白蕾の得意
身支度を済ませやってきた場所はこの国の中心、宮中の中心。
大きな壁に囲まれたこの屋敷は風も、音もない。
華辉「来たか」
この屋敷の主は小さな門に立つ。
ここに来るまで迷路のような道をいくつも曲がりようやく辿り着いた。
「陛下――。本日からよろしくお願いします」
衣は動きやすさ重視の短い広袖が短く、軽い。
色は静かで控えめなグレー混じりの桜色。
いかにも――。
梅心「私が侍女頭の梅心です。よろしくね。坊ちゃん、この子の名前は?」
華辉「名前も準備してある。梅心まずその荷物を部屋に運ぶように」
梅心「はい、わかりましたよ」
この囲まれた小さな屋敷の中にまた小さな部屋が準備されており、高い壁がすぐ隣にあり陽の光は部屋の中には届かない。
この無機質な空間こそ「墓場」のように感じてしまう――。
梅心様にされるがまま伸びた髪を結い上げ、陛下のところに向かう。
華辉「いいじゃないか」
「ありがとうございます」
この屋敷で侍女をする。
陈莉の残っていた任期を肩代わりすることであたしはここへやって来た。
そうすれば――。
華辉「今日から白蕾、いい名だろう?」
この意見に首を振ることは出来ない。
嬉しそうに受け取る。あたしはそれができる。
白蕾「ありがとうございます」
頭を下げ、少し笑う。
そうすれば――あぁ、ほら。嬉しそうだ。
これは現代で生きていくため手に入れたから得意。
あぁ、これも得意だ。
梅心様の後をついて、メモを取って、一生懸命に働く。
白蕾「梅心様、本日からよろしくお願いします」
あたしは侍女として、白蕾として生きていくことを選んだ。
自分で生きていかなくては行けないこと知っていたはずなのに。それを甘えて放棄してしまっていたから。
現代で過ごしていたようにすればあたしはうまく生きていける。
仕事をしていれば余計なことを考えなくて済むし、ここに居ていい理由ができる。
だから働いて、働く――。
あと少しだから――。
【学園編のお知らせ】
華栄高等学校を舞台にした、
ちょっと賑やかな学園のお話を公開しています!
本編とは違う空気感なので、
息抜きにどうぞ◎
終わりと始まり【学園編】
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