたすけて助けてたすけて助けてたすけて助けてたすけて助けてたすけて助けてたすけて助けてたすけて助けてたすけて助けてたすけて助けてたすけてよ!」

そこには南が座っていた。何もなくなってしまった南が…

「南…俺だ…わかる…か…」

「あぁ…」

南の目は光を失っていた…悪かったな…ずっとひとりにしちゃって。

「あぁ…あぁぁぁぁぁぁ」

南…?明らかに様子がおかしい…。息は荒いし…まさか…俺に…気づいていないのか?

「南!しっかりしろ!落ち着くんだ!」

「だめ…」

「だめ?なにがだ?なにがだめなんだ?言ってみろ!」

「あぁぁぁ…だめ…だめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめ…だめぇっ!!」

「みなっ…」

「どいつもこいつも…だめだめだ…なんで認めてくれないの?なんで守ってくれないの?私だって…私だって…」

南は壊れたように発狂し叫び続けた。南の心を。でも…だめだった…。

「南!落ち着けよ!なんだよ自分の言い分ばっかりお前は男勝りなんだからそりゃ頼られよだろ!」

「あはっ」

南は笑った。笑って

「もういいや…。どうせこんなことしたって何にもならないし…。何にもないし…。もう疲れた。考えるのも飽きた。バイバイ私が生まれた街私が生まれた世界。バイバイ…」

「みなっ…」

「さよなら…仁美…ごめんなさい…ありがとう…さようなら……和大」

南から流れた涙が俺に落ちる…。なんだよ…ありがとうって…なんだよ…さようならって…なんなんだよ…。なんで救ってやれなかった俺なんかが礼言われなきゃいけないんだよ…。

「まってろよ…南…すぐに…すぐに救ってやる…罪滅ぼしでもなんでもいい…だから俺はお前を救う!いいな!約束だからな!」

俺は南にそう言った。南は聞こえてるのか聞こえてないのかわからないが真っ赤な空に消えていった。

元に戻った部屋で俺はひとり突っ立っていた…。


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