流れ着いた地獄
んー…。
今俺は川の上に居る。なんでかって?それは俺が聞きたいよ…。
そんな上下左右も分からない状況で下手に戻ろうとできないから川の流れに従ってるんだが…。周りは真っ暗だ。かと言って夜と言う訳でもない。正確には分からない。
…あぁ、なんか眠いな…。そういや今日は仕事で4時起きだった…。少しだけ寝よう…。
う~ん…。
「起きたか?」
「うわっ!?」
―ゴツッ
そこに居たのは見慣れない赤と白の和服のようなものを着た女の子だった。頭にも何か大きな物をかぶっている女の子は俺の顔をのぞき込むようにして話しかけてくる。
「痛てて…。お主どうやってここまできた?途中で待機場所があったはずじゃが…」
「それは…」
寝ていたらいつの間にかここに居ました。
「この先には何があるのだろうと思って…」
嘘ついてしまった…。後ろにすっごい大きな体をした赤と青の色をした人が立っていたからだ…。まさか…鬼か?
まさか…鬼なんている訳ないよな。
「おい。赤鬼こいつの名前は?」
ほら。今この子が言ったとおり…うん。…何かの間違いだよな…。
「岐保 和大 21才職業は…フリーターです。閻魔様」
…岐保 和大確かに俺の名だ。その後のことは置いといて…。
「うーん…どうしようか…」
「待ってくれ」
「なんじゃ?…命乞いか?」
「いや…俺にツッコむ時間をくれ」
「ツッ…コ…。良いじゃろう」
俺は与えられた時間を使い頭の中を整理する。そして…息を吸い込み…
「エンマサマァァァァァァ!?」
「私はエンマ。みんなからは閻魔様と呼ばれておる。あ、ちなみに9歳じゃ」
きゅ、9歳…。9歳で閻魔ってなれるのか…?
「で、後ろにいる赤いやつが赤鬼。
青いやつが青鬼じゃ」
ペコリと頭を下げる鬼。やべぇ…怖ぇ…。
「赤鬼、こいつの死因はなんじゃ?」
閻魔様は俺を見たまま言う。
な…死因?俺死んだのか?
「23時43分、信号無視の車に引かれ事故死です」
どういうことだ?俺は…死んでる?
「待ってくれ」
「…ん?どうした?」
「俺を殺したやつ…誰か…わかるか?」
「誰に向かって口をきいている!?閻魔様に失礼だろ!!」
―ガツッ
青鬼から拳をくらう。すげぇ痛い。
「そうじゃなぁ…。そこまでは無理じゃな」
「なら、俺を地獄に堕とすのは、まだやめてくれ。俺が俺を殺したやつを見つけて…俺の手で復讐できた日までまってるれ。頼む!!」
勢いよく頭を下げる。
「……本気か…?」
「あぁ…絶対だ」
少しの沈黙がとてつもなく重く感じる。
「ハッハッハッ!!気に入ったぞ!」
大きな声で笑うがどこか可愛らしさが残る。
………そんなこんなで赤鬼や青鬼達と一緒に閻魔様のそばで働くことになった。
『まぁ、鬼だけじゃのうて悪魔や死神やらが出てくるがそこら辺は頑張ってくれ』
悪魔や死神…不安しかない…。
一体全体人間の俺がどこをどう頑張れはいいんだ…。
まぁ、なんとなくだが…楽しみだ。