いってきます
華辉「――梅心、白蕾はどこだ?」
華辉様は落ち着きなく屋敷の中を走り回っている――。
梅心「どこって……白蕾はいってきます、と朝言っていたでしょう?」
華辉「――?どういうことだ?山源!」
山源「白蕾様は下庭へ……」
華辉「はっ?!」
陛下の驚く声がこの小さな屋敷に響く――。
俺の方を力を込めて振る。
梅心「坊ちゃん、最初からそのつもりだったんじゃないの?」
華辉「――そんなはずないだろう……守るためにここへ連れて来たんだぞ?!全て解決できると――。皇帝から逃げられるとでも?」
梅心「坊ちゃんが上級妃の中から皇子を授かっていればあの子も逃げていかなくて済んだかもしれないわよ?」
華辉「……っ」
梅心「侍女の皇太后様からの解放。あの子自身の身の安全。それから――国の体裁。全部、解決したのね」
華辉「……俺は俺のしたいようにできないのか……」
梅心「あの子にはあの子の問題があって、あなたはあなたの問題があるだけよ」
これほど取り乱した華辉様を見たのは初めてだった。
まるでこどものように床に座り込み、立ち上がれない様子。
華辉「……白蕾の荷物は……?金は持たせているのか……?住む場所はあるのか……?」
山源「白蕾様はこの屋敷に来た時にはすでに荷物はほとんど持っておりませんでした……」
華辉「張宏を呼べ。温花としての任期が残っているか――」
梅心「妃温花の帳簿を無くしたのは坊ちゃんでしょう?」
華辉「あぁぁ――」
梅心「あの子は下庭でも上手く生きていけるわよ。こんな籠の中に収めておく花では無かったのね。いいじゃない。愛した女が選んだ場所を応援するのも。下庭が危ないと思うのならあなたは皇帝よ?治安をよくすればいいだけでしょう?」
梅心様はずっと華辉様の背中を撫で続け、俺はただ横で立っているしかできなかった――。




