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第一章 #6【覚醒する力】

また更新が遅れました・・・

ようやく主人公の平凡な日々が崩壊する瞬間が訪れました。


では、本編をどうぞ。

#6【覚醒する力】


現れた‘天使’のような少女は地面から数センチ浮いており、どういうわけか眼を開けようとしない。


たが・・・いっこうに彼、ナオトの姿が見当たらない。


不思議に思っていると、彼女の右手首に目がいった・・・



―あの‘腕輪’がはまっている―



すると、魔石の声が響いた。


[現在、マスターの意識は覚醒に至っていないため、緊急措置として‘ユニゾン’を行います]


‘ユニゾン’・・・これも知っている言葉だったが、私は心底驚いた。



普通は戦闘の際、魔術師は‘パートナー’となる剣術に優れた剣術師が必要となる。

パートナーとは、魔術師がより強力な魔術を紡ぐのに精密な魔力の操作、及び大きな魔力を使うためにマナを蓄積し、その魔術に必要な‘ことば’を詠唱する時間を稼ぐため、体術及び剣術に優れた‘剣術師’が‘魔術師’のサポート…魔術師の守護をすることである。


ちなみにリーザは魔力が低いことや魔術より剣術が得意なことから、剣術師の資格を得て、騎士団に入団した。(基本、騎士団は剣術師が入団することが多い。)


その他に、‘剣術師をパートナーとしないで闘う方法’もある。


その方法が‘インテリジェント・ハーツ’という知能がある特殊な魔石を使用し、その魔石に自分が使用する魔術のマナの蓄積や詠唱をあらかじめ記録しておき、実戦で魔術を詠唱無しで始動し隙を造らない・・・つまり剣術師の守護を必要とせずに闘うという方法だ。


だがその‘インテリジェント・ハーツ’を使用する魔術師は、今現在ほとんどいない。

何故なら、‘インテリジェント・ハーツ’一個体に必要な技術と資金は莫大なものであり、資金のある財界人でさえ優秀な技術者がいなければ手に入れられない代物であるからだ。


即ち珍しい故に、魔術師が‘インテリジェントは・ハーツ’を使用する定義だけは、広く知られている。


その内の一つが‘ユニゾン’である。


‘ユニゾン’とは、‘インテリジェント・ハーツ’と意識を共有、謂わば融合することにより、より魔石の力をフルパワー引き出せる。


だが、それはある程度危険をはらんでいるということである。

融合するということは、魔術師の身体を半分乗っ取るということだ。

つまり、本当に信頼のおける‘インテリジェント・ハーツ’でなければ、‘ユニゾン’はしてはいけない。いや、魂が拒否反応を起こし‘出来ない’のだ。



・・・ところがこの場合はどうだろう?



あの少女が突然現れ、尚且つ未だ意識が無いらしい。

にもかかわらず、いきなり起動した‘インテリジェント・ハーツ’らしき魔石とシンクロすることが出来るはずがない。


はずがない・・・のだが。


[シンクロ率85%。許容範囲。]


―シンクロ率85%!!?―


私には今目の前で起こっていることが、理解出来なかった。


[‘迎撃プログラム’を始動し、敵戦力を無力化します]


すると、彼女の目蓋がおもむろに開いた。


現れたのは全てを見透かすような青い瞳。

だが、少女自体の意識が戻っていないことから、少し虚ろだった。


彼女は背中に生えた羽根をたたみ、地面に降り立った。


そして、地面に落ちていたナオトの武器・・・‘カタナ’を手に取った。


一体彼女は何者で、何をするつもりなのだろうか・・・



§ §



「な・・・なんだアレは?」

「さあ・・・」


僕と美琴は、急いで‘使徒’の連中を追いかけ、この路地裏までたどり着いたのだが・・・


‘使徒’らしき二人組の前には、風の壁らしきものが出現していた。

おそらく彼等が意図的に発生させたものではないだろう。

つまり風の壁の向こうには、彼等以外の何者かがいるわけだ。


「琴美、今は様子を見よう」


琴美は小さくコクっと頷くと、護符を使って僕達の姿を隠した。


「おそらく直人はあの壁の向こうにいるのだろう。で、すでに美琴が見たというその・・・魔術師ともう接触しているってことか?」

「おそらく・・・」

「はぁ~・・・」


僕は頭を抱え込み、舌打ちした。


直人には僕達とは関わって欲しくなかった。

だが、魔術のことを知られてしまっては、僕達に協力してもらわなければならない・・・強制的に。

それに、彼は剣術に秀でている。おそらく、戦闘に駆り出されるだろう。


あいつとは普通の友達という関係でいたかったのに・・・



「ごめんね正宏。私が彼を止められなかったから・・・」


不意に美琴はそう言ってきた。


「なんで美琴が謝るんや。直人が勝手に行動しただけやろ」


そうだ、彼女は悪くない。

悪いのはあのアホだ。


ズバババッ・・・・


「正宏、風が収まったわ・・・」


先ほどまで荒々しく吹いていた風は収まって、だんだんと向こう側が見えてきた。


が、


「誰、あの?」


美琴から聞いた黒髪と赤髪の二人は確認できたが、あの少女・・・銀髪に碧眼の背が低めの少女のことは聞いていない。

おそらく、今の反応で美琴もしらないのだろうが。

何よりも驚いたのは背中に見える羽根みたいなものと、日本刀を片手に握りしめていることである。

それに、直人の姿が見当たらない。


と、少女が刀を片手に行動にでた。


タッ

ブシューッ



「なっ!!?」

「ひっ!!?」


それは一瞬の出来事だった・・・

宙に飛んだモノは、長剣を構えていた男の腕だった。



§ §



急に背後の風の音が止んだので、私は風の障壁が破られたのかと思ったが、それはその魔術を使った彼女自身のものであり、障壁が消えたと同時に彼女の姿が小さな風の波紋を残して消えた。

そして私のすぐ隣を吹き抜ける風。


「ぐわあっ!!!」


次の瞬間、長剣の男の声と共に何かが斬れる音が生々しく聞こえた。


ブシューッ!

「ガアアアアアアアアアアッ!!」


生々しい音と共に宙に飛んだのは男の長剣を持った右腕。

男は痛みのあまり声にならない声を荒げ、その場にうずくまった。


「な、何っ!??」


今まで冷静でいた後ろの男は、初めて驚きの顔を見せていた。


なんてスピード!

彼女は瞬間的に私の横を通って長剣の男の前に立ち、手に持ったカタナで男の腕を斬ったのだ。


「くっ‘砂地獄’!」

後ろの魔術師は‘砂地獄’で彼女を捕らえようとしたが・・・


バザッ


「飛んだ!!?」


彼女はその羽根を広げ、空中へと躍り上がった。


[‘風の刃ウインド・カッター’]


‘インテリジェント・ハーツ’の彼女がそう呟くと、風で形成された見えない無数の刃が彼に向かって飛んだ。


「‘土壁サンド・ウォール!!’」


ズガガガガッ!


地面から現れた土の壁によって幾つかの刃は防いだが、全ては防ぎきれてはいなかった。



「ぐっ!!」


土の壁が崩れると、魔術師は血が伝う左腕を押さえていた。


「ちっ・・・」


そう舌打ちした彼は、落ちていた‘右腕’を拾いうずくまっている男に近づいた。


「アル・・・撤退だ」

「ぐっ・・・ああ・・・」


彼の言葉に男は弱々しくそう応えると、転移魔術を使い私達の目の前から消えた。



[敵戦力の撤退を確認。戦闘モードを解除します]


その声と共に、彼女の羽根は消え、手に持っていたカタナも消えた。


すると、彼女はこちらを向いた。


[あなたがローウェント様ですね]

「えっ、あ、はい」


‘インテリジェント・ハーツ’の彼女はどうして私がローウェントの姓を持つ者であることを知っているのだろう?


[私の起動前からペンダントの中から世間の情報を記録していましたから]


あ、なるほど。


[それよりも、大事なことを忘れていませんか?]


え?

大事なこと?


スッと彼女が指さした方向をつられてみた私は・・・


「リーザ!!?」


リーザが倒れたままでいることを、忘れていたことに気づき、急いで彼女のもとに駆け寄った。


「スー、スー」


ね、寝ている・・・

幸いなことにどうやら傷は浅かったらしく、さっきまで気絶していただけだったようだ。


まったく、心配かけて・・・


[大丈夫ですか、ローウェント様?]


あれ?

いつの間にか、私はまた涙を流していた。

自分が情けないや何やらで、気持ちがごちゃ混ぜになっていたようだ。


「あ、うん、大丈夫だがら気にしないで」

それを聞いた彼女は一呼吸おいてからこう言った。


[とりあえず、回復魔術を使います]


え?

|アナタ(‘インテリジェント・ハーツ’)、どれだけクオリティが高いのよ!!?


[回復魔術、‘心の治療イノセント・ヒール’を始動します]


リーザの横に立ち両腕を前に上げると、幾何学模様の魔法陣がリーザの真下の地面に現れ、彼女の傷は逆再生しているかのようにみるみる塞がり、着ている血や切れ目のある服以外は完全に元に戻っていた。


「スゴい・・・」


私が唖然としていると、リーザはゴソゴソと身じろいだ後、上半身を起こして黒い瞳を開けた。


「あれ?私は・・・」

「リーザ!!」

「!!?えっ、フィー?」


私は喜びのあまり、治ったばかりの彼女に抱きついてしまっていた。


「よかった・・・ホントによかった・・・」


みっともなく涙を流しつつ、私は彼女をよりいっそう強く抱きしめた。


「すみません・・・心配かけて」

「バカぁ・・・」


子供のように泣く私を、彼女は優しく頭を撫でてくれた。


「それで・・・彼女は?」

「ぐすっ・・・ふぇ?」


そういえば・・・


後ろに立っている私はリーザからすこし離れて白銀の髪の彼女をみると、彼女は一点を凝視していた。


[前方100メートル先に生体反応が2つ有ります]


「え?今の声って・・・」


事情を知らないリーザにとって、彼女が口を動かしていないのに喋っているかのように見えたのだろう。


「説明は後でするから。それよりも・・・」


もしかしたら、まださっきの二人組の仲間が・・・



「いやあ、すまんすまん」


男の声の後、影から現れたのは私達(私とリーザ)と同じくらいの歳の少年と少女だった。


「あなたたちは・・・」

「いや、別にさっきの奴の仲間やあらへんで」


変な日本語で話す男だな・・・


「ああっ!!今変な日本語やと思たやろ!大阪弁は立派な日本語や!!」


つまり訛りということか?


「まあ、ええわ。僕等もあの‘使徒’の連中に苦い経験を積んでるから、できたら手を貸して欲しいねんけど・・・」


え・・・どうして化学世界の‘住民’が、‘使徒’のことを・・・


『フィレス様』

『えっ何?』


私はいきなりのリーザからの念話に驚いた。


念話とは、魔術の心得がある者なら誰でも使える、伝えたい相手のみに言葉を伝えるという、一種の簡易通話である。


『この人達とは関わらない方がよさそうです。どういう経緯で‘使徒’の事を知ったのか分かりませんし』

『[私も賛成です、アルバーノ様]』


すると突然、‘インテリジェント・ハーツ’の彼女が話に入ってきた。


『[すみません、通話を傍受する事が出来ますので]』


『あなた、どうして私の名前を・・・』


もちろんペンダントの中から情報を集めていたなら、彼女は知っているはずだ。


『まあ、その話しも後で・・・』


私が理由を知っていることを察してか、リーザは今はこれ以上聞こうとしなかった。

『[逃げます]』

[強制転移魔術を開始します]


「えっ」

「ちょ、まっ」

「なっ」

「ふぇっ」


次の瞬間、視界が・・・真っ白になった。



―そして―


私とリーザ、白銀の髪の少女は、とある部屋にいた・・・


to be continued...





~あとがき劇場~(第四回)


正宏「あーっ!!直人の奴、何処かに行ってもたわ!!このコーナーどないすんねん!!!」

インテリジェント・ハーツ(以下‘イ’)「直人様に変わって、私がお相手します」

正宏「おお、サンキュー。助かるわ!

   ・・・って、誰やねん!!」

イ「秘密です♪」

正宏「・・・話が続かんやないか!!」

イ「そこを何とかするのが、プロってものです」

正宏「そ、そうやな!それじゃあ、直人のツッコミの甘さを語るで!!

   まず、僕やったらな・・・・・・・」


イ「な、長くなりそうなので、ここら辺で失礼します」


タタタタッ


正宏「ちょ、話を最後まで聞けぇーっ!!!」


-fin-


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