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第一章 #5【天使の羽根】

すみません、少し更新が遅れました!!

一日おきに更新するのって、結構難しいですね・・・

今回、身をもって知りました。

それでは、本編をどうぞ!

#5【天使の羽根】


日本刀‘風流丸’を手に入れた俺は、この戦いに勝算を見いだしていた。

というか、よく検閲に引っかからなかったな・・・


「フッ・・・面白い。小僧、名は何という?」


「俺は芹沢直人だ。ナオト・セリザワって言った方がいいかな。オッサンは?」

「ワードル・アルセイヌだ」


どうやらここら一帯にいる人は俺を除いてみな外国人のようだ。


後ろで倒れている女の子は眼の色はまぶたを閉じているので分からないが髪は黒色。でも日本人ではないような気がする。

そしてその倒れている彼女を守ろうとしていた女の子は灼眼に明るい赤髪。どうみても外国人だ。


長剣の男と何故か俺達の闘いを見ているだけの細身の男は、白髪に深緑の眼とライトブルーの髪にブラウンの眼、明らかに外国人だ。


って今はそれどころじゃないって、闘いに集中しなければ。


「ナオト・・・だっけ。ありがとう助けてくれて」


そう言ったのは、灼眼の彼女だった。


「いや・・・構わないさ。もう退けねーし」

「ナオト、気を付けて。信じられないかもしれないけれど、後ろにいる男は魔術を使うはず」


‘マジュツ’なんだそれは?


「それって・・・っと!」

「よそ見してるんじゃねーぞ小僧」


ガキンッ


「あっぶねぇー」

「よく捉えられたな」


何とか男の攻撃を防いだものの、まだまだ長丁場になりそうだった。



そう思っていたその時だった・・・



「ふう・・・時間ですアル」


後ろにいた男はいきなり一言、そう言った。

長剣の男は何故か肩を落とすようにして、こう言った。


「すまねぇな、ナオト。俺達には時間がないんだ」

「えっ」


グサッ


「ぐはっ!!?」


いきなり腹部に強烈な痛みが走った。


「なっ・・・」


下を見ると・・・

魔法陣みたいな幾何学模様が描かれている地面から鎖が延びていて、俺の腹にグサリと刺さっている短剣に繋がっていた。


後ろの男が言った。


「‘鎖状連撃さじょうれんげき’。鎖を操って地中から襲撃する土系統の魔術です。もっとも、あなたには何のことか分からないと思いますが・・・あなたの後ろにいる彼女なら分かりますね」


「土系統の魔術・・・しかも高等魔術・・・」


灼眼の彼女には彼の言っていることが理解出来るらしい。


最初からおかしいと思っていた・・・

周囲の地面には何かが刺さった跡、そして手を出してこない長剣の男の背後にいた男は動きすら見せなかった。


そしてこれが魔術・・・

さっきまでは彼女の言葉が理解出来なかったが、ようやく分かった・・・


いつでも俺を殺れたってことかよ・・・


「がっ!」

カタッ

ドサッ

「キミっ!!?」


急に短剣を抜かれた俺は血を吐き刀を取り落とすと、崩れるようにその場に倒れた。


俺、大量出血で死ぬな・・・


せっかくなら、彼女達を逃がしてから死にたかった・・・

そんな思いとは裏腹に意識が薄れてゆく・・・


「ナオトっ!ナオトっ!」


彼女が駆け寄る足音が聴こえる・・・

俺は朦朧とする意識の中、彼女の涙を見た・・・



§ §



まただ・・・

今度は関係ない彼、ナオトまで巻き込んでしまっていた・・・


「ナオトを助けなきゃ・・・」

その時の私は自暴自棄になっていたのかもしれない。

彼の側に駆け寄るとしゃがみ込んで右ポケットに入っている‘遮石’を握った。

これを遠くに投げれば、‘遮石’の効果はなくなり、魔術を使えることが出来るかもしれない・・・

ふと首から垂れ下がるペンダントを魔石を見た。


私なんかが持っているべきではなかった。


私がそう思っていると、


キュォォォーッ

「えっ!?」


突然、‘魔石’が青色く輝きだした。

すると、聞いたことのない女性の声が聞こえた。


[魂の波長、一致。起動パスワードを入力してください]


・・・え?なんのこと?


スッ


パニックになっている内に、誰かの手が輝く‘魔石’を掴んでいた。


「な、ナオト!!?」


その手の主は、ナオトだった。

手以外は一切動かさず、まるで‘魔石’の存在を感じているように、ところどころ血のついた手でしっかりと‘魔石’を握っていた。


―「‘片翼の堕天使’」―


それは彼の口から出たコトバだった・・・

[パスワード、一致。プログラムを開始します]



いったいなにが・・・何が起こっているというの!!?



§ §



真っ暗だ・・・なにも見えない・・・


これが死後の世界だろうか。


いや、違う。何かが違う。


なせなら・・・


目の前にあの白銀の髪をした少女が立っていたからだ。

真っ暗なはずなのに、彼女だけはくっきりと見える。まるで彼女自体が光っているようだ。



「アナタは死ぬことが怖くないの?」


俺は久しぶりに彼女の透き通るような声を聞いた。

どうやら恐怖を感じていない素振りを見せる俺に、彼女は疑問を持ったようだ。


「いや・・・怖くない人間なんていないさ。ただ・・・」

「ただ?」


彼女は先を促すようにそう言った。


「ただ・・・俺は目の前で泣いていた女の子を救いたかった。それで全力を尽くした。・・・悔いはない」

「本当?」


彼女は何もかも見透かすような碧眼で俺を見つめ、可愛く小首を傾げてそう言った。


「無いって言っちゃあ嘘になるか・・・」

そうだ。結局、俺が死んだことによって彼女はあの男に殺されるだけでなく、俺の死を自分のせいだと思うだろう、俺はより一層の苦しみを彼女に与えてしまった。



「・・・彼女を救いたい。救いたいんだ」



俺は本当の気持ちを彼女に話した。

彼女に話せば何とかなるような気がしたからだ。


それを聞いた彼女はにっこりと微笑み、こう言った。


「それがアナタの‘答え’。他人を思い、仲間を助ける力、ワタシはアナタに見せてもらいました」


彼女はスッと虚空を指差した。そこには・・・


この空間なかで異彩を放つ、輝く青色の丸い石があった。


「手を伸ばし、触れてみなさい。そうすれば道は開かれます」


彼女の言うとおりに俺は何故か重い腕を必死に伸ばし、ソレを掴んだ。


すると、彼女とは異なる声が聞こえた。


[魂の波長、一致。起動パスワードを入力してください]


俺は何故かそのパスワードとやらを知っていた。それは自然に口から出たコトバだった。



―「‘片翼の堕天使’」―



「パスワード、一致。プログラムを開始します・・・」

フッ


「あれっ?」


いきなりその石はこの世界から消えてしまった。


「大丈夫よ、現実世界に戻っただけ。彼女は優秀だから、全て任せればいいわ」


グラッ

「うわっ」


な・・・なんだ今の地震は!?


「そろそろ限界みたいだね」


そう言うと、彼女の姿がだんだん揺らいでゆく・・・


「限界って!?」

「アナタが現実世界に戻るってこと。今の振動はアナタの本体が息を吹き返し、封印されていた‘魔力炉’が動き出し、‘魔力’の循環が始まったからよ」


え?なんだ?その‘魔力炉’や‘魔力’とは?


「分からないことはさっきの彼女に聞くといいわ」


「青色の石のことか」

「そう。彼女の名は‘アリア’。そう名付けてあげて」


あの不思議な石にも意思があるということか?(いや、ダジャレじゃないから。)


「あ・・・ああ、‘アリア’だな。分かった」


とりあえず、俺は了承しておいた。


「あとはよろしくね、ナオト。それと‘現実世界’に戻っても、あまり驚かないでね」


最後の言葉はよく分からなかったが、何故彼女が俺の名を知っているかを、不思議なことに俺は疑問に思わなかった。


「一つだけいいかな」


彼女にはいろいろ聞きたいことがあった。

でも時間がないらしいし、また彼女に会える気がした。

だからこれだけは・・・


「キミはいったい・・・」



すると、彼女は驚くべき返答をした。



「ワタシはアナタ。アナタはワタシ。過去と未来の存在よ・・・」



「えっ」


ど、どういうこと?


「ちょ、待って」


だんだん彼女の姿と共に、彼女の声が遠のいてゆく・・・


「アナタがまた困難に陥ったとき、また会えることを祈りマショゥ・・・」

「待ってぇーっ!?」


俺の叫びもむなしく、彼女はフッと消えた。


俺はどうなってしまうんだろう・・・


急に辺りは明るくなりだし、俺はそのまばゆい光に目を閉じ、その世界での俺の意識は途絶えた・・・



§ §



プツッ

シュルシュルシュル


「えっ?」


今まで切れることがなかったペンダントのくさびはいきなり切れ、まるで意志を持っているかのように魔石を握るナオトの右手に絡みつき、眩しい光を放った。


コアァーーッ!


眩しさのあまり視界を遮っていた腕を、光が収まったのでのけると・・・


彼のその右手首にその魔石が埋め込まれている腕輪がはまっていた。


さらにその魔石からの声が響く。



[‘《天使》補助プログラム’を起動します]


「‘天使’!!?それって・・・」


私はそれを知っている。でもそれって・・・


[主マスターの生体反応が著しく低下しているため、緊急魔力ブースターを使用し、肉体の再構成を行います]


もしかして、ナオトを救えるのか!?


だが、‘使徒’の二人組は待ってはくれない。


「ハッハッハッ!!こいつが標的だったってわけか。そんじゃ、何か起こす前に止めねぇとなっ!!」

「そうですね。私は万が一の為、詠唱をしておきます」


彼等はそう言うと攻撃態勢に入り、長剣の男は長剣をこちらに向けて倒れているナオトに襲いかかろうとする。


が、それは無駄に終わった。


[敵勢力を確認。自動防御魔術を実行します]


ズザザザザッ!!

「障壁っ!?」


凄まじい音と共に、私達と使徒の連中の間に吹き荒れる風が生まれ、彼等の行く手を阻んだ。


風の障壁ブラストシールド’。風によって敵の攻撃を阻み、近寄る敵を切り裂くという風系統の高等魔術だ。

あの使徒の連中は壁の向こうで悪態をついているだろう・・・


後ろにいた魔術師は土系統の高等魔術が使えていたが、風系統とは相性が悪い。いくら強力な魔術を使っても、この障壁は破れないだろう。


そんな魔術をこんな所で見られるなんて・・・


私は炎系統の魔術が得意で、その系統なら高等魔術も使えるし見たことがあるのだが、風系統の魔術師はあまりの身近にいなかったので、見たことがない。


だが何よりも驚いたことは、即に魔術を発動させたことだ。

つまり、


「詠唱破棄!?」


こんな高度な魔術を詠唱破棄で始動出来るということは、詠唱の代わりとなる方法をあの魔石が使ったに違いない。


私にとって‘使徒’の連中がこちらの世界で魔術が使える謎よりも、魔石と彼・・・ナオトの正体が気になってしょうがなかった。


本当に、彼はいったい・・・


風の障壁を見ていた私はふとナオトの姿を見ようとすると、いつの間にか彼の姿は真っ白な何かに隠されていた。


そして・・・


魔石からの声が響き、彼が回復したことを告げた。


[治療終了。バイタル正常、異常なし。簡易魔術障壁を解除します]


その合図と共に、彼を覆っていた障壁であった白い壁は割れ、彼が姿を現した。


パリーン


・・・?


あ・・・れ・・・

眼がおかしくなったのかな。


いや、違う。そんなはずは・・・


私はこの状況を、一言で表した。



「誰?」



そこにいたのは傷の癒えた彼の姿・・・



ではなかった。



眠るように眼を閉じている‘少女’。


美しく、流れるような白銀の長髪ロングヘアー


そして・・・

背中から生えているように見える‘真っ白な翼’。



「‘天使’・・・」


その姿は神々しく、私はまばたきさえ忘れていた・・・


to be continued...




~あとがき劇場~(第三回)


直人「なにっ!“死亡フラグ”は俺だったのか!!?」

正宏「そうらしいな。・・・これでようやく、僕が主役の座を!!」

直人「んなっ!!まだあきらめてなかったのかい!!

   そ、そうはさせんぞ!だって、まだ五話なのに主人公が変わるとか、ありえないから!!」

正宏「わからんで?」

直人「・・・たしかに、あの作者ならりかねんな・・・」

正宏「だろー」


氷雨「そうですねー。あんまりふざけて談笑してると、あなた達二人とも消えることになりますよ

   ・・・この削除キーで」


直人&正宏「(()えーっ!!!)」

氷雨「おもに眠りかけてポチッと」

直人「なおさら怖えーよ!!!」

正宏「ボケの座を取られたーっ!!」 ガクッ

直人「はあ・・・二倍疲れる・・・」


-fin-



ようやく物語に動きが出てきました。

でも先は長そうです・・・



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