味方
楊兎「華辉!温花が水路に落とされた!」
華辉「はぁ……」
その知らせを聞いた華辉は頭を抱え机にうつ伏せてしまった。
華辉はどこかそうなってしまうことを覚悟をしていたようにも感じる。そのためにあれこれと手を打とうとしていたのだろう。
机には大量の書物が山となっていた。
華辉「――温花は無事か」
楊兎「あぁ、医者が一命は取り留めている」
红京が助けてしまうことまでも華辉はわかっていたのかもしれない。
皇太后様よりも華有様を敵に回すことの方が華辉にとっては面倒だろう。
華辉「華珩に全て包み隠さず伝えるぞ。自分のわがままでどれだけの人が巻き込まれたか」
楊兎「お調べのことについては難しいだろう?」
華辉「いや、それも含めてだ。自分の母親のことを知るべきだ」
楊兎「華辉の身も心配だ」
華辉「なんだ楊兎、お飾りの皇帝には親族のことをどうすることもできないみたいに言うな」
楊兎「俺は華辉のことが心配だ。慎重にいかねーとだろ?」
華珩「――陛下!華珩です!入ってもよろしいでしょうか?!」
華辉「ちょうどいい時に来た華珩入りなさい」
華辉は子犬を摘むように華珩を近くに呼び寄せた。
華珩は泣いていたのだろう目と頬っぺたは真っ赤で涙が流れた跡が乾燥しており、鼻水が止まらない様子だった。
華珩「陛下!……兄様すいません!俺のせいでこのような事態になってしまいました」
華辉「そうだな、華珩のせいだ」
幼いとはいえ8歳だ。
宮中に生きるのであれば、自分の母親がどのような人物なのか知らなければいけない時に来ている。
華珩は誰かのためではなく自分のために生きている。それができることはすごいことだった。
俺は母親、皇太后のための俺であったから華珩とはまた違った存在なのだろう。
華珩に今回の事件について細かく伝える――。
華珩「兄上にご迷惑をおかけてしまいすいません……!」
華辉「知らないで行動するのと、知って行動すること変わってくるのではと思って、な。少々残酷かもしれないが、これが宮中で生活するということだろう。華珩が政治を動かすこともあるかもしれないしな」
楊兎「なんてこと言ってんだよ!」
華辉「皇帝だぞ?宮中が味方だけでは無い、それに隣国は全て俺の首が欲しくてたまらないんだぞ?(笑)」
楊兎「それから守るために俺がいるんじゃないか?!」
華辉「ありがとうな、楊兎。俺は楊兎と穏やかな国を作りたい――。華珩わかってくれるか」
華珩「はい、もちろんです」
自分の代で今までの残酷な歴史を継がせたく無い――。だからこそ華珩にはいけないことはいけないとわかって欲しい。
華珩「はい。水路に人を落とすようなことを正当化できる世にはしたくありません」
楊兎「そっか、華兄弟がいてくれてよかった〜」
華辉「今までの歴史を変えることはそう簡単でない。戦わなければいけない。これは自分たちだけではなく民、隣国との関係ももっと考えていかなければならない。協力してくれるか?」
華珩「はい!」
華辉「まずは、温花を救うことから始めよう」
華珩は小さな衣から出る手を真っ白になるまで拳に力をこめていた。
子供らしい独占欲と、子供だからこその残酷さを身をもって知り、華珩は自分の気持ちだけで動いてはいけないこと今回のことで理解しただろう。
宮廷の中の権力争いがどのようなもので、命も簡単に扱ってしまう悲しい場所なのだ。
華珩は幼いが自分の身も自分で守っていかなければならないのだ――。




