楽しい一日
今日は、お話しできるだろうか…
目も合わせられないかもしれない。
けど、頑張るしか…ないから。
「奈菜:はあ…」
「未魅:それでさ!!ダーリンったら、トイレで流しそうめんやるとか
言ってんの!!」
「奈菜:はあ…」
「未魅:流す場所がないのはわかるけどさあ〜
トイレで流したらもうさよならよ!!って怒ったんだけどね〜
本当に流そうとしてた姿が可愛くって〜」
「奈菜:はあ…」
「未魅:って、ちょっと!!奈菜、今の話聞いてなかったでしょ?!」
「奈菜:聞いてたよ…そうめんおばけがでて、未魅ちゃんが悲鳴を
あげたら、翔平君がトイレに流しちゃったんでしょ?
もったいない、私が食べたかったのに〜って未魅ちゃんが
言って…」
「未魅:…は?!ちょっっあんた大丈夫?!
全然違うわよ!!」
朝っぱらから騒がしい二人の前に、ある少女が近づいた。
「奈菜:…あれ?そうじゃなかったっけ?」
「未魅:はあ…大丈夫よ。一也君、何か間違えたのよ。
奈菜の男子嫌いを直そうとしてくれたのかもしれないし…」
「奈菜:あのね、私…一也君の事…!!」
「ある少女:あの…」
「奈菜:は、はいっ?!」
ビクビクしている奈菜をみ、未魅が力強く言った。
「未魅:なあにかしら??おたく、うちの娘に何か用でも?」
「ある少女:突然すみません。C組の、岩井れい奈です。
B組の、湊奈菜さんですよね?」
「奈菜:そうですが…私、C組に関わるようなことは
いっさいしていませんけど…」
「未魅:そうよ。何?Cの人は、Bを上に見ているそうじゃなあい?
カップルまだ、2組しかないそうね〜。」
「れい奈:少し、だまっていただけます?」
「未魅:あっそう。負け惜しみみたいな?ね?
まあ、しょうがないわね!負け犬は吠えたがるって
言うしね!!」
「れい奈:…すみません。」
少し、機嫌が悪そうな口調で言った。
未魅は、あまり気にくわなかった様子だったが、
こんな仔からはやく離れたいと思ったので、話す気がうせ、
話すのをいったんやめた。
「未魅:…ふ〜ん…まあ良いわ。んで、用件は?」
「れい奈:一也君とバス隣だったけど、付き合ってるの?
私、後ろの席にいたんだ。
仲良さそうにしてたし、席もあの仔の隣っていうじゃない?」
「奈菜:岩井さんは…一也君が好きなんですね…」
「れい奈:っっ?!ち・違うわよ!!」
カァーッッっとれい奈の顔が真っ赤に染まった。
まるで、沈んでいく夕日のようだ。
「未魅:なにあんた。バレバレよ。」
「れい奈:違う!!」
「奈菜:大丈夫。私、付き合っていませんから。」
にこっと笑う奈菜を見て、れい奈はほっとした様子になった。
「れい奈:そう、ありがとう。じゃあ。」
れい奈はダッシュでその場をはなれた。
「未魅:もう、奈菜。ああいうときは嘘ついて、
つきあってまあ〜〜す!
って言うところよ!!」
「奈菜:悪いよ、そんなの!それに…」
「未魅:それに??」
「奈菜:よっぽど、一也君が好きなのよ。」
少し悲しげにうつむいた奈菜の横顔に、未魅はそっとのぞきこんだ。
「未魅:奈菜…?」
「奈菜:私、気づいてた!」
「未魅:へ?」
「奈菜:一也君の制服に、盗聴機がついてたの。」
「未魅:うそ…」
「奈菜:それにね、私と一也君が座った席の後ろは、誰も座れるような
イスじゃなかったのよ。」
「未魅:何それ、ストーカー?!」
「奈菜:ストーカーまではいかないんじゃないかしら…。」
未魅は、奈菜に腹が立った様子だった。
パンッ!
威勢のいいビンタの音が、誰もいない廊下に響き渡った。
奈菜は、廊下にヘナヘナと座り込んだ。
「未魅:馬鹿!!いい加減目覚めなさい!!
あのねえ、盗聴機は、裏ネットでしか買えないものなのよ?!
どうする?!自分のプライベート、誰かに知られたら?!
あっちがいくら好きでも、一也君が困ることなのよ?!
あんた、一也君のこと考えてないでしょ!?
奈菜らしくないわよ!」
「奈菜:だって・・・岩井さんの気持ちわかったの…」
「未魅:ストーカーする気持ちがわかるだなんて…
奈菜、最低ね。」
あきれた顔をし、未魅はその場から離れようとした。
「奈菜:違う!!お願い、未魅ちゃん聞いて!!」
「未魅:はあ…今度はなに?」
「奈菜:私…一也君好きなの…
ううん、大好きなの!!」
「未魅:はあ…奈菜の馬鹿。
好きならなおさらじゃない。
あたしの言ったこと、もう伝わった?」
「奈菜:うん…未魅ちゃん。私、どうかしてた。
大切な友達を…失うところだったあ〜!!
ヴあ〜〜ん」
目にたまっていた涙が、いっきにあふれ出した。
ちょっと、未魅の目にも涙がたまっていた。
「未魅:もう…ほら、泣き過ぎよ。」
ハンカチをわたし、手をさしのべ、奈菜を立たせた。
「未魅:よいしょ!!ほら、ちゃんとふいて。」
未魅はお母さんのように手慣れた手つきで、奈菜の涙をふきとった。
「奈菜:ありがとう…」
「未魅:はいはい。まったく世話がやける娘だこと。」
ガシッ!っと奈菜は抱きついた。
「奈菜:ママァ!!」
「未魅:あはは。ねえ、奈菜?」
「奈菜:なあに?」
「未魅:あたし精一杯応援するよ?奈菜の恋!」
「奈菜:うん。力強いよ…ありがとう」
「未魅:一也君と出会ってから、奈菜は変わったもの。」
「奈菜:え・・・本当?私、ちゃんと変われてる??」
「未魅:うん。あたし、正直言ってさっきびっくりしたの。
いきなり抱きついてくることなんていままで
なかったからさ…」
「奈菜:一也君のおかげでもあるよ…けど…
一也君と同じくらい大好きな友達のおかげでもある!!」
「未魅:はは。何よ、改まって言ったら恥ずかしいわ。」
奈菜は初めて、未魅の照れ顔をみた。
「奈菜:未魅ちゃん照れてるー!!」
「未魅:気にするんじゃないわ!!
はやく、奈菜の王子様のもとへ行くわよー!!」
「奈菜:はあーい!!」
二人は走って教室へ行った。
気まずかった教室だけど、奈菜は胸をはって、
席に着いた。一也がこちらを気にしていた。
「奈菜:おはよう!さっきは言えなかったから」
「一也:お、おう。おはよ」
一也はびっくりしていた。
それもそのはず。奈菜はこの短時間で輝いたのだから。
奈菜は窓側の一番後ろの席。
数学の授業中、空を見つめていた。
奈菜は、空が大好きだった。
見ていると、心が落ちつくのだ。
でもそれは、一人だったときの話し。
今はすっかり見ていなかったことを思い出し、せっかく窓側なんだから
見てようと思ったのだ。だが。
「数学の先生<大竹先生>:じゃ、この問題を…
湊奈菜さん。」
奈菜は、数学大嫌い。
「奈菜:は、はあい…」
どうしよう…よし、ここはまず、Xを代入して…ううんと…
右となりから、答えの書いてあるノートが出てきた。
一也君の字だ。
一番後ろの席なので、大竹先生にバレていない。
「奈菜:X=12です。」
「大竹先生:ですよね♪」
「奈菜:ふう…ありがとう、一也君!!」
「一也:大丈夫。その代わり、英語教えてくれよ。」
にこっと笑った。
「大竹先生:おい、菅野!!寝てんじゃねえ!!」
よかった。大竹先生は、女子に優しく、男子に厳しいのだ。
一日は早いもので、もう終わろうとしていた。
「奈菜:今日は、楽しかったなあ。」
「未魅:珍しいね、楽しかっただなんて。」
「奈菜:とくに数学とかさ。」
「未魅:そうそう、いきなり頭良くなったかと思ったよ!」
「奈菜:あはは。私…頑張るね。」
「未魅:うん。ダーリンと応援してるわ!」
いつも、奈菜と未魅が逆に曲がる道まで着いた。
「未魅:じゃ、明日もここで。」
「奈菜:うん。また明日ね!」
こんなに楽しいんだな、恋って…
「奈菜:うわあ〜星綺麗!!」
奈菜は、趣味の短歌を思いついた。
「奈菜:大空に 光輝く 星たちが
夏の夜空の 灯となる。
私も、命の灯輝いてるよね…」
明日は、どんなことが私を待っているのだろう…
3話書いてみました。
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