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prologue
ある闇夜の森を一人の男が走っていた。
男は青年と言える幼さが抜けた顔を歪めて走っていた。
年はおおよそ二十歳ほどだ。
同年代の者たちはこれから待ち受ける未来への希望に心を震わせているであろうが、この男は違った。
その表情は苦痛に歪み、疲労が見て取れる。
男はその綺麗な栗色の髪を汗に濡らしながら森の中を走り続けているのである。
男からすると、なぜ自分がこのような状況に陥っているのかもわからないし。
そもそも、なぜ自分が『追われている』のかもわからなかった。
只、わかるのは遠く後ろから聞こえてくる怒声が少しずつではあるが近づいてくるのと、自らの気管が
熱を持ち痛みを覚えていることで、少なくとも男の選択肢の中には休憩の二文字はなく。
そばを流れる小川の水を飲んでゆっくりと呼吸を整えたいと、心の中で考えながらも走るしか他にはないのだ。
男は一人、暗闇の中を走り続けていった・・・。
はじめまして浪漫と言います。
私がとあるアニメを見た日に見た夢を描いてみました。
もともとが夢なので、どこかで見た設定だと思うところが多々あると思いますが、何卒ご容赦ください。