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目の前に・・・

 恋って、こんなに心がクシャクシャになるんだね・・・

 恋って、こんなに胸が痛いんだね・・・


 夢なのか、現実なのかもわからなくなるときがあるけれど・・・

 それが私の・・・記念すべき初恋。

 PiPiPiPi…

 

 奈菜の目覚まし時計が、いつもより鳴っている時間が長い。

「奈菜:ううぅ〜ん。」

 まったく起きる気配がない。

 両親も今日は朝からいないようだ。

 

 ピンポンピンポン…

 

「奈菜:んん…今度はピンポンダッシュ…??」

 たくさんの音が交じり合い、奈菜の耳へそそがれる…

「奈菜:あぁ、もううるさいなぁ…」

 ドアをドンドンたたく音も聞こえる…

「?:なな〜!!」

「奈菜:・・・誰だろう・・・?」

 奈菜は、急いで一階に下り、ドアを開けた。

 すると、未魅が息切れをし、立っていた。

「奈菜:あれ、未魅ちゃん!おはよう!」

 未魅は、この世の者とは思えないほどの殺気で

 奈菜をギロリとにらみつけた。

「未魅:はぁはぁ…おはよう!じゃないわよ。

    あんた今何時だと思ってるのよ!

    何度も電話とメールしたのよ?!」

 奈菜は、リビングの大きな時計を見た。

 二度、三度と目をこすりながら一生懸命見ている。

「奈菜:・・・八時・・・十分・・・

    八時十分?!」

 

 奈菜の学校は、八時三十分までで登校の学校で、奈菜はいつも7時四十分に

 家を出るのだが、大遅刻なのでもう二人ともあきらめた様子だ。

 未魅は、今頃気づいたのか…とあきれた顔をしながら言った。

「未魅:一也君の隣、女の仔座ってたなあ…

    ロングでサラッサラだった。

    おまけにかなり美人。先輩かも。

    けっこう仲良さそうだったなぁ・・・」

「奈菜:ええっなんで!未魅ちゃん、どうしよう・・・」

「未魅:一応ダーリンを監視につけてるから安心して!

    何かあったらメールがくるはずよ。」

 RiRiRi〜♪

 未魅と翔平が大好きな着うたが流れた。

 未魅のピンクだらけの派手な携帯に、一通のメールが届いた。

「未魅:あっ!!さっそくきたきたあ!

    んっとーなになにぃ?」

 携帯には、こう書いてあった。

【未魅りん、大変!美人の仔やるやる!

 きっと、一也にこの様子だし・・・

 恋しちゃったんじゃない?!】

 ・・・。未魅と奈菜の間には沈黙が流れた。

「未魅:・・・。奈菜、強敵出現ね♪」

「奈菜:えええ〜っ?!」

 やだやだ、とジタバタする奈菜を可愛そうに思った未魅は

翔平にメールの返信を送った。

 手慣れた手つきでボタンをどんどん打つ未魅。

「奈菜:(さ、さすが未魅ちゃん・・・完敗だわ・・・)」

 パコンッと携帯を折り、バッグにしまった未魅は

口を大きく開いた。

「未魅:あのさ、未魅待ちくたびれてんのね?

    いつになったらお着替えタイム始まんのかしら?」

「奈菜:は、はいっ!ただいま!!」

 あきれた様子の未魅は、勝手にリビングへあがった。

「未魅:ゲッ!あんたんちのリビング広っ!おまけにめっちゃ

    綺麗やんか!

    そうえば、奈菜の家に初めて未魅あがったんやっけ・・・」

 奈菜はうれしそうに走ってきた。

「奈菜:お母さんね、めったに掃除とかしないねんけど、

    私掃除大好きなんだあ〜!」

「未魅:ふうん。未魅んちも似たようなもんだよ。

    ママ、男遊び激しいからパパでてってね・・・

    掃除なんか大晦日の日に自分の部屋ちょこっと掃除して終わり

    やねんで。」

「奈菜:・・・未魅ちゃんは、お母さん嫌いなの?」

「未魅:未魅なあ、おばあちゃんっ仔だから・・・

    ママと話すのなんかめったにないで。」

「奈菜:生活苦しくない?家計はどうなってるの?」

「未魅:おばあちゃんが、がんばってん。

    時々高校生の姉ちゃんも大阪から帰ってきたりして。

    パパも月5・6万も振り込んでくれてんねん。」

「奈菜:大変・・・なんだね・・・」

 前にも未魅の家庭について少し話してもらったことがあった奈菜だが、

ここまで大変なのかはしらなかった。

「未魅:・・・未魅な、ママと本当はろくにしゃべったことないねん。

    お姉ちゃんはママが大嫌いで、自分から一人暮らしえらんでな・・・

    仲良しの友達は、みぃ〜んなここらの学校で一緒なのにだよ?」

「奈菜:午後から・・・学校行こう??」

 奈菜は、こんな元気のない未魅を初めてみた。

自分じゃ、どうしようもならないと思い、翔平に会ってもらおうと

思ったのだ。

 それに・・・一也のことも気になっていた・・・




「翔平:未魅!!遅いよ!!

    待ちくたびれたぜ、俺〜」

 PM1時30分。奈菜、未魅は学校へついた。

「奈菜:ごめんね、翔平くん〜

    私のせいなんだ・・・」

「翔平:あはは、そうなん?大丈夫。気にせんといて〜

    それより、湊っちどうすんだあ?

    美人の愛川瑠璃亜あいかわるりあ、一也に

    ずっとくっついてるけど・・・」

「未魅:・・・つぶすしかないわね・・・」

「奈菜:そ、そんなに美人なの?周りそんなにさわいでないけど・・・」

「翔平:よお、みてみ?!男子ども魂ぬけてるぜ?!」

 周りの男子は、生きているのか・・・?

「奈菜:・・・どうしよう・・・」

「未魅:ふん!未魅にまかせんしゃい!!」

「翔平:未魅。どうするん?」

 未魅は瑠璃亜のもとへ行った。

「瑠璃亜:あら、はじめまして♪」

 お肌つるつる・ぷるぷる、そして・・・ボイン・・・

「未魅:か、一也くんおそって何たくらんでるん?」

「瑠璃亜:・・・おそう?このわたくしがですの?」

「未魅:そうよ!彼女でもないのにひっつきすぎじゃない!?」

 しまった・・・未魅がキレた。

周りの皆は未魅の恐ろしさをしらないやつはいない。

「瑠璃亜:・・・あなた、もしかして・・・

     彼に惚れているのではなくて?」

「未魅:はあ?あたしにはあんたと違って、かっこいいダーリンがいんのよ!

    それに・・・一也君迷惑がってんの。

    やめたら?

    なんか、意地悪いメスブタみたいね。

    綺麗にみせてるのは外見だけ?」

 周りは、静まっていて・・・未魅の怒鳴り声だけが教室中に響いた・・・

「瑠璃亜:・・・あなた、何様ですの?!

     さてはあなた、わたくしが美しすぎるからって・・・!」

「未魅:おだまりなさい、メスブタ!!

    本当に美しい人は自分で言わないわよ。」 

 未魅は、ふん!と席へ座った。

 一也が、教室にもどってきた。

「一也:あれ・・・?湊・・・

    きたんだな」

「奈菜:あ・・・うん・・・」

 周りの静かさに戸惑いを感じた一也は、奈菜に問いかける。

「一也:・・・湊・・・何があったんだ?」

「奈菜:え・・・あ、その・・・えっと・・・」

「瑠璃亜:一也様・・・?」

「一也:・・・愛川、どうした?

    なんでないてんだ?」

「瑠璃亜:わたくし・・・一也様が、す・・・」

「奈菜:一也君!!」

 一也は驚いた様子で奈菜を見て、返事を返した。

「一也:どした・・・?」

 未魅は奈菜と目でアイコンタクトをかわすと、

お互いほほえんだ。

「未魅:(奈菜、奈菜なら平気!!)」

 奈菜は一也の腕をグイッっとひっぱり、教室から出て行った。

「瑠璃亜:ちっ

     なんなんですの、あなたたちは。」

「未魅:ふ・・・

    恋のキューピット様よん♪」



「一也:はあ、はあ・・・湊!?

    おい、湊!?」

 ぱっと手をはなした。

「奈菜:私・・・ここに咲いてる・・・

    はあ、はあ・・・

    ひまわりがね・・・はあ・・・

    大好きなの・・・はあ・・・

    だい・・・大好きなの・・・」

「一也:・・・うん。」

「奈菜:でもね・・・ひまわりより好きなものできたの・・・」  


 奈菜は、口にたまっていたつばをゴクリと飲み込むと、

大きく息を吸い込んだ。

「一也:俺も・・・サッカーより大切なもの、見つけた・・・」

 奈菜は、一也の顔を見上げた。

「奈菜:・・・へ?」

 サッカーでいつも頭がいっぱいだった一也。

キャプテンで大変そうだったけど、笑顔で皆をまとめていた一也。

サッカーをしているときの姿が一番かっこいい一也。


 私の大好きな・・・一也。


「奈菜:それって・・・何?」

 ふるえた声で、奈菜は問いかけた。

「一也:好きなんだよ・・・」

「奈菜:・・・」

「一也:湊奈菜が・・・愛しいんだよ・・・」


 一瞬、のどの奥がふさがってしまったかのように

 声が出なくなった・・・


 一也君・・・私が好き・・・??


 反対じゃなくて・・・一也君が・・・??



 涙が頬をつたった・・・


「奈菜:私は・・・いい夢を見ているの?」

「一也:・・・違うよ。夢なんかじゃ・・・ないよ」


「奈菜:夢だったら・・・さめてほしくないなぁ・・・」



 一也は、奈菜の涙を指でふきとり、

 そおっと、唇にふれた・・・





 前は、私の隣にいたのに・・・




 今は目の前にいるよ・・・





 

 おかげさまで四話目です。

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