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第一章 #4【一太刀の心】

戦闘・・・開始!!

#4【一太刀の心】


私はもう、この男達によって殺されるのだろう・・・

彼等にとって必要なのは私が今首にかけているペンダントの魔石であり、私やリーザの命はどうでもいいらしい。


「そんじゃあ・・・サヨウナラっ!!」

長剣の空を切る音が聞こえる。


切られるっ!!!


私は迫り来る恐怖に目を閉じた。


ガキンッ!!


・・・?


いつまで経っても切られた時の痛みが来ない?

私はゆっくりと目を開けると・・・

すぐ横に先ほどまで無かった‘人影’見えた。



「ったく・・・オッサン、女の子二人を男二人で襲うなんて、男の風上にも置けないぜ」


それは、‘使徒’の二人組とは違う、知らない男の子の声だった。

「えっ!?」


後ろを振り返ると、襲ってきた男の長剣を見たこともない歪な形をした木の棒みたいなモノで受け止める男の子の後ろ姿が見えた。

そして、その男の子はこう言った。


―「助っ人とーじょっ!!」―



§ §



爆発音のする方向へ走っていた俺は、肩からずり落ちかけていた竹刀の入った袋に気を取られていたせいか、突然曲がり角から現れた女の子に気付かず、もろにぶつかってしまった。

「ふぇっ!!」

「うわっ!!」

ドスンッ!!


「イタタタタ・・・」

ぶつかった反動で尻餅をついた俺は、痛む尻をさすりながらぶつかってしまった相手の様子を見ようと立ち上がった。


「って、陣内!?」

どうやらぶつかってしまった相手は、俺の学校のクラスメート、陣内美琴であった。

・・・どうやら目を回して気絶しているようだ。

「おーい、陣内ぃー。大丈夫か?」


・・・返事がない、ただの屍のようだ。


「って勝手に殺すなーっ!!!」

ガバッと起き上がった彼女は、怒りながらそう叫んだ。

お前は俺の心のボケを読み取れるのか・・・?

って、そんな事よりも。


「「なんで(どうして)お前が(キミが)ここにいるんだ(いるの)!!?」」

聞こうとしたことは同じだった。


とりあえず、俺から答えることにした。

「さっきの爆発音聞いただろう?それで気になって見に行こうとしただけだ」

彼女は少し考え込むような仕草を見せ、こう言った。

「なら、止めておきなさい。こういうことは警察に・・・」


「!!?」

近くに殺気!!

「ど、どうしたの?」

どうやらこの異変に彼女は気付いていないようだ。

「(どうしよう・・・こんなこと彼女に話したら、変に思われるだろうし・・・)」

その時だった。

「ひゃんっ!?」

「えっ??」

突然彼女は奇声を上げ、その場に倒れたのだ。

「ちょっ、えっ?何?」

状況が掴めない俺は、とりあえず彼女がピクピクと痙攣していることから、気絶しているだけだという結論に至った。


周囲に人影はみられない。

俺は彼女を何となく正広に任せた方がいいと感じ、携帯電話で高速でメールを打ち、要点だけを伝えた。


「・・・ごめん」

俺は返事を待たずに気絶している彼女を残し(罪悪感はあったが)、こけた時に落とした竹刀の袋を肩にかけ直すと、殺気を感じた場所へと向かった。



§ §



「っあーっ!!あのアホ女!どこ行ってん!!」


僕は焦りのあまり頭をかきむしった。

式神に残る美琴の魔力の波動を探りながら彼女を捜すも、だいたいの位置しか分からない。

くそっ、どうすれば・・・


ピリリリリ(電子音)

「美琴か!?」

僕はすぐに携帯電話を取り出し開いたが、予想外なことに直人からだった。


しかも・・・

「な・・・“陣内が藤ヶ丘一丁目○○○で倒れている。あとヨロ”って、わけ分からんわ!」

悪態をつくわりには分からないことはない文章だが・・・

恐らく、さっきの式神にした事が原因で気絶しているのだろうと、彼女が倒れている理由は容易に想像出来るが・・・


なんで直人がそんな所を通ったんだ?



§ §



「(って、なんかやばいじゃん!!!)」

目の前で、今まさにうずくまっている女の子に、長剣を振り下ろそうとする黒尽くめの男と、それを後ろで見ている男の姿があった。

俺は覚悟を決め、素早く袋から竹刀を出すと、懇親のひと蹴りで素早く目標の場所へと向かった。


「(間に合えっ!!!)」


ザッ

ガキンッ


・・・あぶねえ。

俺はギリギリで男と女の子の間に割って入った。


「ったく・・・オッサン、女の子二人を男二人で襲うなんて、男の風上にも置けないぜ」

「えっ!?」


その女の子の驚いたような声が聞こえた。


別にカッコつけるつもりはなかったが、漫画の台詞のような言葉が出てしまっていた。


「助っ人とーじょっ!!」


‘助っ人’というのは少々語弊(ごへい)があったような気がした。だいたい、後ろにいる彼女とは面識もないはずだし名前も知らないし。

ま、いっか。


「小僧、何者だ。その嬢ちゃんの仲間か」


そう言ったのは長剣の男だった。

彼は俺が話している間に長剣を竹刀から離し、間合いを取っていた。


「人助けだよ、人助け。つーかオッサン、‘銃刀法’って知らねーの?この日本では一般人が剣なんか持ってちゃ駄目なんだよ」

「そんなもんは知らねーが、俺は一応‘一般人’じゃあないんでね!!」


そう言うと、男は俺に切りかかってきた。


ガキンッガキンッガキンッ

「ふっ!!!」

「くっ!!?」


一糸乱れぬ攻防戦。


相手の剣の勢いを殺しつつ、次々と来る斬撃を受け止める。

そして隙が出来れば攻撃を繰り出す。


ガキンッ!!


十数の攻防の後、男の長剣を凪払った俺はその一瞬の隙を逃さなかった。


「(泉式剣術の八!!)」

利き手である左手で柄をしっかりと握ると、荒れ狂った風のような動きで攻撃を仕掛ける。

乱風みだれかぜ!!」


「このっ!」


男も負けじと長剣で対応するが、幾つかは体にヒットした。


「ぐっ!!?」


男はバックステップで再び間合いをとる。

「はぁ、はぁ・・・小僧、なんだその武器は?木じゃあねぇな」

男は荒い息でそう言った。


「生憎、この竹刀は特注品でね。中に金属が埋め込まれているから、折れることはないのさ」


俺は律儀にも彼に教えてしまった。


それが間違いだった。


「ほう・・・なら、その金属までは切れるってか」


そう言うと、ニヤッと恐ろしい笑顔を浮かべた男は再び切りかかってきた。


「なっ!!?」


今までの経験(十数年そこそこしか生きていないが)が、俺の脳内で警告音を発している。

俺はその攻撃に危機感を感じ、受け流そうとした。


ガッ


「なっ!?」


なんと竹刀の竹に長剣がめり込んでいた。

それはさっきより重い一撃だったのだ・・・


「(まだ本気じゃなかったのか!!?)」

油断していた・・・相手はまだ全力ではなかったのかっ!!


「ちっ!!」


竹刀を無理やり回転させ長剣から逃れると、俺は間合いを取った。


いくら折れないような金属棒がこの竹刀の芯になっているといっても、武器のスペックの差は明らかだ。

現に俺の竹刀は既に多くのヒビが入っている。


「やっべぇ・・・」

焦りの言葉がつい出てしまうほど、俺は動揺していた。

冷や汗が頬をつたってゆく。


「どうした小僧、さっきまでの威勢は?」

ニヤリとする男の顔が憎らしかった、と同時に俺を挑発していることに気付いた。


「(落ち着け、俺。何か打開策があるはずだ)」


俺はヒビの入った竹刀を見つめた。欠けた竹が当たりに散らばっている。


竹刀一部は完全に竹が剥がれていた。

そこから見えたモノは・・・


「!?こ、これは・・・」


おもしれぇ。

俺はフッと笑うと、竹刀を握り直し男に向かって竹刀を振り下ろした。


ガキンッ


「ほぅ・・・息を吹き返したか・・・だが、そんなオモチャでは勝てんぞ!!」


ガキンッガキンッガキンッ


「くっ!たしっ、かにっ、そうだなっ」


ガキンッガキンッガキンッ


だんだん深い亀裂が入っていき、今にも壊れそうな竹刀・・・


「だがっ!!」


俺の竹刀と男の長剣は勢いよくぶつかった。


ガキーーンッ


ピシッピシッピシッ


「これがコイツの‘真の姿’だあっ!!!」

「なにっ!」


パリーン!!


竹刀の竹は砕け散り、そして中から現れたのは・・・


黒く光る刀身、柄の細工、そして・・・‘風’を表現するような形をしたつば


刀の名は‘風流丸ふうりまる’(と、刀身に刻まれていた)。



§ §



「ぉぃ...」

「う・・・うーん」

「しっかりしろ!美琴!」

「イタッ!」


おでこの痛みで気絶していた私は目を覚まし、目の前にいた正宏でありそれはデコピンだと分かった。


というか・・・

私は羞恥心と怒りで震え、拳を握り締めていた。

正宏にいきなり胸を掴まれた・・・それだけではない、芹沢直人に恥ずかしい声を聞かれてしまった・・・


「ま~さ~ひ~」

「五月蠅いわアホ女!!」

「イタッ」


あれ・・・?もしかして、本気で怒ってる?


「当たり前や!なに勝手に一人で行動しとるねん!ちょっとそこに正座しなさいっ!!」

「はうっ」

「そもそもお前は・・・」


こうなった正宏には逆らえない。


私は長ーい説教を(実際は約五分だったが、固いコンクリートの上に正座するという痛みによって私には長く感じた)聞かされてしまった。


「う・・・ぐずっ」

「分かったか、美琴!」

「分かりました~、すみませんでした~」「分かればよし」


そうだよね・・・私が先走って単独行動したからだよね、胸だって・・・

胸だって?


「・・・ねぇ、正宏」

「なんや、反省したか」

「うん、私が単独行動をとったことは反省しているよ。でも・・・」

「でも?」


ピキッ


「私のむ・・・胸をつ・・・掴んだ理由にはならないんじゃないかな、‘正宏君’?」


今の私はよっぽど怖い顔をしているのだろう、正宏は先程とは打って変わってビクビク震えていた。


「え・・・と、じk」

「一発逝っとく?」

「スミマセンでしたぁっ!!」


正宏は素早い動きで見事な土下座を決めていた。

ま・・・まあ、正宏に掴まれて悪い気はしなかったし・・・て、何考えているんだ私///!?


私の式神は、術者が発動してから消えるまでの出来事、つまり会話や五感で感じた情報を、消えたと同時に術者に送ることが出来る。今回の場合は消える前の一番強い印象となった‘胸を掴まれた’という情報が大半を占めてしまい、その時の記憶と共に感覚までもが術者である私の体に直接伝わってしまったのだ。


実は、式神を使うのは命を伴う危険性がある。

式神は術者が自ら消すか、外部からの強い衝撃により消えてしまう。

つまり、式神が例え重傷を負うような怪我をしても、消えるだけで術者が怪我を負うことはない。

ただ・・・もし、それが私の記憶に強く残りそうなものであれば、もしかしたら精神が崩壊するかもしれないのだ。


まあ、今回は胸を掴まれ、その衝撃で式神は消えてしまったのだけだから大丈夫だが・・・


って思い出しちゃった~っ///。

と、とにかく、落ち着け私。深呼吸、深呼吸。す~は~す~は~。

ふう~っ


「ま、まあとにかく、今度からは別の方法にしてくれない?わ、私も悪かったし」


ポカーンとして驚いている正宏を見て、何か変なこと言ったかしらと私は焦ってしまった。


「な、なによ」

「いや、許してくれるならありがたいのだが、今直人のことを思い出してな・・・」

「えっ」


な、なんでコイツは別のことを考えているのかなあ、何故かまたイラッとしてきた!


「美琴、お前倒れる前に直人がどこに行こうとしてたか知っとるか」


あ・・・


「彼・・・もしかして、‘使徒’の連中に会ってるかもしれない!」

「なんやと!?どういうことやそれ!?」

私は彼等を追って見ていた一部始終を正宏に話した。

「直人のヤツ、その娘たち助けに行きよったんか!?」

「でもいくらなんでもそんな」

「アホか!あいつは人一倍正義感が強いやっちゃでなあ!」


もしかして、一般人を巻き込んじゃった~!!?


to be continued...




~あとがき劇場~(第二回)


直人「正宏、この‘刀’見てくれ」

正宏「これはっ!!お前どっからパクって来てん!!」

直人「お前本文見てないだろ!」

正宏「そんなことないって」

直人「まあいいとして。これって本物かな?」

正宏「どれ、おじさんに貸してみなさい」


チャッ


正宏「おお、これは本物じゃないのか?すぱっと何でも切れそうやないか」

直人「やっぱり本物かな」

正宏「で、なんでお前が刀持っとるん?」

直人「やっぱりお前、絶対本文見てないやろ!!」


-fin-


ども、氷雨です。

皆さんに習って“あとがき劇場”なる物を作ってみたのですが・・・


正直失敗しました☆


でも、これからも書こうと思っています。おもしろみの欠ける内容かも知れませんが、暖かく見守っていてください。よろしくお願いします!

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