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#13【ミッション01-入学式その1】

半年ぶりの更新です・・・


ども、スミマセンです...


#13【ミッション01-入学式その1】







小鳥のさえずる音と共に、意識が覚醒した。


否、実際は五月蝿いセミ鳴き声だった。



「(夢・・・だったのかな)」



横にごろんとなると、白銀ではなく黒い髪が見える。


やっぱり夢か・・・


と思ってみたものの。

長い髪の毛が男の‘俺’のものであるはずがない。


ガバッと起き上がり、机の上の鏡を見る。


・・・そこに映っていたのは。

顔の容姿はほぼ同じだが、目と髪の色が日本人特有のそれに変わっていた。

私はその姿に驚愕した。



「な、なんだこれは!!」



確かにこの黒い瞳と黒髪は、この日本で目立たないようにはなるが、1日で色が変わるはずが・・・




「あっ・・・」





・・・あったりする。








―――――――それは昨日の就寝前の話。


雪音のお古のパジャマを借り、それを着た私は雪音、アリアと共に明日の作戦会議をしていた。

議題は‘明日の入学式をどうするか’。



「元の姿に戻りまでの一週間、シンクロを使ってアリアに出てもらうわ」

「分かったよ、お姉ちゃん。私もできるだけ協力するよ」




私の通う藤ヶ丘高校は中高一貫の学校で、雪音は藤ヶ丘中学校に通っている。



「よろしく頼むよ。それともう一つ、重要なことがある」



私は一呼吸おいてから話した。



「シンクロの性質上、私はアリアからあまり遠くまで離れられない。距離は学校の敷地内ぐらいかな」

「つまり、私だけでなくお嬢様も学校内にいなくてはなりません」

「えっ、そうなの?」




私とアリアの話に驚く雪音。



「でも、今のお姉ちゃんの姿、結構目立つんじゃない」



特に髪や目の色とか、と続ける雪音。

確かにそうだな・・・



「髪や目の色は魔力を抑えるため、黒色に変わりますから問題ないですよ」

「というと?」



私はアリアに先を促す。




「今のお嬢様の体内魔力値は本来の十分の一も有りません。それは体内魔力を体に順応させるために私が制限をかけているからです。そしてその魔力値を日々増やしていき、最終的には本来のお嬢様の持つ体内魔力値に耐えられるようになり、元の姿に戻れます」

「十分の一って・・・今敵に襲われたら対処できないってこと?」

「十分の一といっても、高等魔術を使用する魔術師1人分ぐらいに匹敵します」

「「・・・・・」」



十分の一で1人分・・・それって、十分チートよね。



「お嬢様、雪音様?大丈夫ですか」

「あ、はい」

「だ、大丈夫よ。でもそれって、私の魔力を抑えることとどう関係あるの?」


まだ答えに到っていない。



「つまり、それだけの魔力を秘めていれば、探知魔術を使われたら敵に居場所を教える様なもの。今の時点では、制限を掛けなくてもいいのですが、明日にもなれば制限を掛けなければいけません」

「それは・・・その制限を掛ければ、髪や目の色が変わってしまうってこと?」

「正確には、髪や目の色を変えることにより、制限を掛けるのです。髪にはその個人の魔力が放出されており、その色は、“火”“水”“土”“風”個人の秀でている系統の種類を表しています。目の色も然り、です」



系統と髪のや目の色には関係性があるだって?



「具体例を上げると、フィレス様の赤い髪や灼眼は“火”の系統を示し、彼女の特異な魔術が火の系統であるということを示します。リーザ様の黒髪や黒い瞳は、どの系統も秀でてはいませんが、系統全てを等しく使えます」



因みに“水”は青、“土”はブラウン、“風”は緑です、とアリアは補足する。



「私は碧眼だから“水”の系統が秀でているのは分かるけど、この髪の色は何を表しているの?」




白銀って、何の系統だろうか?



「“光”です」

「「“光”?」」

「はい。“光”の系統は、四大系統全ての高等魔術を扱うことができ、さらに系統を掛け合わせた上級魔術も扱えます」

「・・・やっぱり、ほとんどチートだね」


魔術について詳しく知らない私でも、その凄さは理解できた。



「なるほど・・・つまり、お姉ちゃんの“光”の系統の力を抑えたら四大系統全ての力が等しく制限されるから、黒髪になるってわけね」

「その通りです、雪音様」



まだよく分かっていない私に、雪音が話をまとめてくれた。



「まあ黒髪や黒い瞳の方が、この日本において一般的だから目立たなないからね。一石二鳥だね――――――







―――――とは言ったもの・・・



私は鏡で黒髪、黒い瞳を確認すると、溜め息をついた。



「起きていきなり容姿が変わってたら、驚くよ・・・」

[すみません、お嬢様。しかし、制限を掛けるのに一番ベストなタイミングがお嬢様の就寝中でしたので]



因みにアリアには腕輪の中に戻ってもらっている。



ま、このほうが目立たないし。

良いとしますか!




「さてと・・・」



私は気持ちを切り替えるため、両頬をパンッと軽く叩いた。



ミッション開始といきますか!!





§ §





「“寝坊して少し遅れるから、先に行っといてくれ”ってか。はぁ・・・」




僕は直人からのメールを見て溜め息をついた。

昨日の夜に直人から無事を知らせる電話はあったが、実際に彼の姿を見たわけではないのでまだ少し心配なのだ。


あんな戦闘を見てしまったからなあ・・・




ある筋でこの地域一体に住む人々の個人情報から、例の白銀の髪の少女について調べたが一致する人物はいなかった。

まあ、あれだけ目立つ容姿ならこの田舎で土地面積の小さい藤ヶ丘町にいれば、一回ぐらい見かけているはずだから当然の結果だ。



その少女が何者なのかは後々考えるとして・・・



僕は藤ヶ丘高校指定の制服を着終え、カバンを持ち玄関に立つ。



「行ってきます」



とりあえずは学校で直人の無事な姿を拝むのが先やな。



腕時計で時間を気にしつつ、僕は急いで学校へと向かった。――――――





―――――家を出て数分後の道中、不思議な子を見かけた。



水色のワンピースを着、大きな麦わら帽子で顔を隠すように手で唾を押さえながら歩く少女。

一瞬昨日の少女かと思いきや、チラッと見たときに見えた髪の色は白銀ではなく日本人特有の黒髪それだった。


大通りの反対側の歩道を歩いていた彼女は、僕に気付いてか学校の通学路とは違う方向にそそくさと立ち去っていった。




ん~、もしかして僕が彼女のことを少しの間、じっと見てたのを彼女に気付いたからかな?


あの少女に変な人と思われたかもしれないと考え、僕はガックリと肩を落とした。





§ §





「ちょっと、アリア!そういうことは早く言ってよ!!」

[す、すみません。まさかあの時の少年がお嬢様のご友人だったなんて]




さっきたまたま正宏とすれ違ったのだが、どうりで彼の視線を感じたわけだ。


まあ、髪の色の変化で幾分か気付かれないであろう今の私の姿から、正宏が昨日の人物と同一人物であるという答えには達していないだろう。




「しかし、面倒なことになったね・・・」




私は気付かれていないにしても、フィレス達はその姿を見られていることから、迂闊に彼の前で会うことが出来ない。



「ま、とにかく学校に行きますか」



とりあえず今最優先にすることは学校へ行くことなので、彼に会わずにすむ遠回りの道を選び、私は急いで学校へと向かった。―――――






―――――「で、校門に着いたわけだけど」


今、私は校門の近くまで来ているが・・・


「くっ・・・やっぱり、風守かざもり 伊吹いぶきがいるのか・・・」


藤ヶ丘高校二年生、風紀委員、委員長の風守 伊吹。

風紀の乱れは己の名誉に関わると謳い、規律を守らず注意を無視する者には、自前のいつも腰に差している木刀で容赦なく制裁を下すらしい。(しかもその実力は本物だ。)

しかしその凛々しい姿を見た生徒達により、風守様ファンクラブを設立されるほど彼女は人気があるらしい。


でも、私は彼女が苦手だったりする。


とりあえず、正面からは無理だな・・・裏門に回るか。


『アリア、身体能力強化の魔術、今なら使えるよね』

[『はい。だいぶ体内魔力が安定してきている今なら使えます』]

『オッケー。ならあそこから入れるかも』



アリアと念話で話し終えた私は、麦わら帽子の唾で顔を隠しつつその場を後にした。






§ §






「(ん?あの子は・・・)種島、少しの間この場を頼む」

「了解しやした、風守先輩!」




風紀委員の副委員長の種島たねしま 浩希こうきに校門の仕事を預け、私は先ほど見かけた麦わら帽子をかぶった女の子を追跡した。


特に怪しく感じたわけではないが、第六感が追いかけろというのだ。

その勘が百発百中当たるわけではないが、統計上八割ぐらいの確率で何かが起こる。




私は彼女に気付かれないように後を追った。




§ §




「よし、ここだな」



学校の裏門に来た私は、目の前にそびえ立つ門を見上げた。




「この姿だと、一層迫力があるね・・・」



3メートルという巨大なこの門には、子供視点からすると門ではなくただの壁だ。

そして、その高さから越えることが出来ないことから見張りや監視カメラなどは付いていない。

でも、魔術を使えば・・・




「アリア、よろしく」

[了解です。‘身体能力強化魔術・脚力強化’]



体に流れる力を感じそれを足に集中させ、力の調整はアリアに任せる。



「よっ」




地面を踏みしめ軽く飛ぶと、私の足はスッと地面から離れる。

そして門の上部の淵に片手をかけ、私は軽々と門を飛び越えた。


ストッ




「ふーっ・・・よし、アリア、頼む」

[了解!]





上手く着地できた私は、十分中に入って周りに人がいない影に移動すると、アリアに‘俺’の姿になって実体化してもらった。

もちろん、制服の姿で。




「アリア、くれぐれも言葉使いに注意して。常に念話で状況を報告。いざとなったらシンクロで私が対処するから」

「任せておけ、相棒!(キラーン)」

「どこの爽やか青年だよ・・・」




親指を立てポーズをとる‘俺’に、私は心配でならなかった。




昨日の特訓の成果はあまり出ていないな・・・

私は宙から鞄を出す(例の‘無限収納スペース’)と、それを‘俺’に渡した。



「いい?くれぐれも言動に気を付けて」

「了解!」


そう言って校舎の方へ走っていく‘俺’の背中を見送り心配のあまり深い溜め息をつきつつも、私はこの学校で一番人目に付きにくいと思われる‘例の場所’へと人目を気にしつつ向かった。





§ §





・・・私は驚きのあまり呆然と立ち尽くしていた。

先ほどの麦わら帽子の少女が、3メートルもあるあの裏門を軽々と飛び越えていく光景を見てしまったからだ。


「な、何者だ、あの子は!?」


とりあえず、校舎内に入っていた彼女を見つけ出さないと!校内の規律が乱れる!!


そう感じた私は、急いで正門へと向かい彼女を探すため‘旧魔法政府軍’のメンバーである、木内 正宏に連絡を入れた。



to be continued...




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