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二人きりの帰り道

そして放課後…

支度を済ませ顔を上げると、悠真とばっちり目が合う。



「凜!帰ろうぜっ!」



この一瞬が恥ずかしくてたまらない。


嬉しいのを必死で抑えながら適当に返事を返せば、前にいる悟が振り返りニコニコ笑いながら「頑張れ」と口パクで伝えてきて余計に恥ずかしくなる。



「んふっ…じゃあおっ先ぃー!!」


「あっ、悟っ!?っんだよあいつ…最近付き合い悪くね?」


「彼女でもできたんじゃね…?」


「えっ!まじかよぉーっ!」



適当な嘘をついて教室から出ると、悟の彼女ってどんな子だろうな、なんて興味ありげに聞いてくる悠真は、やっぱりどう考えても女が好きなわけで俺が入り込める隙なんて1ミリもない。


「頑張れ」なんて言われたって、一体何を頑張ったらいいのか。


俺はそんな事をぼぅっと考えながら、缶コーヒー片手にポケットに手を突っ込み歩く悠真を無意識に見つめていた。


相変わらず今日もかっこいいなぁ…



「ん?飲む?」


「あっ、いや……うん…////」



あまりにもじぃっと見ていたのが物欲しそうに見えていたのか、悠真が缶コーヒーを俺の目の前に差し出してきた。


俺は何でもないような素振りで、悠真が飲んだ後の缶コーヒーを口に含む…


前まで普通に出来た事も意識すればするほど恥ずかしくて、それを悟られないように何でもない振りするのが精一杯だった。



「そ、そういやお前…彼女どうしたんだよ…」


「あぁ、別れた」


「えっ?」


「何かさ、女とかもういいやって」



悠真に彼女が出来た時、正直ショックだった。


だけどそのせいで俺たちの付き合いが疎かになることもなかったし、悠真が幸せならそれで良いと思ってたけど、でもやっぱりどっか苦しくて…


だから別れてくれたのは正直嬉しいけど、それで俺に有利に働くわけでもないから、少し皮肉を込めた言葉を悠真に投げかけてみた。



「へぇ…あんなに好き好き言ってたのに?」


「う〜ん。けど俺、凜のが好きだし」



コーヒーを口に含んだタイミングでとんでもない事言い出すから、思わず口に含んだコーヒーを思いっきり吹き出した。



「おいっ!何してんだよぉ、大丈夫か!?」


「お、お前が変な事言うからだろっっ////」


「変な事なんて言ったか?」


「んぅ…///」



悠真にそんな気がない事くらいわかってる…

なのに、そういう言葉を敏感に感じとってしまう自分が恥ずかしくてたまらない。



「そういや凜さ、なんで彼女作んなかったの?告られたりしてたよな?」


「別に…興味ねぇし」


「ふぅん」



あまり深く掘り下げないで欲しくて、俯き視線を逸らすと沈黙の時間が続く。


暫く何も言ってこない悠真をチラッと横目で確認すると、不思議そうな顔でじっと見つめくるから慌ててまた視線を逸らした。



「好きなやつとかも?いなかったの?」


「…っ、いなかった訳じゃ…ねぇけど…」


「えっ?だれだれ?教えろよぉ!俺の知ってるやつ!?」


「…っ、うっせぇよっっ///」


「ふはっ!お前、顔真っ赤じゃんっ」



じゃれ合うように肩を組まれ、顔を寄せてくる悠真…

何もかも、お前のせいだろ?


3年間ずっと俺の隣で嬉しそうに笑うお前を想って、優しい声に心が揺れて。


ずっと我慢してたのに、今更【お前のことが好きでした】なんて…

こんな事、言えるわけねぇだろ。


しつこいくらいに絡んでくる悠真を振り払って、それでもくっついてくる悠真に悪い気なんかするはずもなくて、肩を組まれたままあの坂道に辿り着く。



「あ〜あぁ。何だかんだ言っても、もうすぐ卒業だな」


「そうだな」


「だからさ?俺は、この残り少ない貴重な高校生活をだな!女なんかより凜と過ごす事を選んだ訳よっ!わかる?」


「…っ、全っぜんわっかんねぇっ////」



あぁ、俺はなんて天邪鬼なんだ…


あんなに彼女が出来たと舞い上がってた悠真が、俺を選んで隣にいてくれてるのに素直に喜ぶ事さえ出来ない。


3月に入れば卒業まではもうあとわずか。


思い出を語りながら2人で歩く見慣れたこの道も、後もう少しで終わりなのに…


俺のこの想いが悠真に届く事は…多分


一生ない―――

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