この胸の高鳴りは…
ドキドキ…
私は今生まれて初めて恋をしている…
恋ってこんなに胸が苦しいものなんだ…
絶対に叶わぬ恋だと思ってた…
だけど、あなたが優しくしてくれて…
少し期待してもいいですか?
チチチ…
小鳥が鳴いている。
今日の天気は、気持ちよいほど透き通った雲が、綺麗な空に満開。
こういう、気持ちのいい日は公園などを散歩してみたくなる。
でも、そんなことはしてられない。今日は学校…。
いつもは、居心地が悪かった。でも今は違う。だって隣には…ゴニョゴニョ…
ちょっとニヤけながら、道を酔っ払いのオヤジみたいにフラフラ歩いていた奈菜に、
ボンッ!!と威勢の良い音をたて、何かが体当たりしてきた。
「奈菜:きゃっ?!」
「女子<未魅>:おはよ!!奈菜っ♪」
「奈菜:あっ未魅ちゃん、おはよう。」
「未魅:なんか今変だったよ〜??なんかいいことでもあったの〜??」
彼女は、一番仲の良い神崎未魅だ。
クラスで静かな私に、初めて声をかけてくれた友達である。
カップルだらけで居心地の悪い私が、登校拒否などにならなかったのは
彼女のおかげだとも言えるだろう。
「奈菜:いいこと??とくには…」
サッと目をそらした。
「未魅:あーッ!!ちょっと何隠してるのよ〜!?」
「奈菜:きゃああー!!」
「未魅:ほれほれ〜」
未魅必殺のコチョコチョだ。
奈菜は、大の苦手だ。防御しきれない。
バス停の近くで、奈菜はダウンした。{H100→5}
「未魅:あはっ情けないなぁ〜ほら、バス来てるよ!!」
「奈菜:はあ〜い…」
バスに乗った。うん。乗ったのはいいことだ。
乗らなくては、学校に行くことができない。
だが…
「奈菜:《えええー?!》」
一也君が、未魅の彼氏と座っているではないか。
嫌な予感…
「未魅:いやあ〜ん!!ダアリ〜ン!!」
「未魅の彼氏<翔平>:みみぃ〜!!」
「未魅:ねぇ、ダアリン?」
「翔平:なんだい、ハニー?」
抱きつきながら、何度も唇を交し合うバカップル…
ダメ…奈菜には刺激が強すぎる…
フラついた奈菜のもとへ、一也がきた。
「一也:人前であいつ等すごいよなっ」
そんなことを、言いつつ…
奈菜の隣に座った。
えっ?何??隣に…
座ったああ−−−?!
「奈菜:gjhmvdtyfwk@?!」
「一也:?顔、赤いぞ??熱でもあるんじゃねえのか??」
違いますってば〜!!
でも…でも…
奈菜のおでこと大きな男の子らしい手が重なった。
ドクンドクン…
どうしよう…きょ、距離が5センチも離れてない…
ち、近すぎる…この、心臓の音が聞こえてしまうのでは…
「奈菜:《ど、どどどどど…どうしよう…お、音があっっ》」
手がパッと離れた。
「一也:熱…あるかも…」
「奈菜:《え?!このまま私、帰っちゃったら…隣にいられなくなっちゃう…
学校でも…》」
「一也:帰るか??」
「奈菜:え、あの…大丈夫だよ…!!ありがとう。」
「一也:無理すんなよ??」
なんだか、胸の奥が暖かくなったのを感じた。
「奈菜:一也君って優しいね…」
「一也:んなこと、ないよ」
ちょっと照れながら、鼻の頭をかいた。
いつだって、一也君はクラスの人気者だった。
一也君が、笑っているとこをみていたら
私もがんばれるような気がして…
ずっと憧れてたんだったっけ…
そんな彼が今私の隣にいるんだと思うと…
なんだか、生きててよかったあ…なんて思ったりしちゃう。
「一也:俺、知ってるよ。」
「奈菜:え?何を??」
「一也:お前が優しいってこと!!」
「奈菜:…へっ??」
「一也:今、校庭の周りがひまわりで満開じゃん??」
「奈菜:うん。…ひまわり…好きなの。」
「一也:毎日、水やりしてるよな、昼休み。」
ぶわっ
奈菜の顔がお日様のように真っ赤に染まった。
「奈菜:みっみてたの??!」
「一也:ああ。昼休み、サッカーしてたらお前が水やりしてるのが
目に入って…」
「奈菜:そっそうだったんだ…こ、声くらいかけてくれれば…
いいのに…」
「一也:なに一丁前に言ってんだよ。お前男苦手だし、
話しかけたら恐がるかな、って思って…」
「奈菜:気づかってくれてたんだぁ…ありがとう!!」
って、え?今の会話おかしいよ…
なんでそんなこと、あの一也君が知ってるの?!
でも、水やりしててよかったかも…なぁんて…
「一也:ひまわり…なんで好きなんだ??」
「奈菜:だって、強いから。」
「一也:強い??」
「奈菜:うん。夏って短いじゃない??
でも、ひまわりはそんな短い期間で立派に大きな花を咲かすの。
強いよ…私、弱いからひまわりに憧れているだけなのかもしれないけど…」
「一也:ひまわりがお前に似たのかもよ??」
「奈菜:ひまわりが…??それはないよ…!!私、弱いもの…」
「一也:…弱くないだろ。1年の時お前一人だったじゃん」
「奈菜:うん…」
「一也:今はあそこでイチャイチャしてるけど、神崎という友達がいるし
俺だっているし!!」
満面な笑みだ。
「奈菜:《きゅぅ〜ん》一也君…」
奈菜も目に涙をためながら、笑った。
それと同時にバスが学校に到着した。
一也が先に出た。そして…
「一也:昨日も言ったけどさ…」
「奈菜:何を??」
「一也:お前、笑ってた方がいいよ!
ひまわりみたいに可愛いから!!」
そう言い残し、ダッシュでその場から立ち去った。
奈菜は、夢を見ているのだろうか…??
「奈菜:夢…なのかなぁ…??」
ぽつりとつぶやく奈菜に問いかけてきた、バカップル。
「未魅:なに、なに?」
「翔平:もしかして…!?」
「奈菜:えっ!!な・ななな・・・なに?」
「未魅:顔にでてるわよ!!」
「翔平:一也なら、他人の心がわかるやつだから・・・
安心しろよ♪」
「奈菜:ありがとう…実は今ね…笑った方がひまわりみたいに可愛いって…」
「未魅&翔平:えぇぇぇぇぇぇぇ−ッ?!」
「翔平:脈アリじゃん!!奈菜は、どうなんだよ?」
「奈菜:うん…。未魅ちゃんにさっき隠してたのは、このことなの。」
「未魅:そっかぁ!!やっと恋する乙女ね!!」
「奈菜:でもでも!!告白はできない!!あんなこと言われちゃったら…
目も合わせづらいよぉ〜」
「未魅:あ…。」
「奈菜:え…??」
どうやら、奈菜はこれから先のことについて何も考えてなかった様子…
そう、ここからが一番悩むとこなのだ。
「未魅:あいつ、今から教室でずっと隣なのに…
何考えてるのかしら…」
「奈菜:・・・・・・・・・・・あ。」
今日は、まだ始まったばかり。
奈菜はこの先どうなるのだろうか…
投稿が大変遅くなってしまいました。
誠に申し訳ございません…
第一話を読んでいない方、私の投稿が遅すぎて内容をお忘れになってしまった方は、第一話を読んでいただけると幸いです。