表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終わりと始まりの花【本編】  作者: はな
白蕾【花街編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/119

友人


 冷たい雪が街の外に積もり、客たちは急足でこの屋敷へと入ってくる――。

 

 あの夜の落簪るぉざんから毎日、晴晴しんしん様は夜の落簪るぉざんを買ってくれるようになった。

 香膳こうぜんで自分の目的のために剣舞を舞うようになり、少しずつこの花街での居場所を掴んできた。


 艶やかで儚い花に見えるが、風を切る剣の音は鋭い。

 仮面の中に白蕾の顔が隠されていることも客には受けた。

 いつか自分がその面を剥がしてみたいと欲を掻き立てる。


 これはあたしの生きるため、道を見つけるための工夫。

 剣舞を終えると香膳の卓ごとにお酒を注ぐ。

 そこで客との会話をする。少しでも手掛かりを見つけたい。


 白蕾ふぁんれい「特別な話をお聞かせください」


 これがあたしのお酒を注ぐための言葉になっていった。

 客は「特別」でいたい。あたしは「情報」が欲しい。

 これは利害一致。

 

 客は自分の身分の高さを自慢したり、特別なものを買ったことを自慢したり、あの有名な妓女の夜を買ったことを自慢したり。

 ここでは情報を得ることは難しいばかりか正直興味のない話ばかりだ。

 居場所を無くした人たちがお金でこの場を買うのだろう。

 確かにお金で居場所を買うことができたら、楽なのかもしれない。


 が、それこそ仮初の時間だよね。


 何度舞って、話を聞いてもそれらしい情報を得ることができない――。

 同じような話を何度も聞く虚しさに苛立ちと焦りのような感覚に苦しめられる。


 晴晴しんしん「――何かあったか?」


 晴晴しんしん様はいつもぶっきらぼうに金階じんじぇいで酒を飲んであたしが必死で動き回る姿を見て楽しんでいる。

 本当に趣味の悪い人だ。


 晴晴しんしん様はそんなことよりもあの世のことに興味があるようで次から次に話すように指示される。

 晴晴しんしん様が送ってくれたこの衣と仮面があったから剣舞が客たちに受けたこと、落簪るぉざんを必ず掛けてくれるからあたしは安定した生活をこの花街で送り、体を売ることなく過ごせている。

 それだけのことを晴晴しんしん様に返すことができるのはあの世について話すこと。それしかあたしにはできない。


 恋でも、依存でもなく、交換――。


 衣、皿の洗濯は人間の手でせず機械というものが担ってくれる。

 馬に乗らずとも、油を入れると鉄の塊が走り出す。

 食べ物はどうやって作るのか、争いはどのようにして行われるのか――。


 晴晴しんしん「――敵国が憎くないのか」

 白蕾ふぁんれい「憎しみの連鎖を起こさせなかった先人たちに感謝しております」

 晴晴しんしん「戦が戦を起こさなかったのか――?!」

 白蕾ふぁんれい「はい。大事な人を奪われないために耐えて、大人たちがこれ以上の悲劇を生まないそうにあたしたちに教えをやめなかったのです」

 晴晴しんしん「そうか――。そんな大人が一人ではなかったのか」

 白蕾ふぁんれい晴晴しんしん様もそのような人になれるとあたしは思っています」


 この人にはオーラがある。

 あたしには持っていない構えることができる。

 晴晴しんしん様と過ごしていく中でこの人も実はまっすぐな人だと分かった。


 晴晴しんしん様はまさかそんなことを言われると思っていなかったのか、笑って誤魔化している。

 あぁ、この人はやっぱりあたしに似ている。


 白蕾ふぁんれい「褒めているのですから、喜んでください」

 晴晴しんしん白蕾ふぁんれいに褒められて、俺も変人だと言われているようなもんだろ」

 白蕾ふぁんれい「ふっ――(笑)晴晴しんしん様はこちら側の人間ですよ」

 晴晴しんしん「あー、そうかー」


 褒められ慣れていない人の反応。

 まるであたしを見ているようだった。


 友人のような兄のようなこの人を見ていておかしくなった。


 晴晴しんしん「――それで?俺が何できるって?(笑)」

 白蕾ふぁんれい「稼げる方法があります」

 晴晴しんしん「どっちが悪者かわかんない奴だな」

 白蕾ふぁんれい「ふっ(笑)それも――下庭げていと呼ばれる人たちが祝街しゅくまちと立場が逆転してしまうほどの」

 晴晴しんしん「悪巧みをするようになったのか、変な女だ」

 白蕾ふぁんれい「あの人たちも人間です。晴晴しんしん様たちが――」



 はっと閃いたときの顔はまるで白蕾ふぁんれい――。妓女のような顔では無かった。

 馬鹿げた発想で、子妓たちをと同じように少女の目をしていた。


 白蕾ふぁんれい「このお金は晴晴しんしん様のものです。お使いください」

 晴晴しんしん「女の金、巻き上げるほど俺は悪趣味じゃない。それでやり方は?」

 白蕾ふぁんれい「儲かる話にはやはり興味があったのですね――(笑)」


 この変な友人はクスクスと笑い、作戦を話し始めた――。


 


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ