鑑定も戦闘もできないとパーティを追放された主人公。 しかし彼のスキルは「価値可視化」。 この世界では“ゴミ”と呼ばれる物の中に、国家を揺るがす力が眠っていた――。
(第1話)
「お前はもう要らない」
そう言われた瞬間、俺は理解した。
――ああ、これが“追放”ってやつか。
勇者パーティの倉庫係。
戦えない、魔法も使えない、鑑定もできない。
俺の仕事は、戦利品の整理と廃棄だけだった。
「ゴミ漁りしかできない無能は、今日でクビだ」
仲間たちは笑っていた。
だが俺は、少しだけ肩をすくめる。
だって彼らは知らない。
俺のスキルが、本当に見ているものを。
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俺の固有スキルは【価値可視化】。
触れた物の“本当の価値”が見える。
金額じゃない。
歴史的価値、魔力効率、将来性――
世界にとっての価値だ。
パーティが捨てた錆びた剣。
表示された文字は、こうだった。
【表示:
・名称:王剣の芯
・状態:外殻劣化
・真価:再鍛造でSSSランク武器に変化】
「……やっぱりな」
俺はその剣を拾った。
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追放され、向かった先は王都外れのスラム。
誰も近づかない“ゴミ山”。
だが俺の目には、宝の山にしか見えなかった。
【壊れた魔導具 → 国家級インフラの部品】
【欠けた魔石 → 量産兵器の核心】
【ボロ布 → 失われた古代魔法陣の媒体】
「この世界、価値の見方を間違えてるな」
俺は笑った。
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数日後。
スラムに奇妙な噂が流れ始める。
「ゴミから金が生まれる」
「壊れた物が、なぜか直る」
「拾っただけで貴族が頭を下げた」
そして一人の少女が、俺の前に立った。
「お願い。あなたの力で、この街を救って」
表示が走る。
【表示:
・対象:没落王家の姫
・価値:国家再建の鍵】
「……面白い」
俺はうなずいた。
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追放した勇者パーティが、後悔するのはもう少し先の話だ。
彼らが守ろうとした国は、
“ゴミ拾いの俺”が作った国家に吸収されるのだから。




