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灰かぶりの毒薬  作者: 青月クロエ
閑話①
35/110

眠れない夜に

Twitterのお題SS「ベッドの日」用に書き下ろした、若シャロン×ロリグレッチェンのSS。

 夜の帳が降ろされ、暗闇に包まれた空高く、三日月が昇り詰めた深夜零時過ぎ。


 カンテラの薄明かりを頼りに、シャロンが研究に勤しんでいると、コンコン、と遠慮がちに小さく扉を叩く音が耳に届いた。


「誰だね??」


 扉の向こう側からの返事はない。


 シャロンは仕方なく椅子から立ち上がり、扉の傍に歩み寄ってドアノブに手を掛ける。

 開いた扉のその先ーー、寝間着姿のアッシュブロンドの少女ーー、グレッチェンが枕を抱え、所在なさげに佇んでいたのだった。


「グレッチェン、こんな時間にどうしたんだ??」

「……恐ろしい、夢を、見てしまいまして……」

「その夢のせいで怖くなってしまい、眠れなくなったのだな」

「……はい……。……すみません、ご迷惑、です、よね??」

「いや、そんな風に思ったりはしないよ。一人じゃ心細いだろうから、今夜は私の部屋で眠ると良い」

「……いいのですか??……ありがとうございます」


 シャロンはグレッチェンを自室の中に引き入れると、ベッドに入るよう促す。

 しかし、グレッチェンは淡いグレーの瞳を不安気に揺らめかせ、シャロンをじぃっと上目遣いで見つめるばかりで一向にベッドに入ろうとしない。


「どうしたんだ??遠慮しなくてもいいのに」

「い、いえ……、その……」


 グレッチェンはごくりと喉を鳴らす。よく見ると、心なしか頬が真っ赤に染まっている。


「……シャロンさん、また、あの夢を見ないように……。……い、一緒に、寝てください……」

「…………」


 シャロンにとってグレッチェンは、あくまで年の離れた妹のような存在だ。

 同衾したとしても、やましいことを仕出かさない自信と理性はいくらでも持っている。


 しかし、相手は思春期を迎えた少女である。


 返答に詰まるシャロンに、何かまずいことを聞いてしまったのかと、グレッチェンの表情が見る見る内に曇り出す。


「……駄目、ですか??」

「い、いや、駄目ではないが……」


 悲しげに眉尻を下げていくグレッチェン。

 彼女を傷つけてしまったか、と、慌てたシャロンは根負けし、図らずも決心を固める羽目となった。


「……分かった。ただし、母やエドナ達には秘密にするんだよ。いいね??」


 すると、グレッチェンはごく控えめながらも嬉しそうに微笑み、すぐにベッドの中へと身体を滑り込ませた。程なくしてシャロンも、彼女の隣に身を横たえる。


「これで、また怖い夢を見たとしても、安心ですね」

 もう一度だけ控えめに薄く微笑むと、グレッチェンはようやく目を閉じて眠る準備を始めたのだった。


(終)

これで更に、シャロンへのロリコン疑惑が深まっていく……

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