裏の長
花街の華やかな空気とは違うこの場所は――。
山を削り、暗闇に生活を共にする仲間たちが並んでいる。
「晴晴様――おかえりなさい」
仲間たちは雪を落とし、羽織を受け取り、部屋という名の洞窟に灯を灯す。
林林「晴晴、今日も花街遊びかいっ?!」
この元気な女とはずっと一緒に生活してきている。
下庭で生きる女の中で一番元気でアホな女だ。
髪はぼさぼさで、仕事をいかに成功させるかそれだけ考えて女っけは一切ない奴と俺には名前が無かった。
いつの間にか晴晴、林林と呼び合いここまで生きてきた。
あの女の言う名前は温かい――か。
晴晴「情報集めだ」
林林「あの噂の剣舞の妓女でしょ?!そんなお好みの妓女がいるなんてね!私もその妓女買いに行こうかな!?」
晴晴「女が妓女買うのか――?まぁ、ありえなくもないか――」
あの女が花街の価値観を壊している、今ならそのようなことが起こってもおかしくない――(笑)
林林「えらくご機嫌だね〜。その妓女の夜がよほどいいの?!」
晴晴「まぁ。――それよりお前たちに話したいことがある――」
林林「否定しないんだ!(笑)……え?なになにっ!?」
白蕾は花街であの世に行ける手がかりを探ろうとしている。
下庭は俺に任せようってか。タダ働きさせるつもりか――(笑)
林林「――農業ですって!?」
「晴晴様、正気ですか?!」
「農業の経験なんて俺らには……」
「新しい流通ルートが見つかったのかと思ったぜ……」
「農夫になれってか?!」
反対されることは百も承知。
晴晴「奪うより、腹を満たした方が早いだろ。飢えた奴は、金より飯を見る」
林林「そうかっ!金や力じゃなくても交渉できるのか!」
今日も盗みを働いていた林林は持っていた袋を投げ飛ばした。
「そんな生ぬるい世界じゃないだろ」
晴晴「俺たちの世界に生ぬるさはあったか?」
「だーっ!わかった!」
「まずどこの土地にするかだな!」
「耕してある土地が楽だろ?!」
「農夫の土地か!ありだな!」
林林「なるべくここから近い場所がいいわよね!」
この会話を聞けばあいつぶっ倒れるな――(笑)
あの屋根裏部屋で白蕾は眉間に皺を寄せていたことを思い出すだけで傑作だ――。
晴晴「で、お前はやったことあるのか」
白蕾「すいません……ないです。知識は小さい時に少しかじった程度で――」
晴晴「で、どうやったんだ」
白蕾「家畜の糞尿と落ち葉を土に混ぜたり……」
急に自信を無くし、必死に脳内を探る様子は先ほどまでの剣舞の妓女には見えない(笑)
晴晴「やったことないことを人にさせるつもりか。成功するまでの金はお前が稼げ」
白蕾「はい」
未来から来ただけの女は狂っている。
行動も、思考も振り回され大きなため息しかでない。




